表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖騎士物語  作者: すず
9/16

浅はか

なんでこんな事になったんだろう?

今僕はなぜかミリアと一緒に魔獣退治に向かっている


もちろん僕は「危ないから帰れ」と言って村に帰るようにうながしたが

「私は魔法が得意だから大丈夫だよ、それに危なくなったらアレンが守ってくれるんでしょ」

と上目遣いで言ってきた

上目遣いで言われ思わず「僕が守るから大丈夫だよ」と言ってしまった

まさか自分がここまでチョロイとは思わなかった


「あっ・・そうだ、ちょっと寄り道していい?」

「寄り道?どこの行くの・・って、ちょっと待ってよ」

ミリアは僕の返事を最後まで聞かずにスタスタと先に行ってしまった


「たしかこっちだったかな・・」

ミリアを追って藪をかきわけ進んで行くと開けた場所にでた

その場所には一面真っ白なマリーネの花が咲き乱れていた


「きれいだ・・」

一面に広がるマリーネの花に思わず声がもれていた

「来てよかったでしょ」

「ああ」

しばらくの間魔獣退治という目的を忘れマリーネの花を見ていた



◇◇◇◇◇



ふと気づいた事がある

村から離れたこの場所に今僕とミリアの二人っきりだ

こ、これはまさかデートではないのだろうか?


意識し始めるとなんだかちょっと緊張してきた

僕の緊張なんかよそにミリアは花を摘み匂いをかいだりして楽しんでいる

僕と二人っきりでいるこの状況にミリアはいったいどう感じているんだろうか?


「あのさ、ちょっといいかな?」

「なに?」

「うん・・まあ、あの・・なんだ・・」

「どうしたの?」

「やっぱなんでもない」

「???」


やっぱり聞けない僕には無理だ

こんなに緊張して意識しているのがもし僕だけだったら今後ミリアと今まで通りに接していける自信が無い


ロウはよく遠回しにだが告白できたな、正直に言って尊敬できる・・


・・ああそうか、そういう事だったのか

僕は一人で納得したようにうなずいた


僕は今回ロウに先を越され、その差を埋めるために魔獣退治に来た

だが僕はロウだけが自警団に入団した事なんかよりも、ロウがミリアに告白した事に焦っていたんだ


ようするに僕は自分が惚れたミリアがロウにとられると思い焦ってこの魔獣退治を計画したんだ


「はぁ~」

ため息をはきながら僕は自分の浅はかな行動を後悔した

僕はこれから魔獣退治という危険な行為に自分が惚れた女性であるミリアを巻き込もうとしていたのだ


「・・帰ろう」

「え?」

「村に帰ろう」

「魔獣退治はいいの?」

「いいんだ」


サイリ湖の周りには強い魔獣はほとんどいないだが弱い魔獣でも下手をしたら大けがをする可能性だってある、そんな所にミリアを連れてはいけない


「それじゃあこれから花を摘んでくるからちょっと待ってて」

「これから摘むのかよ」

「カーラにへのお土産、待っててくれたらダリウスさんに私からうまく言っといてあげるから」

「うっ・・そうだった」

皆に内緒で出てきたから爺ちゃん怒ってるだろうな

「とにかく私に任せておきなさい」

とミリアは胸を叩きながら力強く言った


二人でカーラちゃんのお土産に花を摘もうとした時、僕の目の端に高速で動く何かが映ったのだった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ