アーシュ8歳7の月には
今日3話目です。
この日のためには、私とマルとマリアとソフィーは、新しく服を買った。もちろん、古着だ。私が、目に合わせたタンポポのような黄色。マルがペールグリーン。マリアとソフィーは、きれいな金髪青目だから、ブルーとピンクだ。ザッシュたちもセロとウィルも、なぜだか口元を手で覆い、そそくさとでかけてしまい、ほめてくれなかったが、お手伝いの奥さまたちがほめてくれた。そして、白いエプロンをして、屋台に立つ。
屋台といっても、ギルドの長机を持って来て、シーツをかけただけ。鳥、卵、豆、糖蜜、ジャムと、中身が見えるように1個おいてあり、豆と糖蜜とジャムは、小さくパンを切って、味見ができるようにしてある。
もちろん、小銭の用意も欠かさない。忙しいなか見に来てくれたギルド長は、
「お前のアタマの中身を知りたいよ……」
となぜかあきれて帰って行った。
さあ、準備万端だ。
宿から冒険者たちがギルドに流れてくる。
「めずらしいわね、メリルで屋台なんて!」
剣士の女の人が声をかけてくれた。
「お昼にいかがですか?」
「肉はあるか?」
他の剣士の人がいう。
「鳥と卵です」
「これは?」
と女の人。
「味見してみてください、疲れたときは甘いものがおすすめですよ」
「ん、おいしーい」
「どうする?」
「悩んでるなら先いいか?」
「あ、お兄さん、いつもお世話になってまーす」
朝ごはんを食べに来る人だ。
「ザッシュたち、いつも羨ましかったんだよ。やっと子羊ランチが食べられるな」
「子羊ランチって……」
「はは、まあ、卵と鳥くれ」
「はーい、600ギルです」
「ほらよ!」
「ありがとうございまーす」
「私たちも、鳥と卵、4つずつね、あと、ジャムと糖蜜……」
「そんなに食べんのか?」
「うるさいわね、甘いものは別腹よ!」
「明日もやってますから、順番でどうですか?」
「そお?じゃ、今日はジャムからね」
「はい、では全部で2600ギルです」
「計算早いわね……」
そこからはあっという間にだった。朝食の常連さんはまにあわなくて悔しがってる人もいた。
次の日から、鳥と卵を10ずつ増やして、それでも売り切れが続き、大評判のうちに、涌きが終わった。




