試験
日付が変わってしまいましたが、試験です。
いよいよ試験の当日だ。8時までに集合で、9時から試験になる。午前中に、国語、算数、歴史になり、お昼をはさんで、午後から地理、作文である。
学院の入口まで送ってもらって緊張しながら受け付けたが、仲間が8人もいるので、教室では楽だった。が、周りから見られているような気はした。
昨日までの私なら、ザッシュたちがかっこいいから、とか、マリアとソフィーね、と思っていただろうが、今日からは女子力が違うのだ。目が合った子ににっこりとほほえみ返したら、目をそらされた。女子力はついていなかったようだ。むやみにほほえむなとセロに怒られた。
一つの教室には30人ほど。説明のあと、紙が配られ、さあ、試験のスタートだ。
あれ、簡単だ。すぐに終わってしまった。あっという間にお昼になった。
地理は?簡単だ。
それでは、作文は?
「作文の題は『 魔石の利用について』です。時間は1時間、枚数は1枚以上は書きましょう」
ため息が出ている。そうだよね、作文苦手だよね、わかる!
さて、魔石の利用か。魔力補充の問題でも、考えてみましょうか、半永久に冒険者から魔力をしぼりとる方法っと。ふふふ。
あ、
時間だ、そろそろまとめなきゃ。
「はい、終わりです。お疲れさまでした。合格発表は、3日後の10時に、受け付けたところで行います」
終わったー。どうだった?
「まあ、あんなもんかな?」
「どのくらいで、合格かな?」
「7割以上らしいぜ」
「なんとかなったかな」
さあ、領主さまの屋敷に、帰ろう!
「アーシュ、合格までの間に、ギルドでお茶の販売の許可をもらおう」
「そうだね、でもそれならお茶の見本と、レーションがあった方がいいよ」
「じゃ、今日は無理か」
「予約だけ入れてもらおうか」
「西ギルドってどこだろう」
「それなら私が案内するよ」
「ノア!」
「きっと試験に来ると思ってね、待っていたんだよ。試験はどうだった?」
「そんなに難しくなかったと思う」
「そうだろうね、7の月には、余裕で合格ラインだったからね」
「合格するといいな」
「大丈夫さ、さあ、遅くならないうちに行こう」
「「はい!領主さま、行ってきます!」」
「ところで、何しに行くんだい?」
「オレ、メリルのダンジョンでお茶の販売を始めたんです」
「お茶かい?」
「ダンジョンから上がってすぐ、お茶があったら嬉しいでしょう
」
「確かにね」
「メリルでは結構人気なので、この機会に王都でも試してみたくて」
「なるほど」
「それでメリルのギルド長が、王都の西ギルドならって」
「あと、子羊レーションも売ってこいって」
「あれが西ギルドで買えるのか、それは買いに行かなきゃね」
「これから作るんですけどね」
西ギルドについた。支部と言っても、メリルの2倍はある。中に入ると、受付の形はメリルと一緒だ。
「すみません、ギルド長にお会いしたいんですが」
「まあ、子どもがこんなところ、だめよ、約束がないとお会いできないわ」
「これをお願いします、メリルのギルド長からの手紙です」
「何言ってるの、だめって言ってるでしょう」
「手紙だけでも見せてください」
「子どもだと思って、わがままいわないのよ」
「あー、きみ」
「まあ、ノアさま」
「この子たちの件、ギルド長に通してやってくれないか」
「ノアさまのお知り合いなら……少しお待ちください、ほら、それ、寄こしなさい」
「こんなことだと思ったよ」
「メリルと全然ちがうね」
「メリルはね、かなり自由がきくんだよ、王都は堅苦しくてね」
「お、お待たせしました、ギルド長がお会いになるそうです」
「じゃ、行ってきます」
「ノアさまはいかれないんですか?」
「なぜ?彼らの用事だよ?終わるまで、待たせてもらうかな」
王都は、ひと筋縄では行かなそうだ。
さあ、ダン、いざ、行きますか。




