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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
集まる子羊編

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アーシュ9歳4の月まだまだ大変

今日6話目です。

教会を興味深げに眺めているノアたちを連れて、牧師館へ。

そういえば、こちらを宿屋として使ったことは、まだない。


玄関を入ると、1階で食事を食べるところの説明をし、トイレとお風呂と石けんの案内をし、2階に連れていった。


「個室ですが、2人部屋がよければあります」

「いや、個室があるなら、個室にさせてもらうよ」

「では、こちらになります。食事はもう少しあとです。食堂は開放されているので、いつでもどうぞ」

「ありがとう」


緊張した。


あかつきのメンバーはお風呂を先に使ったようで、冒険者たちの夕食がひと段落した後で下りてきた。今日はきのこのスープと、ハンバーグだ。お手伝いの奥さんたちは、さすがに大人なので、量の多い料理を素早く作ってくれる。おかげで、ハンバーグなど力のいるものや、揚げ物なども出せるようになった。こういった料理は奥さまたちから、街に還元されていく。おかげで獣脂の売上もよい。


不思議そうに料理を見ていたが、やがて勢いよく食べ始めた。


「おいしかったよ」

というノアは、紙づつみを出して

「茶葉はあるんだが、茶を入れてくれないか」

という。


領主さまが買っておいてくれた茶器で、お茶を出してあげた。


「あれ、アーシュいつお茶の入れ方覚えたの?」

「領主館で、おやつを出してくれたとき」

「ああー」


「おいしい、ほっとするね」

黒パンを薄くスライスして、ジャムをつけて出してあげた。

もちろん、セロとウィルとマルにもだ。


「初めて食べるものばかりだが、うまいな」


「ねえ、ノアさん、帝国の話」

セロが言う。

「なんで行くことになったの?」


「帝国はね、大きい国で、ダンジョンがあまりないんだよ」

「魔石は?」

「輸入が主だが、そもそもあまり使われてないんだ」

「不便だね」

「人が多いから、働き手には困らないんだろうね。それでね、冒険者がすごく少ないんだ」

「へえー」

「だけど、ダンジョンが存在する以上、必ず『涌き 』がある」

「メリルは7の月だよ」

「そうだね。でね、帝国軍は、あまり魔物が得意ではない」

「弱いの?」

「いや、かなり強い。だが、対人なんだ」

「人?」

「そう」


「だからね、メリダに冒険者の要請がくるんだ」

「呼ばれるの!」

「みんな、行きたがらないけどね」

「なんで!」

「セロは行きたいのかい?」

「しらないところ、行ってみたいと思うよ」


「たとえ、下に見られるってわかっててもかい?」

「下……」

「冒険者は、帝国では底辺なんだ」

「そんな……」

「僕たちは、これでも貴族階級だからね、それもあって行かされたのさ、貴族なら、一定の礼儀は払われるからね」

「それでも」

「ん?」

「それでも、行ってみたい」

「そうか」

「メリダより遠くがあるんだ……」

「帝国の奥に、フィンダリアという国もあるよ」

「!」


「学院に行けば、帝国語も学べるが」

「……」

「うん、ありがとう」


セロは遅くまで話していたようだった。


「おや、ちびちゃんはおねむのようだよ」

「まだ小さいから」

「運ぼうか」

「いえ、オレが運びます」

「ではね、休ませてもらうよ」

「おやすみなさい」



「小さいレディに、小さいナイトだな」

「ノア、たぶん、あの子たち、小学校もいけてないぞ、学院とか、あまり夢を見させるな」

「つい、な、すまない、あまりに一生懸命だから」

「夢を見させたくなる、か」

「ああ」

「いい宿だぞ、今夜は、僕たちがいい夢を見よう」

「そうだな、おやすみ」

「おやすみ」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ギルド長がただただ不快。 子供に負担ばっかりかけてなんだこいつとしか思わない。
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