アーシュ10歳5の月1週目
今日2話目ですが、昨日の続きです。
朝食販売が続きます。
さて、次の日だ。食材は前日に40食分急いで納入してもらっている。朝の6時。お手伝いは5人集まった。年上から、30前後のマヤさん、20代半ばのユリアさん、ステラさん、15歳のカミラさん、、ハンナさんだ。上3人は未亡人だそうだ。
自己紹介もそこそこに、早速スープのお手伝いにはいってもらった。若い2人は、ランチの製造に入ってもらう。未亡人たちはさすがに料理の手は早いが、具沢山なところや肉団子、そしてその量に圧倒されているようだった。若い2人は、逆にプレッシャーもないようで、楽しくサンドを作っている。
ランチ組は、とりあえず40食作り上げるが、ニコたちに持たせる分と、手伝いのみなさんの分はよけておく。
私とカミラさんとハンナさんで、ランチとレーションの売り場を急いで組み上げ、7時には販売開始だ。と同時に、軽食と酒場の場所を使って、ニコたちに朝ごはんを出す。
すると、匂いにつられて少しずつ冒険者がやってくる。宣伝もしておいてもらったので、楽しみにしてくれている人もいた。
「毎回茶も飲んでるんだけどな、朝飯が出るってんで、楽しみにしてたんだ、うまそうだな」
「ありがとうございます!」
食べている人がいればどんどん寄ってくる。食べ終わった人は、その流れでランチも買っていく人が多い。
「子羊ランチはいかがですかー、お昼のお供に、レーションもありますよー」
カチカチのカミラさんとハンナさんに、
「さあ、声をかけてください!」
というと、
「こ、子羊ランチはいかがですかー」
ときちんとやってくれる。
心配していた計算も大丈夫なようだ。
そしてメリルのときのように、あっという間に売り切れた。もちろん、ランチもだ。
「なんだよ、匂いだけかよー」
「楽しみにしてたのにな」
「明日はもっと出しますので、すみません」
ということになった。片づけをして、明日作る分、1週間のメニューなどを教えて、本日終了。
「マヤさん、ユリアさん、ステラさん、どうでしたか」
「まあ、マリアさん、慌ただしかったですけど、なんとかやっていけそうです。朝食、本当においしいですね」
「私たちは少しずつ抜けますが、人手はどうでしょう」
「もう少しほしいですね、お休みしたい人もいるでしょうし」
「では、少し増やしましょうか」
「あの、できればさん付けではなく呼んでほしいのですが」
「ではみなさん、そうしましょうか。明日からは、ローテーションで、1通りのメニューと、販売の経験を積みたいと思います」
次の日は、60食。それ以上は増やせなくて、文句も言われたが、どうやら噂を聞いてほかのギルドからも来ているらしい。納入を増やし人も増やし、来週からは70食。マヤさんをリーダーにして、仕切ってももらう。
計画を立てていた5日目、リカルドが、東ギルド長を連れて朝食にやってきた。盛況なようすをしばらく眺めたあと、朝食を注文した。
「ほう、500ギル、スープとパンのみか、スープはこれは、具が多いな」
「私も初めていただきますが、これはうまい」
「このパンは、何、コレをつけてと、ふむ、合うな、これは妻にも教えてやりたいものだ」
「リカルドさん、東ギルド長、おはようございます」
「アーシュ、おじゃましているよ」
「なかなかうまかったよ」
「これ、サービスです、冷たいお茶なんですが」
「おお、懐かしいな、これ、うまいんですよ、ギルド長」
「ふむ、いただくか。うん?これは……」
「まだ5の月だと微妙ですけど、暑い時は本当によいものですよ」
「確かに、ダンジョンの後にはよいものだろうな」
「甘くないものも出せるんですよ」
「ほう、それもよい」
「朝食はともかく、お茶だけでも出してみませんか、ギルド長」
「あー、ギルド長だと区別つかないのでな、コナーと、呼んで構わない」
「コナーさん?」
「うむ。まあ、悪いこともないだろうが、少し検討する。ただ、レーションは希望者が多くてな……」
「量産できるようになったら、東ギルドにも回しましょうか、お茶と一緒だとよく売れるんですよ?」
「うまいな、グレアムとも話してみよう」
「はい、また来てくださいね」
そうして6の日が来る。




