~レイフィスト、陛下との謁見…?~
シリアスです。サブタイトルは何も思いつかなかっただけです。シリアスです。
「……イお姉さま!レイお姉さま!大丈夫ですの?珍しくぼーっとして…。お疲れでしたら、休んでもらっても構いませんのよ?」
「ん、大丈夫。少し、昔のことを思い出してて…」
この国の王位継承権第一位であり、王太子である私は現在執務中であった。
目の前で心配してくれている彼女は、私の妹、現国王が第二子、第二王女フィルセス・ラ・グランシア・アストリア。王位継承権第二位。属性は風。
翡翠色の瞳に、太陽を連想させる立派な金髪をしており、ゆるふわロールヘアだ。
フィルセス(私はフィルと呼んでいる)は私を崇拝している。
とあることがきっかけでなったわけだが、今は関係ないから説明はしない。
「そうですの?まあ、レイお姉さまが大丈夫というなら大丈夫なのでしょうが…」
「フィル。この後の予定は?」
まだ何か言いたげなフィルとの会話を打ち切り、私は無理やり別の話を持ち出した。
「お姉さまのご予定は……陛下との一対一の謁見、ですわね……」
心底嫌そうな、とても不愉快そうな表情と声音と纏う空気をかもし出して言う。
「分かった。書類を片付ける。」
「あ、お手伝いいたしますわ。お姉さま。」
だが、我が妹の切り替えは早い。フィルの手伝いがあり、書類はすぐに片付いた。
……そして、とても落ち込みながら、私を謁見の間へ送り出した。
謁見の間に向かい、守護している騎士たちが私に頭を下げ、扉を開ける。
謁見の間の扉の装飾はすごいもので、威圧してくるような雰囲気を醸し出している。
扉のでかさもかなりのものだ。
中に入り扉が閉まる。
「元気そうだね。調子はどうだい?」
現国王陛下が楽しそうに、嬉しそうに話しかけてきた。
「大丈夫です。」
私はそっけなく(レイフィストにとっては誰と接するも変わらない態度で)答える。
現国王陛下、前国王陛下が第八子、元第四王子。グレイス・ラ・グランシア・アストリア。
属性は炎。火の上位版。
グレイスは年を取っているはずにもかかわらず、物語の王子様が飛び出してきたかのような容姿をしている。
髪や瞳の色が違うくらいだろうか。物語の王子というのは、金髪に碧眼が多い。
髪は白銀。瞳は薄紫色だ。
レイフィストの髪は白銀なのだが、その遺伝子はどうやら父親らしい。
もちろん、容姿が王子様なだけで、威厳は国王陛下そのものだ。
「そうか。」
幸せそうに陛下は顔を綻ばせる。
「陛下。今回はどのようなご用件でしょう?通達ぐらいは出していただきたいのですが。」
「陛下とは…今は二人きりだろう?お父様でいい。」
そもそも謁見の間に二人きりということがおかしいのだが、レイフィストは突っ込むキャラではないため、スルーする。
「お父様。これでよろしいでしょうか。」
「うん。じゃあ、本題に入ろう。」
空気が引き締まる。さすがは陛下である。さっきまでのほんわか雰囲気は既にない。
「今回、帝国に行ってもらうのが、レイフィストに決まった。
君は王太子だからね。今までは年を理由にヘイルスに行ってもらってたんだが、レイフィストも良い年になった。そろそろいいだろう。」
「ご命令、承りました。」
本来、このアストリア王国は外との交流を持たないのだが、アスヘルヴ帝国だけは別だ。
勇者様たちは帝国の出身であり、支援をしてもらっていたゆえに切れなかった縁で、毎年一回、帝国の社交界の始まりを告げるパーティに出席する。
神生竜という番人をどうするのかという声も聞こえる気がするが、そこらへんは大丈夫だ。理由は後々。
「準備に必要なことは後で通達する。
フィルの代理王太子としての育成にもなるだろう。引継ぎはしっかりやっておきなさい。」
「はい。」
「さて、気難しい話は終わりだ。親子の時間を楽しもうか。」
…陛下はとっても幸せそうな笑顔で………
この先、レイフィストがどうなったかは皆さんのご想像にお任せする。
一つ言っておこう。陛下は自分の子供を溺愛している、と。
「…いつものこと」
「レイお姉さまぁあああ!!あの変態陛下に何をされたんですの?!!!」