新たな怪人出現!?
「バーカバーカ!ほんとクロスレンジャ―嫌いなのですっ。
折角IRIASU姐さんから借りた下級怪人壊してくれちゃってどーしてくれるんですか。なんて言い訳すればいいんでしょう…。くっ、次は絶対負けませんから!」
捨て台詞と共に大きく風が吹くと怪人Cはその場から消えた。
それを見送る四人は。
「弱かったな…」
「うん、自分から下級怪人の邪魔してたね…」
若干呆れていた。
そもそもあの怪人Cはもう一体の姐さんと呼ばれている怪人Iと組んでクロスレンジャ―と対峙していたのだ。
怪人Cと言えば怪人Iの指示で戦闘行為に及んでいたことをブルーは思い出していた。
「そうデスねぇ。彼女の独り立ちはまだ早かったかもしれませんネェ…」
「「「「!!」」」」
ふいに後ろから声を掛けられ全員が一斉に振り返る。
其処には腕を組みながら大げさに唸っている男が立っていた。
「しかし、初めての独り立ち!失敗もあるというモノ。
暖かく見守って欲しいものデス!ねえ、クロスレンジャ―?」
ニコリと嘘くさい笑顔で笑う男の出で立ちは中々に奇抜だった。
海賊を思わせる赤く大きな帽子。狩人のような緑色の服。そして一際目を引く左半身を覆う深紅のマント。
歯車の形をしたモノクルから覗く瞳はまるでダイヤモンドのように輝き口元にはピエロのような赤いメイクが施されていた。
「いやはや、私怪人Dと言いマス。ながーい付き合いになりそうなので先にご挨拶をと。遂に私が動くのデスよ?これは中々凄いことなのデス。何故なら私、デスクワーク専門なので」
ニコニコと男は笑う。
「感謝はしていマス。久々に外に出れる。これも一重にアナタ達のおかげなのデスから」
四人は思う。怪人Cを相手にしていた時とは圧倒的に緊張感が違うと。
咄嗟に武器を構えるイエローに
「今日は挨拶をしにきたと言ったでショウ?戦闘は望んでまセンよ?」
造花の花束をポフッと出して捧げる様に差し出す。
「ふざけんじゃないわよ。あんたも怪人なんでしょ。だったら今戦おうが後で戦おうが一緒じゃない」
「気が強いですネェ。怒ってばかりいると将来シワシワになってしまいマスよー」
怪人Dがおどけてケラケラと笑う。
「ぶっ殺す…」
「怪人なのでぶっ壊すが正解ですネェ!」
バチバチと火花を散らすイエローと怪人Dに息を飲んで見守る三人。
(何でイエローあんなに好戦的なんだよ!)
レッドがグリーンに目くばせする。
(知らないよ。いつものイエローらしくない)
「それでは挨拶は済ませましタし、今後は飴玉サンとは別に私も動きマスので心シテくだサイ。クロスレンジャー」
盛大な音楽が流れて怪人Dの後ろから楽器を持った小さな顔の無い小人のような存在が現れる。
「夢の中で会いまショウ」
わざとらしく小首をかしげて笑う怪人Dが身を翻すとピンク色の煙が現れその姿を隠した。
後に残された四人は
「え、これからもっと忙しくなるって事?」
「人員増やせないのイエロー…」
「うっ!…誰がやるのよこんな仕事…一応募集かけてみるけど…」
「俺、そろそろ赤点の補修なんだけど。流石にその日は出れない。ごめんね」
夕日が沈みかける中、肩を落としながら本部に帰還するのだった。