アーシュとウィルの魔法な日々
今日4話目です。
はからずも、ザッシュのケガで、気になっていた問題は解決した。朝はギルドで孤児+ギルド長+剣の師匠の12人での朝ごはんだ。
「アーシュは訓練してきなよ」
というありがたい(涙)マリアとソフィーの言葉により、剣の訓練に参加している。
昨日、ウィルがライトを6個ともせるようになった。それがくやしくて、
「私なんか、動かせるもん!」
とウィルにぶつけてみたら、ほんとに動かせた。
「そのくらい、オレだってできるし」
とウィルもすぐできやがってぶつけかえしてきた。
ライトのぶつけっこは、
「まぶしいよ!」
とマルに怒られて終わった。
それが今日もくすぶっていて、剣の訓練の前にぶつけっこがはじまってしまった。広い訓練所で、調子に乗ってライトが乱舞する。
「なにやってる!」
とギルド長のげんこつが落とされ、
「だってウィルが」
「アーシュが」
と訴えてまたげんこつ。
その日は正座で見学となった。正座ってなんだ。
それならごはんを作りたいのに
「アーシュ?」
はい、反省してます。
「お前ら2人、明日1時間早くこい、説教な」
そんなあ。
夜、6個でました。
次の日、誰もいない訓練所で、ギルド長は
「で、ライトを出してみろ」
といった。
ウィルと顔を合わせて、1個だしたら、
「もっと出せんだろ!」
と怒られた。
「ほら、二つは、うん、3つ、うん、4つ、おいおい、5つ、まだか、6つ、うん、7つ、は無理か」
「次、あれだ、ライトを動かせ。そう、グルグルできんのか、遠くには?したことない?あの的を狙え、あーできるな。的の裏側もできる?やってみろ、あーできたか……」
なぜかしょんぼりしている。
「もしかして、風はどうだ?なに、吹き荒れる?やってみろ。うわっ?」
ふたり合わせてごうごうと吹き荒らしてやった。ギルド長、かつらじゃなくてよかったね。
「火はどうだ?なに?寝床が危ないからやらなかった?ふーん。めずらしく分別があったな。やってみるか?」
ウィルと相談していい?
「できるかな」
「ライトとおんなじ。人に当てなきゃいいんだよね」
「やってみるか」
「ここなら燃えないしね」
「「やってみる!」」
まずはひとつ、的に向けて、大きさは?ライトくらい。速さは?素早く。では、
「「いっくよー」」
「「はい!」」
できた。
「できやがった……おい、ちょ、待て、」
「「次、ふたーつ。はい!みーっつ、はいっ!よーっつ、はいっいつーつ、はいっ」」
「待って、私6個はむりみたい」
「オレもだ。ライトとは何がちがうのかな?」
「込める魔力かな、ライトより使う感じがする」
「あと、操るのがむずかしいね」
「……お前ら、いつもこんななのか……」
「ん?生活魔法を工夫する時は、いろいろ考えるよ?」
「ふつうは、工夫なんかしねえんだ」
「はああー。お前ら、昨日なんで怒られたかわかるか?」
「魔法であそんだから?」
「なんでだめなんだと思う」
「……」
「昨日はライトだったが、間違えて炎だったら?」
「「!」」
「わかったか。お前ら、それ生活魔法って、言ってたけど、普通の魔法だからな?」
「魔法師と同じ?」
「ウィルなら分かるだろ」
「うん」
「いいか、魔法を扱うやつがまず覚えることは、魔法を人に向けるな!ということだ。わかるな?」
「うん」
「正直、危険だ。だからお前らには、オレが魔法を教えてやる」
「えっ?ギルド長魔法師なの?」
「おい……」
「知らないのか?アーシュ、ギルド長は二つ名を持ってて、それが赤の殲滅」
「待て待て、それは知らなくていい!」
「かっこいいのに!」
(アーシュにしられたら、まずい気がすんだよ……)
「ふーん?」
「とにかくだ。週一で、早くこい!あと、魔力循環をおしえてやるから、普段やれ。家で訓練する時は、人に向けない、ライトと風と水のみ」
「「はーい」」
5月半ば、魔法の訓練が、加わった。