アーシュ8歳冬支度
今日7話目です。
オリーブオイルは12びんにもなった。
ダンのところは、オリーブオイルの大商人なのだ。
これをもって、私の石けん計画は始まった。獣脂とオリーブオイルを使った、石けんづくりだ。灰と水で、濃いアルカリ液をつくり、あたためた油に入れていく。本来、かなりアルカリ度が高くないと固まらないのだが、世界の違いか、きれいに鹼化していく。アルカリと、温度、油の量を、きちんと計って実験していった。10の月終わりには、確実につくれるようになっていた。お風呂でもアワアワで大好評だ。
ところでフフ茸だが、面白がって探したら、マルが見つけた。群生地だ。
「くさいよ?」
という通り、子どもには苦手な、アレだ、マツタケ的なナニカだった。
「どうする?高く売れるよ?」
「オレね、これは、ダンの父さんにあげたらイイと思う」
「えー、セロ、なんで?」
「オレたち、十分、稼いでるだろ」
「うん」
「これ、オレたちの努力の成果じゃあ、ないよな?」
「ぐうぜんだよね」
「お世話になった人に、かえしてもいいんじゃないかな」
「「「さんせーい」」」
ということで、ダンのお父さんを連れてくると、気絶しそうなくらい驚いたので、笑えた。
「ほんとにもらっていいのかい?」
「平気です」
「じゃあ、クラブの仲間をあっと言わせてくるよ」
今年は断トツで1位だったそうだ。
「僕が、いつでも、この子たちの後見になろう」
ダンの父は、そう誓ったと、後で聞いた。
そして、いよいよ馬屋から教会に引越しだ。
説明しよう。
入口の部屋には、魔力コンロをアメリアさんから買った!ふたつで5万ギルだ。教会側には、魔力トイレ。魔石で分解するスグレモノだ。衝立の中には、簡易お風呂セットがある。水は魔道具に井戸から補給し、それを魔石で暖める。お風呂の排水も、魔石で吸収だ。これらで10万。奥の部屋には、なんと!魔力ストーブが、残っていたので、暖房も困らない。
お金もできて、カマドからやっと魔石生活に突入した。しかも、魔石は補充し放題でお金もかからない。
引越しの日。
石けんで清潔にして、コンロで料理して、キルトとわらの布団にもぐりこんだ。ウィルとマル、そしてセロと私。
「あったかいね」
「うん」
「たのしいね」
「うん」
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
くらやみが、あたたかい。




