アーシュ10歳5の月1週目6の日
今日1話目で、続きがあります。※セロとウィルの所在について、足してあります。すみません。
6の日、ザッシュたちがやってきた。
すごく元気だ。
「久しぶり!2ヶ月ぶりだな」
「学院の方はどうなの」
「うん、勉強は全く困らない、かなり予習してたからな」
「何か困ること、他にあるの?」
「うーん、みんな親のいる子ばかりだからな、少し子供っぽいんだよ、しかもオレ、2つ年上だろ?」
「そう、ザッシュとクリフさ、お兄さん的存在というか、冒険者やっててかっこいいし、男からも女からも結構人気あるんだ」
「クリフも?」
「クリフもさー、落ち着いて、前に出ないけどそこがイイ、って感じ」
「へえー、確かに冒険者の時も人気あったよねー」
「ソフィー、そんなことないって。ダンこそ、騒がれてるじゃないか」
「オレは金持ちだからな。な、ザッシュもクリフもこれだろ?無自覚だからな。余計にな」
「楽しそうでよかったわね」
「ありがとう、マリア。ところで、ニコとブランもいるなら、今日はダンジョンもぐりたいんだが」
「はっ、なまってんじゃねえのか?」
「だから取り返したいんだよ」
「マリア、いいか?」
「構わないわよ、こっちも忙しいからいってらっしゃい」
あっという間にいなくなった。セロとウィルもいつものように2人でダンジョンに降りた。
「ねえ、ダン」
「なんだ、アーシュ」
「昨日、東ギルド長が来てくれたんだけど、お茶販売にちょっと前向きだったんだ」
「ホントか!」
「こっちの形ができたら、できれば東ギルドにも朝食を立ち上げてからメリルに帰りたいの」
「焦らなくていいんじゃないか?」
「ここは一気にたたみかけるべきだと思うの。だから下地をつくっておいてほしくて」
「わかった。来週末までには準備をしておくよ。アーシュにオレからも相談があって」
「なに?」
「んー、今日みんなと一緒に話すよ」
「わかった」
朝食販売は7の日はお休みだ。
明日は何をするんだろうか。
そろそろ早い冒険者の帰ってくる時間帯だ。
「こっちに来い!」
「言いがかりをつけるな!」
突然、争う声が聞こえた。
「人の獲物を取りやがって」
「階に先にいたのは俺達のはずだ!あとから割り込んで来たのはあんたたちだろう」
「魔法師の届く範囲にいた獲物だ。おれたちの範囲にいたお前らが悪い」
「攻撃している最中に、後ろから魔法で割り込むのがおかしいだろう!」
ザッシュだ!年上のパーティともめている。
「困ったわね」
「アリスさん、魔法師のパーティの人、言ってることおかしいよ」
「ところがね、アーシュちゃん、確かに魔法師の方が攻撃のレンジが長いから、普通同時に獲物を見つけたら、魔法師パーティを優先するのよ、ただし、お互いの同意のもとでよ」
「でも、ザッシュたちが先だって」
「他に見ている人がいない場合、お互いの良心とプライドによるから」
「ザッシュは絶対にずるはしない!」
「「ソフィー」」
「ザッシュがしてないって言ったら、絶対にしてない!」
「へえ、じゃあ、勝負しようか」
「ちょっと、冒険者同士の私闘は禁止よ!」
「オレたちだって若いお嬢さんに嘘つき呼ばわりされたままじゃなあ、私闘じゃないぜ、ちょっと訓練してやるだけさあ」
「そんなことをする理由がない」
「かまわないぜ、じゃあチャラにしてやるから、代わりにこのお嬢さんたちをお借りするぜ」
「な」
「やめてください」
「マリア、ソフィー」
「わかった。勝負はする。女の子たちに、手は出すな」




