第二話:王立高等学術院
読んで頂いきありがとうございます。いわゆる説明回ですので面白くはないかも。
入院式という名の入学式を無事に終え、教室へ移動する。
1クラス30名が2クラスで一学年であるので、たいした混乱も無い。貼り出された席次表を確認して席に向かう。アンビルは31名いるAクラスだ。編成は男女半々で女子が一名多いらしい。
アンビルが教室に入ると、それぞれ何人かずつ固まって話していた集団が皆静かになって注目した。
が、「アンビル~また会えて嬉しいよう~」
いきなり後ろから抱きつかれて声が出る。
「きゃっ!」「結構あるわね~」胸辺りをまさぐるミルノ。ミルノナイス!心の中でガッツポーズの男子達。
「ミルノさん、何するんですか。」
「挨拶よ挨拶。久しぶりね、アンビル。あなたも無事合格出来て良かったわ。結構心配したんだから。」
「ありがとうございます、ミルノさん。とりあえず手を止めて頂けますか?」
「あっ、ごめんごめん。ついついね。」
6人の男子が本気でミルノを羨んだ。
「改めまして、ミルノよ。同じクラスになれて嬉しいわ。」
「アンビルです。私も嬉しいです。」
やっと向かい合って挨拶する。
ミルノは仄かにシルバーがかった青い髪を耳の下くらいで切り揃えて活発そうに見えるが、ボンキュッボンでアンビルより背が高い。
(相変わらずスタイルいいなー)とのんきに考えていたら、
「やあ、また会えたね。」
「あの時のメンバーが皆合格してるなんて驚いたな。」
試験前夜の男子二人、アラニスとマルーンも同じクラスだった。
金髪碧眼でイケメン、背も高くがっしりしているアラニスと、背はミルノと同じくらいで細身のマルーン。マルーンは茶色の髪を少し切ったらしい。
「お二人ともお久しぶりです。これからもよろしくお願いします。」
丁寧に挨拶するアンビルにマルーンも返す。
「こちらこそよろしく。アンビルちゃんには聞きたい事があるし。」
「聞きたい事ですか?」
「あとあと、アラニスだ、よろしくアンビル。実は同じ学園に通ってた奴に紹介して欲しいって頼まれてて、呼んでもいいか。」
「ええ、どうぞご紹介下さい。」
「おいっ、来いよっ。紹介するから。」
「分かった。」こちらに背が高く、女子にしては少し筋肉質な感じだが、整った顔立ちが凛々しい印象を与える娘がやってくる。
「いとこのイプシルだ。騎士志望で腕は立つ。」
「イプシルだ。アラニスから話を聞いていて、是非紹介してもらいたかった。」
「アンビルです。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いする、アンビル殿。」
アラニスとセットのように金髪碧眼だ。二人並ぶとなかなか威圧感がある。
そうこうしていると、教師と思しき男性が教室に入ってきた。
「皆さん、席に着いて下さい。」
全員席に着くと、教師は黒板に名前を書いた。
「君たちの担任になったパームです。専門は魔法ですが、他にも受け持つと思いますので、よろしく。」
受験した時の試験官のパーム先生が担任だった。そのあとは学校施設や校則の説明だった。
「寮で鍵を渡すので、寮管理室へ行って貰うように。質問がある者は?」「では、解散。明日遅刻しないように。」
鍵を受け取り、一端食堂へ向かう。寮は当然、男子と女子は別棟になっている。各学年男女比はだいたい半々なので4階建て60部屋の建物が4棟建っていて、2学年ずつ入る事となる。お風呂も男女別にあり、共用するのは食堂だけとなっている。受験の時に宿泊した部屋が寮だったらしい。
食事を済ませて割り当てられた部屋にいき、届いている荷物を整理していると「アンビル~お風呂行こ~」と、ミルノがイプシルを伴ってやってきた。
「分かりました。すぐ準備します。」
もともと王城だったお城を改装して今のエルノイア王立高等学術院としている為、お風呂、特に女子のお風呂は豪華で優雅だった。
「すっごーい。」「広いな。」「気持ち良さそうですね。」それぞれ感想を言いながらお風呂に入り、並んで湯船に浸かり会話する。
「イプシルさんの家は何を営んでいらっしゃるのですか?」
「私の家は代々アラニスの家と同様に騎士として王家に仕えているのだ。当然私も騎士として王家に仕えるつもりだよ。」
「立派な目標ですね。」
「アンビルはどうしてこの学術院に?」
「実ははっきりとした目的はないんです。カーメルン学園を卒業しても何も決まってなかったんで、お父様に花嫁修業するよう言われて反発したかったのかもしれません。」
「ミルノ殿は?」
「うちは至って普通の家庭よ。商会勤めの両親に信心深くなるよう神学校に放り込まれただけで、たいした目的が無いのはアンビルと一緒ね。」
「そういえば魔法打ち上げ大会の最後の魔法凄かったわね。あれ本当にアンビルが放ったの?」
「あれは凄まじかったな、あれは確か集団魔法で軍事用だったはずだが。」
「違うんです、あれは新開発の魔法具とアーレム商会所属の冒険者パーティーの魔法使いたちによるものでした。あんな魔法簡単に撃てるはずないですよね。」
「そうよね。あんな魔法撃てるんだったら、もう軍事兵器扱いよね。」
「戦術級魔法使いどころか兵器扱いか、違いない。」
「そおぉです、よね。兵、器、ですよね。」
そんなにヤバいなんて、何てもの打ち上げさせるのですかロラン。
兵器なんて二つ名が付いたらどうしてくれるの。残りの人生引きこもって過ごすわ。
真実は絶対に言えないと、認識を新たにして今後はかむ。無理でもかむ。と、心に誓うアンビルであった。
この学術院、つまり昔の王城の浴場には浴室内の壁越しと、外の壁の出っぱりと、二ヵ所に女子浴室を覗くポイントがあり、代々秘密裏に受け継がれてきたが、2時間程前にどちらも岩が崩れて使用不能となっていた。原因は不明だという。
翌日より早速授業が始まるのだが、最初の一時間はホームルームの延長で自己紹介などで親睦が図られた。
だめだわ、名前が全然覚えられないわ。話しもしてない人の名前を覚えるなんて難易度が高いわ。
徐々に覚えていくしかないわね。と、お気楽に考えて悩むのをやめた。
あまり深く考えないからアンビルの天然化に拍車がかかっているようだが、勿論本人は全く気付かない。
「もう一度確認の為に説明するぞ。授業は合同であったり班ごとであったり、まちまちだ。班分けは今から行う。適当に6人組に分かれるように。1班は7人で構わない。では、開始。」
「アンビル~一緒の班になりましょう~イプシルも~」
「分かりました。」
「ありがとう、お誘い感謝する。」
「あとはそうね、マルーンとアラニスもおいでなさいな。ちょうどいいから。」
「ついでかよ!」
「助かった、余るのはやだからね。」
上手い具合に班は完成しつつあったが、ここで担任のパームが介入する。
「君達の班はコイツらを入れて7人で組むように。留学生だ。隣国のストルク神聖国から来たオルトンとラバーナ聖魔共和国から来たペーニャだ。二人とも優秀な魔法使いだぞ。」
「よ、よろしくお願いします。」と、オルトン。
「どうぞ、よろしく。」と、ペーニャ。
何でと思わないでもないが、別に不都合も感じないので構わない。
オルトンは、背はアンビルと同じくらいで男子と思えないほど華奢、前髪を下ろしているのではっきり顔が見えないが、黒髪もアンビルと同じだった。
ペーニャは褐色の肌、緑がかった髪のいかにも異国の異人さんだ。スタイルがミルノさん並みにボンキュッボンだ。
「わっかりましたー。あたしミルノ、よろしくー」と、みんなそれぞれ挨拶していく。
「ストルクから来ましたオルトンです。治癒系の魔法が得意です。よろしくお願いします。」
「ラバーナから来たペーニャよ。呪術系の魔法が得意よ。皆さんよろしく。」
とにかくこれで班分けも終わって、7人程の男子はアンビルと同じ班に入りたかったが諦めた。
あとは今後の授業の説明に入る。
「今後の授業だが、今まで学んできたことの延長で、それを更に深く学び習得していく事を目標にしているが、それ以外にも政治や経済も併せて学んでもらう。3期生の時に体術魔術組と学術経済組に分かれて、より専門的に勉強していく事になっている。」知らなかった。
「科目は、魔法学、魔法実技、体術、剣術、戦術、政治、経済、歴史と多岐に渡る。それぞれ頑張るように。」ヤバい、魔法学だ。正直さっぱりわからない。がんばって勉強します。
長い学術院生活は始まったばかりだった。
ありがとうございます。学園内で面白くするのは難しいですね。アンビルは天然なのか自信がないです。




