第五十話:結末は....
よろしくお願いします。
イーノスとナルーラはフーレリを引き連れ徒歩でフラケの街へ帰って来た。途中、獣人の類いは見当たらなかった。
街を歩いていると、人だかりが出来ている。何かと思って見ればサーズとエマヨが殴り合っていた。
サーズは見た目人間のままなので殺し合いではないが、普通の人間なら軽く死んでるレベルだった。
体格がいいサーズが横殴りに吹き飛ばせば、クルリと態勢を立て直してエマヨが反撃する。ガードして殴る、避けて飛び蹴ると目まぐるしく動き回っていた。
サーズの方が有利に見えるが、人造人間のエマヨは殴られても腫れたり出血したりしないし、疲れも感じさせない。
ついでに言うと、エマヨの脳は一部が筋肉で固定されており、打撃で脳を揺らす事が出来ない仕様だ。名実ともに脳筋、それが人造人間エマヨだった。
「おい、一体何やってんだ、馬鹿はやめろ!」イーノスはうんざりしながら止めに入る。変わらない奴らめ。
「何だイーノス、邪魔すんな。こいつ俺にゲンコツくれやがったんだぞ!」エマヨがボクサーのステップからラリアットを繰り出す。
受け止めるサーズ「ちょっとどいてろイーノス、この馬鹿は殴らんと分からん。」いや、だいぶ殴っても分かってないだろ。
イーノスがサーズに返そうとした時にエマヨが延髄斬りをイーノスに放つ。直撃して俯せに倒れるイーノス。
「だいたいお前がスカしてるのが一番悪いんだぞ。」言いながらサーズにも蹴りつけるエマヨ。
「それには俺も賛成だ。」エマヨに見事なアッパーを入れるサーズ。エマヨは後方にクルクル回ってまた向かって来る。
飛び込むエマヨの首に黒い煙のような物が纏わり付く。「なん」エマヨが言うより早く実体化してチョークスリーパーを極めるイーノス。
「誰がスカしてるだと、この脳筋が!」そのまま振り回しサーズに投げつける。その勢いを利用して旋風脚を放つエマヨ。
避けながら文句を言うサーズ「イーノス、てめえ何しやがる!」避けられクルクル回りながら向こうに飛んで行くエマヨ「ふざけんなっ!」
一瞬で距離を詰めイーノスに組み付くサーズ。読んでいたイーノスがみぞおちに膝を入れる。
「うぐっ!」崩れるサーズの背後からエマヨがイーノスにラリアットを叩き込む。もはや収拾がつかなくなっていた。
「済まないが、この店にタコさんウィンナーは置いてないか。」喫茶店に入り店員に尋ねるナルーラ。
彼女はタコさんウィンナー単体で置いている店など無いことを知らない。
身長180以上、ツインテール、子供向けのゴスロリの服を身につけ、黒ストッキングにガーターベルト、ピンヒールの美女に頬を赤らめながら尋ねられた店員は目を見開いたまま固まってしまった。
無表情のまま黒い炎の檻に捕らえられた獣人達を見るアンビル。先ほどより目が赤くなってきていた。
斜め後ろ3メートルのところに1頭のマッドウルフが控えている。マッドウルフは正直漏らしそうだった。飼い主おっかない。
ここでようやく辺りを見回す。ティファラは何故か白い狼達に護られている、何となくだが心配は無いだろう。ロランの倒れた方に目をやると、ウノが全力で飛んで来た。目の前でバタバタと暴れると、再びロランの元へ飛んで行った。
「間に...合う?生きているの!」アンビルの目から赤みが飛んでいつもの美しい瞳に戻る。ザザッと、横を見ると白い狼が屈んだ態勢でこちらを見ている。
「ありがとう狼さん、急いで下さい!」狼に跨がり首にしがみつく。マッドウルフは乗り心地に配慮しながら全力疾走してロランの元へ駆けていった。
「何だこいつらは?どっから現れやがった!」傭兵達は戸惑う。魔法でとどめを刺す一瞬に何処からか現れた白い狼。ティファラの四方を囲んでいるあたり、明らかに知性があり厄介なやつだろう。迷っているうちに事態は動き出す。
『ウオオオオオーーーオオンンッ!』4頭同時に咆哮するマッドウルフ達。傭兵達はビリビリと体に響くと同時に軽く麻痺している事に気付く。
ヤバい!何とか防御の態勢をとるが、意味があるとは思えなかった。
マッドウルフ達の体格がメキメキと音を立てて変わっていく。体中の筋肉が増大し、節々が硬く尖っていった。白かった体表もツヤツヤと金属っぽい色に変わり、全長は3メートルはありそうだ。
こんな魔物、見た事も聞いた事も無いぞ。降参つったって、魔物だから聞いちゃくれないだろ。麻痺して思うように動かない体、初見でヤバそうな化け物。傭兵達は死を覚悟させられた。
たった一つ、唯一の救いと思いアンビルと獣人の方を見ると、獣人全員が黒い炎の鳥の檻に捕らわれ脱出出来るとは思えない。鳥が吐き出すドス黒い炎は見るからにヤバかった。
何のつもりか、鳥が隣の鳥の頭を吐き出す黒い炎で吹き飛ばす。飛んで無くなった首が、巻き戻すように再生して隣の鳥の頭を吹き飛ばす。を、ずっと繰り返していた。意味は分からないが絶望的なのは見て分かった。
ロランの元へ駆けつけたアンビルはすぐさま呪文を唱えた。
「聖なる導きたる癒しに感謝と祈りを!ヒール!」背中の傷が輝きながら即座に塞がる。
ムクッと起き上がると「お嬢様、一体?」「良かったー、もう駄目かと思ってました。」泣きだしそうなアンビル。
安心したのも束の間、またウノがばた狂うと、今度はティファラの元へ飛んでいった。
「はっ、そうでした。狼さんティファラの所へ!」再びマッドウルフに乗ってティファラの元へ駆けていく。
敵傭兵達の背後からティファラと4頭のマッドウルフ達の所へ駆けていった。傭兵達は動きが鈍く問題なかった。が、狼達は見た目の質感、大きさ、共に原形を留めていなかった。
ティファラの元へ駆けより抱き上げるアンビル。「ティファラ、もう大丈夫です。安心して、すぐに治すから。」
二人を囲むように立ち塞がり傭兵達を威嚇する4頭と、アンビルのそばで頭を垂れる1頭のマッドウルフ達。ティファラには数えきれない程の切り傷があり、意識が無かった。
「聖なる導きたる癒しに感謝と祈りを!ヒール!」服はボロボロだが傷は綺麗に塞がり元の美しいティファラに戻った。
「..さなぃ」下を向いて震えるアンビルが呟いたが良く聞こえない。
「女性であるティファラになんて真似を。しかも大人数で寄ってたかって。一対一での戦いの結果なら我慢もするでしょう。ですが違いますね、何か言いたい事はありますか?」傭兵達に向かって問いかける。
アンビルの目がほんのり赤くなり、戻るをゆっくり繰り返す。ほんのりゆっくりと明滅していた。
「おお、お、俺達は金を貰って雇われただけなんだよ。酷いことするつもりなんてなかったんだ。」アンビルは魔法で吹き飛ばしたい衝動に駆られるが、冷静に言い放つ。
「絶対許さない。狼さん、ティファラと同じだけの傷を彼らに。途中で死んでしまっても仕方ないですが、ティファラよりも少ない傷は許しません。やって下さい!」
『ウオオーーーオオンンッ!』雄叫んでみたがマッドウルフ達は正直困った。一撃で殺してしまいそうな相手に、わざわざ傷を与えろと?
なんて事言いやがるんだ、皆殺しの方がよっぽど簡単だ。やっぱり飼い主 (アンビル)はいつも通りの飼い主 (アンビル)だった。
傭兵達は恐怖した。逃げたくても体が思うように動かない。マッドウルフ達は猫が獲物をいたぶるように、様子を見ながら攻撃してくる。
吹き飛ばして追いかけ、確認して爪でえぐり、甘噛みで血だらけにしていった。
一人に一体、前から順番に行われていく。全員泣き出したが魔物が同情してくれるとは思えなかった。
最後尾の指揮官は失禁した。恐怖で歯が鳴っているが止められない。指揮官は4頭になぶられ、ぼろっぼろにされるが辛うじて生きていた。
書き貯めたいですが、なかなか上手くいきません。ありがとうございました。




