表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

選択者

作者: Re:over


ある賭場での話だ。初対面のある3人は一つの小さな部屋に入り、所定の椅子に座った。


『では、手元にあるカードを見てください』


そのアナウンスを聞いた3人はカードを裏返す。


カードに書かれている内容を把握した全員が顔をこわばらせた。


『それではゲームを開始します』


3人の中で唯一の女性である工藤くどうのカードには【あなたが『選択者』に選ばれた場合、賞金5億円。選ばれなかった場合、即処刑】と書かれていた。


(どうしよう)


工藤は悩んだ。2人のどちらかが選択者であるはずだが、もう一方も自分のような内容だろう。選択者に媚を売るしかない。そう決意する。


2人いる男性の一方である園原そのはらのカードにも工藤と同じことが書かれていた。


園原は工藤と違い、選択者にもなんらかのリスクがあると考える。そして、思いついたのが『選択者とバレたら死刑』だ。そうなると、選択者は絶対に名乗り出ない。それを逆手に取ろうと考えた。


「では、話し合いをしましょう」


田中が人差し指でメガネを上げながら言った。


「俺は選択者が誰か知っている」


園原が先に叫んだ。すると、工藤が問う。


「えっ!? もしかして田中さんですか?」


「えっ、う、うん。そうだと思うぞ。どうなんだよ」


工藤と園原は田中に目をやった。田中は黙り込んだまま顔を伏せる。


「おい、おまえが選択者だとしたら俺を選択しろよ。そうでなければおまえは死ぬことになる」


「いいえ、彼は嘘をついている。私を選択してくれたら1億あげますので、私を選択してください」


お互いが言いたいことを言い終えた瞬間、ゲーム終了のアナウンスが鳴った。


『では、選択者の方は誰か選んでください』


部屋中に心臓の音と緊張感が立ち込み、工藤と園原は汗が凄い。


「私は............自分を選びます」


「は?」


「は?」


田中の言葉に愕然とする両者。


理解出来ていない2人に田中が解説する。


「命よりもお金を大切にする人は死んでもらいます」


そう言ってパチンと指を鳴らした。すると、工藤と園原が座っていた椅子の下が勢いよく開く。そのまま椅子と一緒に暗い闇の奥底へ落ちて行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ