理由
「ただいま」
「おかえり」
家に帰ると爺ちゃんが出迎えてくれた
「すぐにご飯の準備するから待っててね」
なれた手つきでテキパキと準備をしていく
こった料理をするわけじゃないから準備はあっという間におわった
「入団試験はどうだったんじゃ」
食卓につくと爺ちゃんが聞いてきた
うっ・・やっぱり聞かれるか
「今回はだめだったよ」
「そうか・・」
「でも安心して次は絶対受かるから、努力すれば大丈夫だから」
と僕がきわめて明るく言うと、爺ちゃんは少し悲しそうな顔をし目をそらしながら
「そうじゃな・・」
と言ってきた
爺ちゃん、ポーカーフェイスが苦手なのは知っているがもう少し上手くやってくれ、傷つく・・
「アレン、なんでそこまでして自警団に入りたいんじゃ?」
「それは・・」
「アレンには治癒魔法がある、自警団に憧れるのはわかるが無理して入ろうとしなくてもいいんじゃないか?」
「でも・・」
爺ちゃんの言いたいことはよく分かる
魔物や野盗などと戦い常に危険がつきまとう自警団よりも治癒魔法を使い治癒院をしたほうが安全だし収入も安定するのは僕も分かっている
それでも僕は自警団に入りたいんだ
食事も終わり自分の部屋に戻りベッドの上で仰向けになった
「自警団に入りたい理由か・・」
爺ちゃんの前では恥ずかしくて言えなかったが
僕がどうしても自警団に入りたい理由は爺ちゃんと父さんに憧れているからだ
今の姿からは想像出来ないかもしれないが爺ちゃんは昔、閃光のダリウスと呼ばれるくらいの剣豪で悪い奴らをバッタバッタとなぎ倒していたらしい
王都エーディリアでは爺ちゃんの事を知らない人はいないくらい有名だったらしい
爺ちゃんは話したがらないけど村の人達から聞いた爺ちゃんの武勇伝に僕は興奮しっぱなしだった
父さんの事はほとんど覚えていないが王都エーディリアで騎士をしていたらし
過去形なのは僕が幼い時に亡くなってしまったからだ
父さんは皆を守るために亡くなってしまったが素晴らしい騎士だったらしい
僕はそんな二人のような大きい男になりたいんだ
それに・・
昔僕とロウとミリアの三人で遊んでいた時に自警団を見てミリアが
「かっこいい・・」
と言ったんだ
今思えばロウが自警団に入るための訓練を本格的に始めたのはこの日からだったかもしれない