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自治団体クロスレンジャー  作者: ムロチムシ
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対策を考えないと大変だ!

 クロスレンジャ―本部は大きな問題に直面していた。

それは怪人Cと同時に現れるようになった怪人Dについてだ。

この町を襲っていた怪人事件というのは石を生やした”上級怪人”と呼ばれる人型存在が知能の低い”下級怪人”と呼ばれる獣型存在に単純な破壊命令を出して本人達は高みの見物をするだけというものだった。

それが最近ではどうしたことか上級怪人が前戦に出ては下級怪人と一緒に破壊活動に参加しだしたのだ。

 しかも上級怪人が単独で二体動くとなるとこの大きな町ではクロスレンジャ―のように秩序を守る人出が足りない。

警察などが抑えてくれているし発明した新技術は惜しみなく、少し色を付けて提供しているが時間を稼ぐだけとなっている現状だった。怪人達は同じ手は食わない。

出現する度に千樹グループの優秀な研究者が開発した試作機が用いられる。



「と言っても流石に頻度が多いよ。DとCはお互い不干渉なようで情報の共有が少ないことが今は救いかな。しかし上級怪人が各々別々に行動するって…。これはちょっとピンチじゃない?」

 眠そうな目を擦りながら瓶底眼鏡の研究チーム長トロイ博士が言う。

「その通りです。そこでどうでしょう。今まで怪人は一か所にしか表れてなかったので四人全員を向かわせていましたが二チームに分かれて交戦するというのは」

 クロスレンジャ―の資金提供者であり創立者の一族千樹グループの女所長カルラが発言する。


「うーんそれだとやっぱり戦力差が出てきてしまう。クレラ君とカイン君はベテランなだけあって突然の事態にも対応できるが和美君とチア君の経験不足は否めない。今まで戦力差で怪人を翻弄出来ていたんだ。知能の無い相手に対してこちらが指示するだけだったしね。しかしここにきて複数の上級怪人の報告が上がった。この町で確認されただけで三体だが他の地域や国にも何件か同様の存在が確認されてる」

 トロイ博士は唸った。

「それならば千樹の実動部隊に対応させればいいのではないか?」

 別の席で男が言葉を投げかけた。

「我が家の私兵隊をむざむざ死地に追いやれと言ってるのですか。奴らには単純な銃や刃物は効かないんですよ。…一つ勘違いしているようなので訂正します。今も昔もあの名前有りの怪人にこの町は弄ばれているのです」

 カルラ所長は一息つくと

「あの父やおじい様の時代ですら排除には至りませんでした。上級怪人との交戦記録もいくつかあります。銃弾をも通さない肉体であったりだとか目に見えないシールドが守っただとか、攻撃がやっと通り体の部位を破壊しても瞬時に再生を開始する。下級怪人とは全く違った存在です。現に怪人Iの周りには電気を帯びた膜が張られ建物に向かって雷が落ち周囲を破損させました。民間人に落とそうと思えばできたはず。怪人Cとの交戦記録にも突風で看板や通行人を浮かせるなどの力を見せています」


「これが弄ばれていると言わずなんと言うのでしょうか。彼らの力は未知数で明らかに手加減されています。お決まりの様に我々を待ち交戦に突入する。クロスレンジャ―は怪我を負う事はあっても過去一度も死者が出ていません。これだけ長年に渡って交戦しているのにも関わらず彼らの本当の目的が分からないのです」


「しかしここに来て上級怪人に動きがみられた事に事態の進展を確認しました。早急に対策を取る必要があります」

 場は重い空気になる。誰もが口を開くことを憚られた。



「そこで我が技術チームと研究チーム共同のもと。新しい武器を開発する事になりました。武器と言っても自立型の乗り物でクロスレンジャーをサポートする相棒の様な存在を四人に支給しようと考えています。下級怪人から回収した部品やデータを用いり単純な命令ならば聞くようなるまでに仕上げました。これらが完成すれば戦力は少し落ちますが数は補えると思います」

 技術チーム長の男性が発言する。

それに続くように実動部隊長が話す。

「坊主共が前戦で動いているのに自分達が協力できないのはもどかしい。隙を作ることは出来るはずだ。実弾を用いたサポート許可を要求する」

「しかしそれが万が一にも四人に当たった場合すぐに修復される怪人と違って最悪命を落とす危険がある…しかし別の形で協力できるよう検討しよう」




こうして連日怪人がいつ来ても良い様に会議がなされているのだった。

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