アーシュ11歳8の月1週目クランにて続き
今日1話目です。アーシュまだツライです。
剣士4人の活躍は見事だった。ジュストさんとルカさんは徹底して補助に回っている。剣士が戦いやすいように、魔物が分散するように、そして雑魚を近づけないように。
倒した魔物はせっせと解体していく。
「早いな」
「うちの専属より早い」
「最後まで持つか」
「ムリだろ」
あっという間にお昼になった。
「アーシュ、マル、スープお願い」
「あとガガも」
「はい!」
スープはすぐにできますよっと。はい6個分、と。
「ガガにはお砂糖とコミルはどうしますかー」
「多めにー」
「いらないー」
「え?ホントに入れられるの?」
「お茶でもいいですよ」
「え、いや、ガガで。甘めで」
「「「オレも」」」
「はい!」
「おいしい……」
「アーシュ、マル、やってきていいよ」
「いいですか!マル!」
「うん!大きいね!」
「は?いや、おい、待て……」
「大きい、マル、つぶてで煙幕をはる!すきを見て攻撃」
「わかった!」
「つぶて、足元、広範囲、行け!」
バシュ!
「えい!」
ザシュ!ガッ!
「転ばせる。風、1つ、足元、行け!」
ドン!ザッ!グサッ!
2体、終了。でも、これ……
「「オーガなんだけど……」」
つい?
さあ、食休み、終わり。それから夕方までアタックは続いた。
「みんな、よく見て。アーシュ、受け付けに出してくれる?」
「はい!」
ザラザラっと。はい。まだある。ザラっとね。
「あ、この二つは」
「しっ。後で分けるから」
「あ、何でもないです」
あとはお肉っと。
「……ま、魔石と肉、合わせて100万ギルです!」
あ、ナッシュと同じ。
「マジで?」
「今日、そんなに疲れてないぞ?」
「これが荷物持ちの力だよ」
「……確かに……」
食堂ではヒソヒソとうわさになっていた。
「荷物持ちすごかったらしいぜ」
「すげー効率良かったって」
「荷物持ちの面目つぶれたな」
はい、荷物持ちからも恨まれること決定(泣)
「あ、アーシュはスープの相談があるから、来て」
「マル!」
「大丈夫、マルは剣の訓練をする。1人で平気」
スープの量産化?権利?はい、受けて立ちますとも。面倒な量産化をしてくれるのは助かる。来週から、試作開始?うーん、体力持つかな……
「アーシュ、大丈夫か」
「うん、眠い……」
「ほら」
「女子棟には、男子立ち入り禁止ですから」
「しかし!」
「大丈夫、行けるよ、セロ、おやすみ」
「アーシュ……おやすみ」
「男子にかまってる暇があるなら、同室の子みたいに訓練でもしたらどうなの!」
「……」
「無視とはね」
眠いんです。おしゃべり嫌いって言ったくせに。
次の日、働いていると主張してもご飯は増えなかった。お昼もなかった。これが2週目まで続いた。セロとウィル、ニコとブランの戦いぶりもあり、よそ者を見る目は減っていった。また、荷物持ちについた剣士の人たちからは、しっかり評価してもらえた。マルに剣でかなう女子もいなかったので、マルに手を出す人もいなくなった。
しかし、若い女子や、荷物持ちの子、そして戦いを知らない人にとっては、私はあいかわらずチャラチャラと男子に囲まれるだけの存在で、妬みを一手に引き受けるハメになった。なぜか周りは静観していたし、私も意地になっていた。
3週目。6の日。手を出しても何も言われない若い冒険者は、調子に乗っていた。
その日、ダンジョンから上がり、
「さあ、アーシュ、受付にお願い」
「はい!あっ!」
油断した!横から突き飛ばされた!
「小さくて見えなかったわ。冒険者は常に油断禁物よ。転ぶなんてみっともない」
ラスカだ。私は黙って起き上がり、受付に向かう。
「お得意の無視なの?これでも黙ってられるかしら」
「痛ッ」
「リボンを取られても、平気よね」
セロのリボン!くっ。受付だ。
「何よ!なんとか言ったらどうなの!」
受付だ!砂だらけの体、ボサボサの髪で受付に向かう。もう誰も何も言わない。
ザラザラっと。はい、もう少し、ザラっとね。はい、お肉も。
「今日も、100万です……」
「何で!たかが荷物持ちでしょ?毎日訓練してる私たちと違って、いつもチャラチャラしてるだけのクセに、何で副団長と一緒に潜れるのよ!冒険者は力でしょ!」
「そうですね」
「しゃべったぞ!」
「冒険者は力です。だから私は、ジュストと一緒にダンジョンに潜れるの。弱いあなたと違ってね、ラスカ」
「なっ」
「あーあ、アーシュを怒らせた」
マル。そう、さすがの私も、そろそろ限界だ。セロ?ウィル?うなずいている。ニコ、ブラン?親指を立てている。
「毎日訓練?当たり前でしょ?ラスカ、何歳なの?14?へえ、いつから訓練を?冒険者になってから?ふーん。私、8歳から毎日訓練してるけど?」
「見たことないわ!」
「当たり前でしょ、お寝坊さん、朝おきれない人が朝の訓練を見られるわけないじゃない」
「11歳に負けるわけない!」
「ふーん?」
「勝負よ!」
「へぇ、泣いても知らないから」
「!」
勝負だ!




