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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
飛び出す子羊編

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117/307

ギルド長会議2

今日も1話です。

今年もギルド長会議が始まった。定例の報告が終わると、今年の朝食、ランチの報告になった。


ギルド総長が

「では、昨年からの継続と、新規の報告を頼む」

というと、


「西では、導入後ケガや死亡事故が激減し、魔石の産出が伸びた後は、数字は変わらず一定の成果を上げていると言える」

「東も同様である。ただし『 涌き』から魔物があふれる率は変わらない。少しダンジョンへの人数が増えた程度では、変わりないようだ」

「西も『涌き 』については同様だ」


「ナッシュではレーションの他に、魔法師用のクッキーも売りだしてもらい、とても好評である。ダンジョンに来る魔法師の人数も増え、魔石の産出も増えている。ただし、スライムダンジョンという特殊性ゆえ、剣士のケガは余り減っていない」

「メルシェはメリルに近いために、冒険者にもかなり不満があったが、このたびようやく解消された。メリル、メルシェ、ナッシュの間では待遇の差がなくなったため、冒険者はよく移動しているようだ」


「ふうむ、一定の成果は出ているようだな」


「今度はシースに派遣してもらいたい」


「シースの、もっともだが、確かそろそろ派遣は終了と、去年の会議で言っていなかったか、メリルの」

「確かに、派遣の小さいものが今年で12歳、待ちに待った冒険者が始まるので、今年からは様子をみたいと言ってはいましたが」


その時、珍しくオルドのギルド長が声をあげた。

「ほう、黒髪の魔法師か」

「……なぜ知っている、オルド」

「ジュスト」

「疫病神め」

「おもしろい荷物持ちがいると。冒険者になるのを待っているのだと。単身でオーガを倒す力を持っているというではないか」

「まだまだ未熟だ」

「クッ、謙遜を。最短でD級に上がった若いの2人、C級に上がった者2人。単身オーガを倒す荷物持ちが2人。ジュスト然り、オルドのオーガダンジョンはいつでも強いものは歓迎するぞ」

「オルドにはやらん」

「冒険者は止められぬぞ。強さを求めれば、必ず来る」


「話がずれているぞ。シースの、そのような事情らしいが」

「総長、待ってください。今回、4の月の前になら、シースに派遣してもかまわない」

「メリルの、冒険者になる前にということか」

「はい」

「お願いできるか。シースはメルシェの南。1人だけ仲間はずれでは、物流も滞る」

「春にメルシェ、ナッシュで、夏に王都で過ごしたばかりだろう、若いからこそ、無理はさせられぬぞ」

「ありがとうございます、総長、今回は子羊たちの希望もあるので、かまいません」

「ほう、なにか縁でも?」


シースのギルド長が言葉を引き取った。

「秋にシースを訪れた時」

「秋にか、忙しいことだな」

「海を、見に来たと言っていました」

「海を?」

「そして孤児の面倒を見ることになったと」

「ますます忙しいことだな」


オルドのギルド長がまた声をあげた。

「はっ、確かにおもしろい!メリルの、オルドの急峻な山々も見ごたえがあると、ぜひ伝えておけ」

「断る」

「ククッ、冗談だ」


「メリルは孤児の自立、そして冒険者への育成の一環として、2の月、メリルの子羊をシースへと派遣することを許可します」

「よろしく頼む」


「西領はどうなる?」

「ニルム……」

「正直西は、現状維持で、特に不満はない。しかし、良い報告ばかり聞かされては、さすがにな」

「うちも同じだ」

「セームもか」


「ふうむ、王都の東西ギルドよ、お主たちのところから派遣はできぬか」

「王都内ならともかく、馬車で一週間の距離は未亡人たちは行きたがらぬだろう」

「東もだな、メリルのがいかに腰が軽いかということになるな」

「お茶の販売のやつはどうだ」

「あれもメリルの子羊だが、朝食とランチとは専門が違うからな」


メリルのギルド長が声を出した。

「一年、ようすを見てもらえないか。この4年間、冒険者としてパーティを組むことを目標にして努力してきた子たちだ。私が言えることではないが、大人の都合で振り回すのはそろそろひかえたい。これからは本人たちの意志で動いてほしい。シースは、その本人たちの意志なんだ」


ニルムは言う。

「勝手なことを。しかし、もっともなことだ。では伝言をお願いしようか、メリルの」

「伝言を?」

「ニルムの大洋を見に来い、と」

「では、セームは果物の街道を」

「必ず伝えよう!」

「オルドの山もな」

「……伝えよう」


「では、これでギルド長会議を終了する」


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― 新着の感想 ―
[一言] 大人がアホ過ぎると言うか、朝食システムとかノウハウ、マニュアル作って渡すとかできないんですかねぇ。
2020/10/03 22:14 退会済み
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