アーシュ10歳6の月メリルへ
今日2話目です。
次の日、私はリボンをつけなかった。
セロとは顔を合わせなかった。何か言いたそうにこっちを見るけど、そんな気分じゃない。
「アーシュ?どうした下を向いて。王都では大成功だったではないか」
「リカルドさん。大丈夫」
「そうか、また8の月に、楽しみにしているよ」
グレアムさんも、
「本当にみなには世話になった。また8の月には、ようすを見に来てくれ」
コナーさんは、
「朝食もランチも好評だよ。今度は奥さんも紹介しよう」
とやさしい。
たった1ヶ月だけど、メリルに戻ります!
「ダン、お店準備頑張ってね!」
「楽しみにしてて!」
6の月の草原は、2ヶ月前とは違って緑も濃く、空は青く、初夏の風はさわやかに吹きわたる。しかし馬車の中はギクシャクしていた。
「何があったの?」
「セロとウィルがな」
「あーアーシュ、リボンも付けてない」
「話もしてないんだぜ」
「ブラン、ソフィー、口を出さないようにね」
2人は、マリアにたしなめられている。ニコは、セロに何か言いたそうにしている。マルは何も言わずに私のそばにいる。セロとウィルは、いつも馬車の外にいた。
それぞれで学院の自習をしながら、やっとメリルについた。
「おい、おま、えら。……マリア、何があった?」
「ギルド長、後で。とりあえず、西ギルドと東ギルドに朝食とランチの仕組みを作り上げてきました。ダンのお茶販売も成功していて、順調なすべり出しです。中央ギルドは、ようすを見て、来年以降ということになりました。今年はもう、派遣はなしですって」
「お疲れさまだったな。正直、お前らがいないと調子が狂う。この3週間だけ、子羊館に客を詰め込ませてもらうぞ、アーシュ」
「大丈夫です。ちょっと疲れたので、もう行ってもいいですか」
「お、おう」
マルと2人で走って帰る。
「何があったよ……」
「セロとウィルに聞いてください。では、私たちもこれで」
女子組はけっこう怒っていた。男子組が残る。
「セロ」
「……」
「ウィル」
「メリルを離れて、修行に行きたいって、オレたち」
「あー……。そうか」
「アーシュならわかってくれるって、オレ、アーシュこんなに怒るって思わなくて」
「大人にもできない事を、何でもできるからか?」
「いつだって笑ってて、みんなで冒険者になることも結局は賛成してくれて、だから強くなることを反対されるとは思わなくて」
「ウィル、そうか、セロ」
「わかっています。強くなることを反対されてるんじゃない。みんなでって、オレ、アーシュに言ったのに。アーシュは怒ってるんじゃないんだ、ウィル」
「じゃあ、何で話してくれない」
「みんなのことなのに、オレたちが、オレが勝手にきめて、傷つけたんだ」
「傷つけた……」
「メリルに帰ってきた今なら、話も聞いてくれるかもしれない」
「どうだかな、かなり固い壁に守られてるぞ」
「ニコ」
「オレも味方はしねえよ、女は傷つけちゃいけねえんだ」
「……自分でがんばるよ」




