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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
集まる子羊編
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アーシュ7歳3の月3週

かあちゃんが死に、セロとウィルとマルと暮らして1週間すぎた。3の月の3週目に入った。温暖なメリルでは、もう春がきつつある。


1週間たつと、リズムがしっかりできてきた。


朝起きて、黒パンを食べて、焚きつけを拾ったり草刈りをしたりして住むところを整える。それから4人で街に行き、セロとウィルは解体所で1日働く。私とマルは、馬房の掃除をし、やおやのおばあちゃんや市場のお手伝いをして、野菜やおだちんをもらう。お昼を食べたら、解体所で2時間働き、お肉を分けてもらう。削り方がうまくなり、お肉の量も増えてきたので、結構お肉を食べれるようになってきた。


ただ、いつもうまくいくとはかぎらない。マルは、今まで放置されていた分、集中力がないし、時にはしごとにならないからだ。そんな時は、お肉はなしだけど、のんびりマルと遊ぶ事にしている。だって7歳だもの。


むしろ、セロとウィルは、なんであんなに働けるんだろう。

「子守より楽だ」

なんて笑うけど、解体所の、モンスターの肉も骨も重いから、重労働だ。


解体所ではモンスターの肉をさばく。ダンジョンとは不思議なところで、モンスターを倒して一日たつと、その体はダンジョンに吸収される。ただし、床や壁に接していなければ、吸収されず、持ち帰れる。父ちゃんの遺体も、ダンジョンに吸収されたはずだ。


ランクの高い冒険者は、魔石だけ取って肉は放置だが、低ランクはなるべく持ち帰りが推奨されている。逆に、街で出たゴミもダンジョンに持ち込まれるため、ゴミ問題もない。解体所の子どもの仕事は、工場からダンジョンのそばまでゴミを運ぶこと。


ダンジョンの多いこの国は、魔石で回っている。魔石のコンロがあれば、焚きつけもいらないし、料理も楽だ。冷蔵庫のようなものもある。日本の、電気やガスが魔石でかわりになっているようなものだ。少しずつ、手に入れられるといいな。


そんな毎日だが、3週目の終わり、セロが

「これからのことだけど」

といってきた。


「四の月に、オレたちは10歳になり、ダンジョンの荷物持ちの資格ができる。オレと、ウィルで、その仕事をしたいんだ」


荷物持ちとは、冒険者育成のシステムだ。

魔石の他に食肉を持って帰ることも推奨されていると言ったが、冒険者の収入は、魔石がメインだ。そこで、戦闘には参加させない荷物持ちを連れていく。10歳から可能で、2人ひと組で、魔石の取り出しと、モンスターの持ち出しをする。


剣士の戦い方はもちろん、魔法師の戦い方や、連携の仕方も見学できる。パーティが認めれば、スライムやラットなどの狩りもできる。ギルドに仮登録となり、銀行も利用可能になる。解体用ナイフと、拡張リュックも貸し出される。日当は1日1000ギル。


住むところがあって、冒険者を目指すこどもには願ってもないシステムだ。冒険者は12歳から。これにより、ギルドもいきなり冒険者になって死亡する率を減らせ、安定した魔石と食肉の供給がはかれるというわけだ。


「マルはそれでいい?」

「マルはアーシュといる」


「なら、私はだいじょうぶ」


「それでね、お金のことなんだけど」

「うん、少したまってきたね?」


みんなで働いていろいろかっても、1日500ギルくらいあまりが出る。3週目終わりには、あわせて5000ギルになっていた。


「アーシュにまかせたいんだ。オレたち、金とかもったことないし、あれば使っちゃうし」

「いいけど……」


「じゃあね、セロとウィルは、ギルドの口座を作ってね」

「口座?」

「お金を預かってくれるの」

「作る!」

「一人ずつね」

「「うん!」」

「そして、もらったお金の半分を預けてきて?」

「「うーん」」

「残りでパンを買って、余ったらアーシュに預けて?」

「むずかしいなあ」


「も1回ね」

「「「口座作ってー、半分預けてー、パンかってー、残りアーシュに」」」

「かんたん!」

「「「うん!」」」


こうして3週目も終わる。

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