00 プロローグ:寝起き
「うっ...」
眩しい、とても眩しく感じた。目を開けたのはいつ振りだろうか。目が慣れてきて最初に映ったのは知らない天井だった。まあ、いつ振りも知らないもなにも過去の記憶が詳しく思い出せないので、仕方ないだろう。
今、自分は横になっているようだ。地面は硬くはないが柔らかすぎず、といったところか。そんなことを考えながら、ただボ-ッとしていると音が聞こえてきたので、部屋に何か入ってきたようだ。
カチャッ
「おっ、目が覚めたかな。」
何者かの声のした方に顔を向けようと首を動かそうとするが、すこし痛みを感じて声が出る。
「あ-あ-無理に動こうとしなくていいよ、なんせ長い間眠ってたからね-。」
少し視界に入ったのは男性だった。
「あ"あ"...あ"あ"...」
声を出そうとするが、話を聞くに数日、または数週間振りなのだからだろうか、うまく発音することができなかった。
「う-ん、まだうまくしゃべれないみたいだね、まあそれもこれも色々と少しづつできるようになっていけばいいさ。」
時間がたったことで首を動かすことができるようになったようでうなずくことができた。
「うなずくことができそうなら、意思疎通が少しは楽にできそうだね。」
その言葉を聞いたことを最後に、疲れからか意識が薄れていき、僕はもう一度寝てしまった...。
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夢をみた。欲しいと願えばなんでも思い通りに手に入る、そんな夢のような夢だった。アレがほしいコレがほしいと思えば、ちょっと疲れるが、最初はぼんやりと、そしてだんだん確かな形になって手元に出てくる。
目が覚めるとほとんどの夢は覚えていないと言うし、はっきりと記憶しているのはこれくらいだが、改めて考えてみても、どこか不思議な夢だった。
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二度目の起床、目を開けてみる。二度目の天井、さっきみたものと変わってはいない。やはりこれは二度目であって、さっきの感触や音が夢だったというわけではないようだ。時間も何もわからない、体もまともに動かせない、頭は少しだけ回せそうだから少し整理でもしてみようか。
・過去のほとんどの記憶がない。
・何者かに看病をしてもらっている。
・不思議な夢を見た。
今はまだこれくらいだろうか。まあ、まだ言葉をうまく話せないし、体もうまく動かせないからこれからのことでも考えながら、あの人を待つことにしようかな。
修正18/08/18 セリフ部分と地の文の間を開けてみました。改行を増やしました。