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オーメソⅡアンビル  作者: tetu
182/194

第百八十一話:ダブルスコア

半年近くも更新せずすいませんでした。

思ったように書けず時間ばかり過ぎてしまいました。

よろしくお願いします。

「アンビルさん、ラバーナの魔物を片言の魔法で吹き飛ばしたってお聞きしましたが?」①


 「アンビルちゃん、エクスカリバー見せてよ!」②


 「アンビルさん、あのヒュドラーを片手で蝶々結びにしたって本当なの?」②


 「アンビルちゃん、スタイルが良くなる魔法って本当?」①


 「アンビル君、ファイヤーボールでコメンザー城を半壊させったってマジ?」①


 「アンビルさん、アーレム商会が温泉郷を造るって話はホントなの?」③


 「アンビル君、コメンザでも勲章貰ったって聞いたけど。」③


 「ラバーナの新事業をアンビルさんが始めたって聞きました。」③


 「アンビル殿、天使のプリンの新作が出るのは本当か?」③


 「アンビル様、あのパパロッティ様の弱みにつけ込んで歌を作らせてるって噂が...」③


 予定通り学術院の寮に入ったアンビルを待ち受けていたのは、根も葉もあって実までついた噂話の数々だった。挨拶しながらすれ違おうとするが、話し掛けられて立ち止まってしまいすぐに数人に囲まれてしまう。


 誤魔化す前提のアンビルとしては全力で否定して隠蔽、有耶無耶にしたいところだが、その前に大きな疑問がアンビルの頭の中に立ちはだかった。




 何故?何で皆さんこんなにも(無駄に)詳しいのかしら?と。




 わずか一、二ヶ月の間に起きた事とはいえ、他国での出来事でもあり学術院は夏休みだった。ここまで学生達に情報共有(なのか?)出来ている事が、アンビルには不思議でしょうがなかった。


 多少は突っ込みたい、訂正したいという思いに駆られたが、ほんの数刻前の出来事、アーレム商会エルノイア支店での従業員達のお見送り(見送られ)体験がアンビルに僅かな余裕を与えていた。


 ①「はい?多分違います。」


 ②「えーっと、よく分かりません。」


 ③「もう、お父様ったらまったく。」


 そのお陰だろう、この三つの返答のみで強引に乗りきり自室へと避難する事が出来た。


 


 意外とあの壮行会?も、役に立ったのかしら?今はちょっとだけ感謝しています。




 などと根本的な問題に全く思い至っていないアンビル、お人好しと言うよりは天然気味なのだろう。


 アンビルにまつわるほぼ全ての噂の元凶、発生源は勿論アーレム商会である。


 事あるごとに(無駄に)号外などをばらまき、各支店でお祭り騒ぎのセールを(無駄に)展開した。


 さすがはアンビルの望みとは真逆の方向へ全力疾走するファンクラブ、アーレム商会である。


 唯一の救いは、アーレム商会産のアンビル話はどれも作り話ではないかと思われている事だった。そもそも一般の人達にとってのアンビル話とは突拍子もない話ばかりで、一人娘に甘いと噂のアレムが親バカぶりを発揮しているものと受け取られていた。


 アンビルが知ったらこれもアレムのお陰と感謝しそうな気さえする。お人好しと天然のダブルスコアともなると、うっかりしてしまいそうな処がまったく恐ろしい。


 やっとの思いで自室にたどり着いたというのに、既にいつものみんなと新作エクレアを食べる算段をしていた。


『コンコンッ!』タイミング良くドアがノックされる。


「はーい!」出てみるとみんなが勢揃いしていた。


「結構遅かったわねえ、アンビル。久しぶり~」


「アンビル殿、さっきの話だと"天使の"お菓子シリーズにはアレム殿が関係しているのか?」


「アンビルさん、お久しぶりです。例のビルバーナ平和記念農業公園なんですけど、呼び名って言うか通称?らしくてちょっと変じゃないですか?」


部屋着姿のミルノ、イプシル、ペーニャだった。よく見なくても全員モデル並みのスタイルで、部屋着姿だと余計にはっきり分かる。


 一瞬浮かんだヒールの呪文を振り払い、努めて明るく返答する。


「皆さん、お久しぶりです。お茶にしようかと思っていたのでちょうど良かったです。コメンザ生まれの新作エクレアがあるんで、みんなで食べませんか?」


「アンビル、ナーイッス!甘いもの食べたかったのよねえー」


「アンビル殿、それってまさか"天使の"新作なのか?」


「夏休みはお世話になりました。お母様も元気です。後でお風呂に行きませんか?」


 安定のやり取りと、みんなで食べるエクレアはやはり美味しかった。


 


 今日も色々あったけど、皆さん喜んでくれてます。アーレム商会にもちょっとだけ感謝しなきゃ...




 などとやっぱりダブルスコアなアンビルである、夜更けにアーレム商会横倉庫でサバトが開かれるなど想像すら出来ない。


 狙う(アーレム商会)と狙われる(アンビル)では、やはり狙う側が有利なのか。でも一体アンビルの何を狙っているのか謎である。


 勿論ただのアンビルラブなのだが、何とかうっすら微妙にアンビルに伝わっているようで、ギリギリwin,winの関係と言えなくもないような気配が漂う感じに成り始めそうなところだったが、この後の入浴で綺麗サッパリ洗い流される。


 ダブルスコアは諸刃の剣だった。アンビルに悪気はない。


 


 

ありがとうございました。

あまり調子のいい事は言えませんが、頑張りますので

ゆっくりお付き合いいただければ幸いです。

今後もよろしくお願いします。

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