アーシュ9歳4の月
今日5話目です。
疲労こんぱいした3の月。セロやマリアとも話して、4の月からはもっと人手を雇うことにした。お金は欲しいが、生活が崩れては意味がない。私たちは、まだゆっくり休んで成長しなくてはならないのだ。
「特にアーシュはちっこいからな」
そんなことはない、標準のはずだ。
「アーシュちゃん、洗濯外注しないかい?」
と奥さん方に交渉され、洗濯を請け負ってくれることになったのでほっとした。冒険者の人も長い滞在が多いので、助かるサービスとなった。
生活魔法があると、洗濯はそれほど重労働ではない。朝や夕方に働きに来れない奥さん方も、昼に自由に働けるということになる。
朝晩は忙しいが、昼と寝る前は時間ができるようになるだろう。
「おい、お前ら」
……。
「おーい」
なんでしょう?
「あー4の月だな!」
はい、そうですね。
「こちらが、新年度にあたってメリルに来た、A級パーティの皆さんだ」
「あかつきの、ノア、剣士だ。こっちがイーサン、クーパー。剣士、魔法師」
わあ、セロとウィルがキラキラしてる!
うお、頭なでられた、グラグラする、頭取れちゃう!
確かに、かっこいいね!
ところで、なんで私たちに?A級さんたちも、戸惑ってますが?
「なんか気まぐれでメリルに来たらしくて、泊まるとこがないんだと」
「まさか」
「お前らんとこ、牧師館の2階は、空いてたよな?」
なんでも知ってるギルド長。なぜ嫁がこないのか。
「それは今、関係ねえ」
「とにかく、とりあえず頼むわ」
「親御さんは、大丈夫なのか?」
「あー、親はいねえ、宿屋やってんだわ」
「それはすまない……」
「確かに部屋はあるけど、古い牧師館で、朝ごはんもギルドに来ないと行けないんだよ?ご飯も大部屋だよ」
「ああ、かまわない、A級といえど、駆け出しの頃の気持ちは忘れてないよ。最初は大部屋だったからね、屋根があれば大丈夫だよ」
「それならどうぞ」
教会までの道のり、セロとウィルは、一番遠くはどこに行ったのかとたずねていた。
「帝国かな」
「帝国!」
メリダは、島だ。
東に魔大陸と呼ばれる大陸があり、海にも魔物が多く、そちらはいけない。西に二週間ほど船で進んだところに大陸があり、そこで一番大きな国が、帝国だ。
「海を渡ったの?」
「そうだ」
教会についた。
「続きは、後でな」




