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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
飛び出す子羊編

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103/307

アーシュ11歳7の月夏の始まり

今日1話目です。

「さあ、ダンジョンに」

「いきませんよ。学院があるから」

「はあ?だって王都は『 涌き』の時期だ。勉強なんかしてる場合じゃないよね」

「でも一年に1度の講習ですから」

「仕方ない。6の日と7の日はお休みだったよね。その日に迎えに行くよ。小アタックについていかせるから、その分の用意をしておいて?」

「いや、だから学院が……」

「セロ君、ウィル君だったか、そしてニコ君、ブラン君」

「「「「……何でしょうか」」」」

「『 王都の翼』で『涌き 』に連れていってあげるよ?」

「「「「!」」」」

「君たちの評判は知ってるよ。メリルの子羊の死神と悪魔。冒険者なら知ってるよね、王都の翼の入団試験の難しさと訓練の厳しさ。入団しろとは言わないけど、特別に訓練にも参加させてあげるし、ダンジョンにも連れていく。」

「死神と悪魔?」

「おや、知らなかったのかい、4人はね」

「待て!」

「ニコ君?」

「オレたちは学院には行っていないから、参加できる。が、セロもウィルも学院生だ。無茶はさせられない」

「無茶をしてこそ成長するんだけどねえ」

「うんと言うまで粘るつもりか」

「メルシェでの快適なアタックが忘れられなくてね」

「ちょっと待て」


「なあ、アーシュ、マル、セロ、ウィル、お前らどうする?」

「冒険者ならともかく、荷物持ちなんか役に立たないよ。休みにはダンのところに行きたいし」

「アーシュ、そうでもない。いい荷物持ちはダンジョンをホント

に楽にするんだ。4人で行った時、めちゃくちゃ稼げたろうが」

「ニコ」

「オレは強くなる機会は何でもつかみたい。強い人たちの戦い方が見られるなら……休みの日だけでもダンジョンに潜るつもりだったから都合がいいくらいだ」

「ウィル、セロもか、オレたちも別にいい」

「ただ、アーシュが利用されるのが嫌なんだ」

「そうだな、セロ」

「マルも行きたいけど、アーシュがいやならいい」

「うーん、ダンのとこは9の月でいいか、あとはマリア、ソフィー」

「みんな筋肉でしか物を考えてないんだから」

「私はちが」

「アーシュもよ」

「ええ?」

「『 王都の翼』には女子もいる。若い子も結構いて、みんな鍛えあっているのよ。そんな中に新参者が大きな顔をしていたら……」

「「「「「剣で黙らせる」」」」」

「マルまで……はあー。アーシュのことよ」

「け、剣で」

「ムリね」

「う」

「実力はあるんでしょ、ただそういう性格じゃないというだけ」

「アーシュは女の子の怖さを知らないから」

「ソフィーまで……」

「なるべく、マルが守るから。アーシュがいやなら行かないけど、アーシュも行ってみたいと思ってる、でしょ?」

「興味はある」


「勉強はちゃんとやるのよ?メリルの誇りがかかってるんだから」

「「「「はい」」」」

「ニコ、ブラン」

「わかってる。できるだけの事はするから」

「違うわ。自分を大事にして、無茶はしないでね」

「マリア……」


「そろそろ決まったかい」

「はい、ではお世話になります」

「じゃあ、ニコ君ブラン君は来て。他の人は、5の日の夕方に迎えに行くから」

「無茶はさせないでください」

「君、マリア、天使長か、本人たちの無理までは、止められないよ?」

「それでも」

「わかったよ。じゃあ、アーシュ君、君の入れるガガを楽しみにしてるよ?」


ダンの店に行けばいいのに。あれ、無理に連れていかれてるのに、なんでお世話になることになってるんだろう?


「アーシュ」

「リカルドさん!見てたんですか」

「やっかいなやつに見込まれたな、あいつは蛇だぞ」

「やっかいなヤツが言うな」

「なんだい、セロ君」

「いえ、なんでも」


「まあ、しつこいだけだから、あきれば構わなくなるだろ。強くてしたたかなやつだ。セロ君、ウィル君、学べるものは学んでこい。アーシュ、気をつけるんだよ、大変な時はいつでも助けるからね」

「今助けなかったじゃないか」

「行きたがってるように見えたものでね」


「あ、じゃあ、忙しいから、ゴハンとか一緒にたべられないかもですね」

「え、そんな、1年に1回くらいしか会えないんだよ、なんとか時間を作って」

「忙しいから、学院に向かいまーす。リカルドさん、またねー。ディーエにもよろしくお伝えくださーい」


思いもしなかった、忙しい夏が始まる。

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