アーシュ10歳7の月学院へ
今日2話目です。
そうして、荷物持ちに戻り、7の月の3週目までがんばった。朝の訓練、荷物持ち、夕ご飯の手伝いの後は、学院の勉強。何しろ、8の月には授業だけでなくテストもあるのだ。マリアとソフィーは荷物持ちこそなかったが、その分子羊館と宿屋でがんばっていた。
そして3の週の終わり、あっという間に王都へ行く日がきた。
「学院で4週間。その後ダンの店を見てくるから、もう少しのびるかもしれません。今回は領主様の屋敷じゃなくて、学院の寮に泊まります」
「ダンがなあ、あいつ何目指してんだ」
「ダンの店だけど、資金を出したのは私たちだから、みんなの店でもあるんです」
「そうか、今度のギルド長会議で寄ってみるかな。今度は仕事じゃないからな、アーシュ、みんなも、楽しんでこいよ!」
「ギルド長、勉強に行くんです!」
真夏の草原は緑が濃い。あおあおと茂る草むらに、夏の風が過ぎていく。何の憂いもない道中は、時折の夕立のほか、さえぎるものもない。
4週目の終わり、無事に王都に着いた。
東門に並ぶ。
「まさかあいつ」
「アーシュ!少しは元気が出たか!」
「リカルド来やがった」
「もう諦めろよセロ、親戚のおっさんだと思え」
「リカルドさん!ディーエは?」
「ふっ、そうそういつも一緒ではないよ」
「ええっ?」
「元気そうだな。お迎えが来ているぞ」
「セロ!ウィル、アーシュ、マル」
「マリア、ソフィー、ニコ、ブラン」
迎えに来てくれてた!
「学院か、休みの日にでも西ギルドに顔を出してやってくれ。順調なようだぞ」
「東はどうですか」
「順調だ。暑いから時々冷たいお茶を飲みに行くよ」
「隊長、そろそろ寮に連れてっていいですか」
「すまないな、ザッシュ君。またな、アーシュ」
「はい!」
「夜は面倒見られるけど、オレたち夏休みはダンジョン潜ってるから、授業は自分たちでがんばれよ。ニコ、ブラン、よろしくな!まあ、学院はマリアたちがいるから平気だとは思うが」
「ニコとブランはオレの屋敷だ。オレも店の準備があるからな。もうほとんど仕上がったんだぜ」
「後で見に行くね、ダン。ザッシュ、ありがと」
寮は男女別だが食堂は一緒だ。二人部屋なので、マリアとソフィー、私とマルになる。セロたちに食事のとり方を教え、みんなでご飯を食べた。
「何だあのキラキラした集団」
「あ、リボンちゃんがいる!あ、夏休み、学外生か!」
「うお、マリアさんだ」
「ソフィーちゃん、またお茶会したい」
「マル君、また勝負だ!」
遠くでなんかうわさされてるような。
「見て、あの銀髪に氷のような瞳。ステキ」
「それより、あの見事な金の髪に緑の瞳よ。マルちゃんにそっくりじゃないの」
なんかイラッとした。
あれ、セロもイラッとしてる?
ウィルとマルは?にやにやしてる。二人そろって?あっちを向いて?ニコッて?
「キャー」
誰か倒れた。
「「兄妹パワー」」
何やってんだか。
「オレたちも」
ん?同じ方を向いて?何で肩組むの?はい、にっこり!
「そんな……」
「くっ」
「俺は負けない!」
シーンとした。
「さ、行こうぜ、アーシュ、マル、マリア、ソフィー」
「あいつ威嚇してたぜ」
「大人気ねえな」
「子どもだからな」
そんな感じで、学院は始まった。




