八方美人の幼馴染
大幅改稿です!
以前まで読んでくれた方も、そうでない方も好きになってもらえるような作品にしていきたいと思います。
どうか最後までお付き合いください!
八方美人、それはどこから見ても完璧な人や、誰からも悪く思われないように、要領よく人と付き合える人という二つの意味を兼ね備えている言葉だ。
現代においてこの言葉はかなりの割合で後者を意味する。そして、それが使われるのはおおよそ相手をけなす時だ。
例えば、「あいつは八方美人だからーーー」などと言えば、それを聞いた人は八方美人のことをあまりよくは思わないだろう。
裏のある人間だ。と解釈するはずだ。
だから、要するに八方美人として生活することにメリットはほとんどないと言える。誰もがそれを分かっているから、時に知人に自分の醜い部分を見せ、牽制するのだろう。自分は普通の人間だ、とでも主張するように。
でも、俺たちの学校では違った。
八方美人と口にすれば、必ず前者の意味に聞こえる。
なぜなら、それを体現する人間がいるから。
彼女の名は中坂麗華。
優れた容姿をもっている上、運動神経も抜群。容姿端麗、才色兼備、そういった言葉が彼女には嫌という程似合っていた。
とはいえ、何でもできる人間とは、人に羨ましがられ、恨まれ、煙たがられ、挙句の果てに嫌われてしまうのがこの世の常である。まして、学校という閉鎖空間においては尚更である。
しかし、俺が見る限り、彼女が表立ってそういった攻撃に遭っている様子はなかった。それはなぜか。
性格である。誰にでも隔てなく接し、校内で会えば優しい笑顔で挨拶してくれる。勉強でわからない箇所を尋ねれば、教師よりも的確にポイントを教えてくれる。悩み事の相談をすれば自分ごとのように真剣になってくれる。
さて、彼女のどこに文句のつけようがあるのだろうか。
正に非の打ち所がない人間。
だから、彼女は無敵なのだ。
と、ここまでが校内の九十九パーセント以上の意見だろう。
では、残りの一パーセントである俺から言わせてもらおう。
彼女は断じて八方美人などではない。もっと不完全な七方美人である、と。
読んでいただきありがとうごさいます!
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