王都の独身組は
今回本編に入りきらなかった閑話です。短いです。
本編はできるだけ今日中にあげます。
・グレアムの場合
「よう、グレアム」
「グレッグ」
グレッグは西ギルドに来ていた。
「帝国に行くのか」
「ああ、まあな」
「俺も行きたかった」
「そうなったら楽しかっただろうな」
「まあ、いい。嫁が寂しがる」
「は?嫁?」
「アリス。気の強いところがいい」
「おま、受付のアリスさんを……」
「帝国の貴族の娘を嫁にしようとしてるお前に言われたくない」
「でもよ、若過ぎるだろ」
「23だ。問題ない」
「いや、10も下って」
「じゃあ、お前の嫁は」
「や、まだ嫁じゃないから。25」
「アリスと2つしか変らんだろ」
「2歳はデカイ」
「グレアムさん」
「アリス」
「どうして人の年を勝手に……」
「いや、その」
「少しお話があります」
「や、あの、グレッグ、ちょっと待ってて……あー」
「あーあ」
王都にいる間、久しぶりに交流を深める二人だった。
・リカルドとディーエの場合
「アーシュ、さみしくなるよ」
「リカルドさん、お世話になりました」
「そんな別れるようなことを言わないでおくれ」
「まあ、がんばってこいよ」
「うん、ディーエ」
「ディーエさんな」
「それより、ちゃんとお嫁さん見つけなよ。二人とも」
「なかなかうまく行かなくてね。自分で言うのもなんだけど、結構優良物件だと思うのだが」
「残念なところが漏れてるんだよな」
「セロ君、なにか」
「いや、べつに」
「このまま嫁が来なかったら、引退後はアーシュの子どもの面倒を見ようかな」
「いいよ」
「アーシュ!」
リカルドは勝ち誇ってセロを見た。
「私結構稼いでるから、リカルドさんもディーエも養えるよ、たぶん」
「男前だな、アーシュ。じゃ、世話になるかな」
「ディーエ、お前まで!」
リカルドはセロと肩を組むと、部屋の隅に連れていった。
「お前とも一生一緒かもな?」
「それって……オレを認めて……」
「お前も子どもの世話がかりだな」
「なっ!」
「余計な虫をつけるなよ」
「言われるまでもない」
「ま、兄からナイトへ格上げしといてやる」
この二人は、当分独身らしい。




