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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
集まる子羊編
3/307

アーシュ7歳3の月2週

今日3話目です。

「じゃ、いこう」


マルと手をつないで、寝泊りしている場所に行くことになった。ザッシュのグループはギルドのそばの廃屋に住んでいる。


でもこれはどうなんだろ。


ついたのはギルドから徒歩20分、古い教会の、うまやだった。

ふとんなどない。わらの間で寝るのだという。


照れながら自己紹介しあった。

「オレはセフィロスで、セロ、今度10歳だ。10歳になって、ギルドの荷物持ちになってから、冒険者になる。こっちは」

「ウィリアムで、ウィル、今度10歳」

「マルだよ!」

「マーガレットで、マル、今度8歳」

ウィルの説明が入る。

「アーシュマリアで、アーシュ、今度8歳」


この世界では、ひと月は28日、13の月まである。

そして4の月にいっせいに年を取るのだ。


「オレは、物心ついた時はメリルで孤児だった。だから冒険者になって、いろいろなところに行きたいんだ!」

とセロ。

「オレたちは、たぶん貴族の捨て子。母親が死んでから、目の色が変だからって、屋敷の小屋で閉じこめられてた。けど、何年かして、馬車で連れてこられて、ここに置去りにされた。オレは母さん覚えてるけど、マルはほとんど人と話したことがないんだ。それで人とうまくつきあえないんだと思う」


この国の人は、髪は濃い茶から金、目の色は茶系か、青がおおい。ウィルとマルは、金髪に緑の目。セロは、銀髪に、アイスブルー。わたしは、かあちゃんとおなじ、黒髪に琥珀の目。確かに、みんな珍しい。


「お父さんは生きてるかもしれないね」

「でも、いらない子だしな。だからオレは、セロについていく。冒険者になって、遠くにいくんだ!」

「マルも!」


「私はまだ、何をしたいかわからないけど」

「いいさ」

「これからよろしくな!」


「新しく人が入ったから」

「はい」

と渡されたのは黒パンと干し肉のかけらだ。


それから、水。


温暖な地域とはいえ、3の月はまだ寒い。


「いつもこのごはんなの?」

「今日は、特別。ほし肉がある」

「料理は、しないの?」

「しないよ。料理って、したことない」


これは……

私は、まだこないだまで親と暮らしていたから、料理のしかたはしってる。けど、この子たちはもっと幼い頃、親をなくしてるから、知らないんだ……



確かに、黒パンは日本の白いパンより栄養がある。

玄米と同じ。


でも、育ち盛りには、タンパク質も、野菜も必要だ。

温かいものだって食べさせるべき。


「明日から、どうするの?」

「いつもは、オレかウィルがマルを見てて、残りが解体所で働いてる。できれば、明日からはアーシュがマルを見ててほしいんだ。そしたら2人で働けるから」

「マルは、それでいい?」

「うん!」


「じゃ、もう寝ようか」

「はーい」わらだけどね。


ウィルとマルは兄妹だから、一緒にねる。

私は

「アーシュは、オレとだ」

ええー。


わらぶとんに、しっかり引き込まれ、セロの腕に抱え込まれた。(うおー、コレはハズカシイ)

「アーシュは、オレの妹のようなものだからな」

「オヤスミなさい……」


守るつもりだったけど、みんな強い。

今日は、たった10歳の子の手に、守られてねむる。


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