アーシュ7歳3の月2週
今日3話目です。
「じゃ、いこう」
マルと手をつないで、寝泊りしている場所に行くことになった。ザッシュのグループはギルドのそばの廃屋に住んでいる。
でもこれはどうなんだろ。
ついたのはギルドから徒歩20分、古い教会の、うまやだった。
ふとんなどない。わらの間で寝るのだという。
照れながら自己紹介しあった。
「オレはセフィロスで、セロ、今度10歳だ。10歳になって、ギルドの荷物持ちになってから、冒険者になる。こっちは」
「ウィリアムで、ウィル、今度10歳」
「マルだよ!」
「マーガレットで、マル、今度8歳」
ウィルの説明が入る。
「アーシュマリアで、アーシュ、今度8歳」
この世界では、ひと月は28日、13の月まである。
そして4の月にいっせいに年を取るのだ。
「オレは、物心ついた時はメリルで孤児だった。だから冒険者になって、いろいろなところに行きたいんだ!」
とセロ。
「オレたちは、たぶん貴族の捨て子。母親が死んでから、目の色が変だからって、屋敷の小屋で閉じこめられてた。けど、何年かして、馬車で連れてこられて、ここに置去りにされた。オレは母さん覚えてるけど、マルはほとんど人と話したことがないんだ。それで人とうまくつきあえないんだと思う」
この国の人は、髪は濃い茶から金、目の色は茶系か、青がおおい。ウィルとマルは、金髪に緑の目。セロは、銀髪に、アイスブルー。わたしは、かあちゃんとおなじ、黒髪に琥珀の目。確かに、みんな珍しい。
「お父さんは生きてるかもしれないね」
「でも、いらない子だしな。だからオレは、セロについていく。冒険者になって、遠くにいくんだ!」
「マルも!」
「私はまだ、何をしたいかわからないけど」
「いいさ」
「これからよろしくな!」
「新しく人が入ったから」
「はい」
と渡されたのは黒パンと干し肉のかけらだ。
それから、水。
温暖な地域とはいえ、3の月はまだ寒い。
「いつもこのごはんなの?」
「今日は、特別。ほし肉がある」
「料理は、しないの?」
「しないよ。料理って、したことない」
これは……
私は、まだこないだまで親と暮らしていたから、料理のしかたはしってる。けど、この子たちはもっと幼い頃、親をなくしてるから、知らないんだ……
確かに、黒パンは日本の白いパンより栄養がある。
玄米と同じ。
でも、育ち盛りには、タンパク質も、野菜も必要だ。
温かいものだって食べさせるべき。
「明日から、どうするの?」
「いつもは、オレかウィルがマルを見てて、残りが解体所で働いてる。できれば、明日からはアーシュがマルを見ててほしいんだ。そしたら2人で働けるから」
「マルは、それでいい?」
「うん!」
「じゃ、もう寝ようか」
「はーい」わらだけどね。
ウィルとマルは兄妹だから、一緒にねる。
私は
「アーシュは、オレとだ」
ええー。
わらぶとんに、しっかり引き込まれ、セロの腕に抱え込まれた。(うおー、コレはハズカシイ)
「アーシュは、オレの妹のようなものだからな」
「オヤスミなさい……」
守るつもりだったけど、みんな強い。
今日は、たった10歳の子の手に、守られてねむる。