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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
飛び出す子羊編

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アーシュ10歳5の月2週目

今日1話目です。

結局、みんなで出資することになった。今週は毎日朝食70食、ランチ70食ずつで頑張った。採用人数も増やし、なんとかアーシュたちの監督のみでできるようになってきた。と同時に、東ギルドでのお茶販売が許可された。採用は東ギルドに任せて、今週末にダンと西ギルドのお茶販売の人が指導に入る形になる。


そしてその週、アーシュはギルドの仕事が終わると、ダンの屋敷に通ってお菓子作りをしていた。作っているのはパウンドケーキだ。どうもこの国には、ふくらし粉とかベーキングパウダーというものがない。そのため、もちもちしているか、固いクッキーのようなお菓子が主だった。そのため、コッカの卵を泡立てて、それを加えてフワフワにする。油は、ココの油を使う。本来どの分量も同じなのだが、甘いものになれていないメリダの人用に、少し甘さ控えめで、ふわふわのパウンドケーキの研究を重ねた。今までやっていなかったのは、電動泡立て器がなかったから。アメリアさんのおかげで、魔力泡立て器が完成したので作れるようになったのだ。なにしろコッカの卵は1個がニワトリの5倍はある。10歳の手では難しかったのだ。


味見ができるとわかってからはマリアとソフィーも一緒だ。もちろん、マルは最初から。もっとも、メインの手伝いは、若い夫婦だ。もともとシースで軽食屋のようなものをやっていたがうまくいかず、王都に出てきたのだった。ココの油は、ダンの父さんのシースに住んでいるフフ仲間が融通してくれているのだが、その親戚筋という縁でダンの父がこの2人の世話をすることになった。ダンは、この夫婦に店長を任せたいらしい。


確かに、お菓子作りもすぐに覚えたし、お茶のいれ方もうまい。店を失敗したのは、シースで家庭で飲まれているガガという滋養飲料を中心にしようとしたかららしい。ダンのように付加価値をつけなければ、家で飲めるものをわざわざ買いにこないというわけだ。


このガガがダンのいう、飲み物だ。白っぽい豆をからいりして、くだいて煮出して飲む。ほのかに香ばしく、目が覚めてやる気になる。これはコーヒーに似ているような気がして、魔力コンロを使ってていねいに焙じた。茶色から黒に変わる頃、コーヒーと同じような香りがしてくる。細かくくだいて、煮出して飲むと、これはコーヒーだ!


「苦すぎるよ」

とダンやマリアはいう。

「これはくせになる」

とダンの父さんと若夫婦はいう。


では、砂糖とコミルを混ぜると?

「おいしい!」

「こんな飲み物初めて!」

女子には大人気だ。

「これはこれで」

「私は苦い方が」

男子にも好評だ。


「これは、男性に売れるんじゃないかな」

「付き添いで来た人にもね」

「ケーキにも合うし、何より苦いのがこう、男らしい」


「これ、冷たくしてもおいしいと思う」

「あ、本当だ!苦いからすっきりする」


「人手で作るとすごく大変だから、アメリアさんに焙煎する機械と、砕く機械を作ってもらわないと」

「ダン、手紙を書いて、水筒や泡立て器も増量してもらおう」

「あと、ガガにお茶、砂糖にココの油、卵もけっこういるよ」

「仕入れ先の確保だな」


「どうなる事かと思ったが、何とかいけそうだね」

「父さん」

「みんなのお金と気持ちを預かっているんだ、力をつくしなさい」

「はい!」


これで2週目が終わった。

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