~間話:怪人会議~
暗がりに円を描くように椅子と机が配置されていた。
さながら物語に出てくる円卓のようなその空間は椅子と机以外何も置かれていなかった。
入口からゾロゾロと大勢の人が入って来たかと思うとそれぞれが明確な意思を持って決められた椅子に腰を下ろした。
「全員揃ったか?それでは始めよう」
「皆サン時間は惜しいと思いマスので、手短にお話ししますネ」
二人の男が発言した。
一人は椅子に座ったまま。もう一人は椅子から立ち上がり中心に移動する。
「その前にひとつ良いかい?アタシとCYURIAを解消させたのは何でだい。まだコイツに独り立ちは早いだろ」
「…IRIASU姐さん」
立ち上がった女性の言葉に肩を落とす少女。彼女達は怪人Iと怪人Cであった。
「まあまあ人魚サン。アナタにはやって頂きたいことが山ほどありマスので我慢してくだサイ。飴玉サンは平気デスよ。私それと芸術家サンお人形サンがお手伝いいたしマスので!」
ニコニコと笑いながら諭すように言う彼はクロスレンジャーと対峙した怪人D。
「そんなに出んのか。少し多すぎじゃね?」
「何を言いマスか!あの町は今なお人口が上昇していマス。効率が上がって良い事デスよ?」
「そんなもんか?」
落ち着いたのか怪人Iは腰を下ろした。
「えーーーー!聞いてないよボク!!配属先変わるのーー!?」
女性が大声をあげて椅子から飛び上がった。
「折角のんびり絵を描いてたのに、酷いよー!」
「芸術家サン。アナタそろそろ危ないこと理解シテ下さいネ。名声デハ腹は膨れナイのデスよ?」
「知ってるけどさ~。好きにやらせてよ、もー!」
女性はその場で肩をガクッとさせてうずくまる様に着席した。
「各々言いたいコトはあると思いマスが、未だやる事は変わりまセン。お話したいコトがある方はこの後私のところか社長サンのところに来てくだサイ。それでは配属先を配りマス」
期間の始まりに本部で開かれる会議。
ある時を境に怪人全員が出席する事を余儀なくされたこの会議の怪人七割は正直集まる必要性を感じていない。
それでも出席するのは自分の身可愛さゆえである。
進行役の怪人Dが一方的に喋り倒す会議とは到底呼べないこの集まりは一時間ほどで終わったのだった。