表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この手の中を、守りたい  作者: カヤ
飛び出す子羊編
98/307

アーシュ10歳3の月ナッシュおかしな出会い

今日1話めです。

宿屋は良いところをとってくれていたようだ。ふかふかのベッドというものを、初めて体験した。


「セロ、前回もこうだった?」

「いや、最安のとこだったからな。でも、逆に雑魚寝みたいなとこもないんだよ。最低で3000ギルで、ふたり部屋って感じ。ちゃんとしたとこしかない」

「それだけこのダンジョンが稼げるってことか……」


ある意味放っておかれた私たちは、メルシェと同じようにランチ、レーションともに40用意して販売を始めた。クッキーについては大人の手のひらの3分の1くらいの大きさのものを、1つ100ギルで用意した。ただしお茶の販売で出す。


ランチとレーションの立ち上がりはゆっくりだった。ダンジョンへの入り始めが遅いからだ。それでもやはり足りず、明日は50用意することになった。


さて、お茶の時間だ。


「あったかいお茶はいかがですかー。甘いお茶もありますよー」

「甘いの1つくれ」

「300ギルです、あ、あとこれ試食なんですけど」

といって試食用の小さくしたクッキーを渡す。

「へぇー、クッキーか、ん!」

「まあまあ、落ち着いてお茶も1口どうぞ」

「ん、ふー、うまいな!これ、売ってないのかい」

「こちらに。1つ100ギルで、一週間ほどもちますが」

「5つ!」

「え、俺たちの分も買ってくれよ」

「やだ。1人で全部食べる」

「なんだよー、じゃあ、オレたち3つな」

「ありがとうございますー」


ということで、お茶も合わせてあっという間に完売です。


「明日も作ってくれよ」

「わかりましたー」


「セロの読みが当たったね!」

「ホントに売れたね」

「お茶もついでに売れたな」


「おーい、アーシュ君、今日もガガを入れてくれないか」

「ギルド長がよんでる。今日はパウンドケーキあるんだ!行ってきます!」

「後でな!」

「うん!」


働く人も確保して、メルシェより順調にお試し販売をして一週間、あと3日はダンジョンにもぐることになった。私とマルは、いつもクッキーを買ってくれる魔法師のパーティに、お茶入れ係として連れていってもらえることになった。楽しみだ。明日からダンジョンという日、ギルド長とガガを楽しんでいると、トントンと、ドアを叩く音がする。

「じゃ、私もう行きます」

「残念だが客のようだからな」


ガチャ、

「やあユーグ」

「お前、ジュスト、ルカ、なんで来た!」

「なんで来たも何も、ダンジョンに潜りに来たんだろ」

「大規模の時は連絡入れろっていつも言ってるだろうが!」

「今回は6人の小アタックなんだよ、気分転換にね」

「チッ、しかたない。他の冒険者に迷惑をかけるなよ、さ、アーシュ、もう行きなさい」

「はい、失礼します」


「新しいメイドかい?かわいいね。ところでいいにおいがするんだが」

「錯覚だろう」

「ガガのいいにおいがする。なんでここで飲めるの?君、待って」

「行きなさい」

「君、ガガとお菓子のにおいがする」

「あー」

「僕にも入れてくれない?」

「どうしましょうか」

「しかたない、入れてやってくれるか」

「お菓子も出してね」


なんだろうこのわがままな人は。ちょっとあきれながら、携帯魔力コンロでていねいにガガを入れていく。いいにおいが立ちのぼってくる。


「すまんな、このわがままな大人たちは、王都の大きなクランに入っててな、人数を出して大きなアタックをすることが多いんだが」

「今回は気晴らし」

「そうなんですか」


「へぇー、ガガってこんなふうに入れるんだね」

「はい、どうぞ。お砂糖はどうしますか」

「オレは入れない」

「私は、砂糖もコミルも多めに」

うおう、もう一人がしゃべった!ルカさんだったか。


パウンドケーキの残りを出して、あ、ギルド長がうらめしげに見てる。また作ってあげますから、ね。


「ん、子羊亭よりうまいかも」

「ん」

ルカさんがほほえんだ。


「じゃあ、私はこれで」

「待って、君、僕のところで働かない?ユーグよりお給料ははずむよ。拠点は王都だし、華やかだよ」

「ジュスト!」

「あの、私ギルド長とはお茶友だちなだけなんです。仕事は別にありますので、お気づかいなく」

「それならますます好都合。僕とおいでよ」

「行きません。さようなら」

「え、待って!」


パタン。


「行っちゃったよ。まだ小さいから、おどかしちゃったかな。ねえユーグ、どこの子なの。なんでガガ入れられるの?」

「ダンジョンに来たんだろ。余計な事考えるな」

「しょうがないな。明日1日下見で。明後日から一週間潜ってくる」

「わかった。無茶はしないでくれ、ほかのやつに迷惑だからな」

「普通僕の心配でしょ」


リカルドさんとディーエより変な大人だった。危ない物にはちかづかないのが大切。あと3日、そしたらまたメルシェだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ