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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
飛び出す子羊編

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122/307

アーシュ12歳4の月その後

「串焼きっ」


私ははっと起き上がった。


「串焼き食べなかった!先に食べちゃった?」


セロとウィルがあきれたように、ほっとしたように私を見ている。マルは、あれ?しょんぼりしている。


「ごめんね早く寝ちゃったから。串焼き食べれなかったね」

「違う」

「どうしたの?」

「アーシュ、ごめんなさい。ダンジョンで暴走して」

「あー、そうだったね、マルらしいよ」

「怒ってない?」

「怒ってないけど、危ないとは思った」

「危ない?」

「そう、昨日の私みたいに、ダンジョンで体力がきれたら」

「あ……」

「みんな体力あるけど、ダンジョンでは命がかかってるから」


「オレたちが止めなくちゃいけなかったのに」

「セロ」

「オレなんか兄ちゃんなのに、一緒になって暴走して。でも、本当に面白かったんだ。ダンジョンではいっつも慎重に行動してて、いつだって本気で全力を出すことは出来なくて」

「オレも、なんかいけると思ったんだ」


カチャ。


「反省がないようね」

「「「マリア!」」」

「マリア、おはよう、寝坊しちゃったかな」

「アーシュ、訓練には遅いかも。朝食には間に合うわよ、急いでね。セロ、ウィル、自分たちの部屋は?」

「あー、アーシュに謝ろうと思って」

「1晩いたわけ?」

「オレ、着替えてくる!」

「待て、オレも、アーシュ、串焼き今晩な!」


そうなのだ、シースから帰ってきたら、従業員宿舎が出来ており、私はマルと二人部屋、雑魚寝から卒業となったのだった。


「昨日はギルド長がアーシュを背負ってきてくれたのよ、後でお礼を言っておいてね」

「ギルド長が?」


なんかちょっとうれしい。


「それで昨日、セロたち怒られて大変だったのよ」

「主にマリアが怒った」

「マル!」

「ごめんなさい」


「冒険者なりたてで、休みたくないし、急いで支度しようか」

「うん!」


ギルドに入ると、なぜか二日酔いの人がいっぱいいた。


「よう、アーシュ」

「ギルド長、昨日はありがとうございました」

「体力つけろよ、お前は」

「はい!」

「セロ、ウィル、マル、わかってるな」

「「「はい!」」」


ギルドのみんなからも声をかけられる。


「よーう、セロ、無茶すんなよ」

「わかった」

「アーシュ、ムリするなよ」

「うん」

「ウィル、兄ちゃんだろ」

「いちおう」

「マル、突っ走るなよ」

「うー、はい」


では、本日は無理なく行ってきます!


今日はマルもちゃんと話を聞いていた。初心者らしく、3階までをていねいになぞって行く。


こんなふうにして一週間、ついにマルと2人でのアタックの許可が出た。パーティを組んでいても、まだランクが違いすぎる。私たちは甘えてしまうし、セロとウィルは、実力より低いところでの戦いになってしまう。追いつくのはまだまだ先だから、今はF級できちんと努力するのだ。


と思ったら、

「なあ、オレたちとパーティ組もうぜ」

「いや、コッチが先だろ」

とたくさん声がかかる。


「とりあえず、2人で勉強しろって言われてるから」

と言って断る。しかし、それももう一週間で許可が出た。


そして三週目からは、毎日のようにのらパーティを組んでダンジョンにもぐった。荷物持ちでも思っていたが、訓練しないまま冒険者になったものは多い。急がなくても、C級くらいにはなんとか上がれるのだ。時には味方も巻き込みそうなめちゃくちゃな攻撃でも、当たれば魔物は倒れる。


毎回違う実力のパーティを補助して戦うのは大変で、そして勉強になった。そしてマルのストレスがたまる。そんな時には、子羊でパーティをまた組んで、好きに戦う。


そして、4週目が終わると、


「さて、一ヶ月たちました。どこに行こうか?」

とセロが言った。


「はーい、オルド」

「はい、マル、まだダメ」

「何で?」

「まだ弱すぎる」

「むー」

「オレはナッシュ」

「なんでだ、ウィル」

「アーシュはさ、一ヶ月間、マルにつきあったわけだろ?」

「そうでもないよ」

「いつも人に合わせてるからな、だから魔法師が主役のダンジョンで、たまには無双しろ、つきあってやる」

「ウィル、お前が無双したいだけじゃないのか?」

「はは、まあな、行くか?」

「「「行こう!」」」


5の月は、ナッシュへ行くことになった。

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