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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
集まる子羊編

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アーシュ9歳6の月

ブクマ、感想、評価ありがとうございます。励みになります。今日1話目です。

領主やダンのお父さんに丸投げした石けんだが、量産の体勢は整いつつあった。大量生産できる配合や設備、高級石けんの試作、それとともにメリルでの普及実験、更には領主の奥様方による、王都での社交により、下地は作られつつあるようだ。


また、獣脂とオートミールの安定した生産が可能になり、暇ができ始めた5の月から、ずっと作りたかったオートミールクッキーの試作を始めた。


オヤツとしてのオートミールクッキーは、獣脂と廃蜜糖を多くすればすぐできた。日中にやっていれば、領主やギルド長などの大人3人組にすぐ見つかってしまい、


「このサクサク感がなんとも」

「奥さんにも食べさせたいですねえ」

「時間がないときに手軽なのがイィ」


と大好評であった。そんな日はもちろん、セロとウィルとマル、そしてマリアやお客さんたちにも試食してもらう。


しかし、私が考えていたのは、おやつではなく、ダンジョンに持っていけるレーションだ。


もちろん、収納バッグがあれば、食事には困らないのだが、いわゆる携帯食のようなものはほとんどない。1ヶ月くらいは長もちで、甘すぎず、お腹にたまる、いわゆるシリアルバーのようなものをなんとか作り出せないか。


たくさん作ってあるドライフルーツも加え、甘すぎず、油も控えめに配合を考え、日持ちをチェックしていく。なぜかギルド長もチェックに来るので、2人で研究し、ザッシュたちや宿の冒険者たちにダンジョンにもっていってもらう。検討1ヶ月、5の月の終わりに決めた配合は、6の月の終わりまで味が変わらなかった。味も好評だ。コレ、大事。


これを、子羊のマークのついた紙に包み、温泉宿のように宿のお土産として食堂で売って、とニヤニヤしていたら、


「何言ってんだ。これは、ギルド預かりだ」

と言われた。

「そんな、子羊レーションとして宿の冒険者名物にする私の計画が」


「はあー、いいか、お前、ダンジョンに潜る冒険者が、いつもどんな思いをして味気ない黒パンをかじってると思ってんだ。子羊ランチがなんで喜ばれてるかよく考えろ」

「でも、うちの名物」

「まだ言ってんのか。子羊レーションつの?名前は残す。特許料もやる。けど、冒険者が誰でも買えるように、ギルドの売店に置く。みんなのためだぞ」

「みんなのため」

「冒険者のため、ザッシュたちのため、いずれ冒険者になるセロとウィルのためだ」

「セロとウィル」

「もっと手をのばせ!お前が救えんのは、もうお前の手の範囲だけじゃないんだぞ」

「……」


手を広げても、いいのかな。


「とりあえず7の月の『 涌き』で、試作販売だ。大量につくって、屋台でランチと一緒に出せ」

「えぇー」


手を広げて、いい…のか…な?

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