第百四十七話:反撃失敗?
面白そうで書き始めたら続きが...
遅くなってしまいすいません。
よろしくお願いします。
イーノスから連絡を受けたナルーラはエマヨへ連絡を取り、アルデンテに移動を手伝わせた。連絡さえ取れてしまえば移動はあっという間である。
「何故、ドラゴンたる我が雇われ馬車の如き真似をせねばならぬのだ。」ぶつぶつと文句を言いながら馬車本体を運ぶアルデンテ、文句を言いながらも揺れに配慮して空を飛んでいた。
「エマヨはどうしたのだ?一緒にゾンビ狩りをしていたのではなかったのか?」窓から顔を出して、ナルーラはアルデンテに問うた。
「エマヨ様はアンデッド研究の施設を建造し研究に没頭しておられる。ただ駆除するだけの貴様ら脳筋どもとは意識が違うのだ。能なしの貴様らでも少しはエマヨ様を見習うがいい。」翼をはためかせながら首をくねらせて答えるアルデンテ、本気でこう信じ込んでいた。
イーノスとサーズが聞いたら鼻で笑っていただろう。余りにもエマヨの事を知らない、と。
現代のオートメーション化された養豚施設よろしく、ゾンビの収容、選別、解剖(解体)、屠殺を自動化(獣人達の手動)させた研究施設を建築し(させ)、研究という名の採集を行っていた。
勿論エマヨの狙いなど最初からこれで、エマヨは興味のある事にはトコトン研究熱心だった。そして残念ながら付き合いの短いアルデンテでは突っ込み不足(不在)であった。
広い荒野の端から駆逐していくのも、端に集めて研究(笑)してから処分するのも、手段は違えど結果は同じで特に問題なく、全てがエマヨの思うつぼなのだがまだ誰も全容を知らない。
「まあいい、こちらの方が気掛かりだからな。」ナルーラは座り直してイーノスからの手紙に目を通した。
一対三で睨み合っていたイーノス達であったが、敵の魔法に先んじて仕掛けてみる事にした。
「二人とも離れて耳を塞げっ!」叫んだイーノスの周囲に霧が発生する。距離をとったサーズとブロナにも冷気が伝わってきた。
『死ね!』周波数の合わないノイズのような声音で叫ぶイーノス。
死霊系の魔法ウィスパーオブデスだ。同等の力を持つ相手ぐらいなら簡単に死に至らしめるが、僧侶や聖騎士、神官など神聖な属性の相手には効果が薄いし、逆の死霊系の相手にも効きが悪い。
「胃の笛でござるか?拙者には効かぬでござるよ。」対するエイケイは後方へ宙返りながら透明な何かをイーノスに向けて投げた。
キラッとした何かを勘で避けるイーノス。避けた背後で『パリンッ!ピシャンッ!』と、何かが割れた音がした。
「気をつけろ!何だか分からんが投げてくるぞ!」イーノスは二人に警告したが、残念ながら両手でペタンと耳を塞いだ二人には届いていない。
エイケイは奥の祠の上で懐に手を入れて叫ぶ。「拙者の得意は忍法だけではござらんっ!飛翔結晶五月雨打ちっ!」イーノスには聴こえたので何かが来ると分かった。サーズとブロナは両手で耳を塞いだ間抜けな態勢のままイーノスとエイケイを交互に見ていた。
エイケイが伸身のムーンサルトで縦横に跳びながらキラキラッと何かを無数に投げ放つ。イーノスはその身を黒い霧に変じてかわした。その時、ガラスで出来た刃物のような物と確認出来た。
エイケイが放ったのはガラス製の手裏剣だったが、イーノスの知識に手裏剣は存在せず、投げナイフのような武器としか認識出来ない。しかもガラス製なので目で追うのも困難だった。
当然、サーズとブロナはまともにくらった。
『ザクザクザクッ!』
「痛ってえ!」
「あつっ!」
二人とも直前に肘を眼前で締めて腕で攻撃を受けた。両手で耳を塞いだ間抜けな態勢からはそれが精一杯だった。
「気をつけろ!ガラス製の武器みたいだ!」更に警告するイーノス。
「見りゃあ分かる!今刺さってるからなっ!」
「早く言え、馬鹿!食らってからじゃ意味ねえだろっ!」
「さっきから言ってるだろうが!馬鹿かお前らはっ!」
コンビネーションなど何処にも無かった。
短くてすいません。
ありがとうございました。




