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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
飛び出す子羊編

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アーシュ11歳4~7の月

今日は1話です。

次の日、ギルドで集合した私とマルに

「荷物持ち、頼めるかな」

と赤い顔で頼むセロとニヤニヤするウィルがいた。


「「はい!」」


なぜかギルド内が拍手と歓声で埋まった。


「ようやくか」

「稼いでこいよ」

「次は俺たちとな!」


ダンジョンに入る。

そこには、見たことのない若い剣士たちがいた。もちろん、訓練ではいつも見ている。しかし本物の魔物を相手に一歩も引かず、こんなにも激しく、美しく戦う剣士を私は知らない。隣でマルが両手をギュッと握りしめた。熱い思いが込み上げてくる。戦いたい。この人たちと一緒に。2人が、振り返る。


「見ろよ、セロ、二人の目、オレたちカッコイイ?」

「え?アーシュ?」


ウィルがニヤニヤし、セロが赤くなった。


ああ、中身はセロとウィルだ。


「がっかり」

「え、マル、お兄ちゃんたち、カッコイイよね」

「カッコイイ」

「棒読み?」


さあ、解体だ。


「え、アーシュも?」


カッコイイよ、2人とも。でも2人は、まだそのままでいい。強くなっても、先に行き過ぎないで、待っていて。


普段からいつも一緒にいる私たちだ。何も言わなくても通じる。狩りと解体はこの上なくスムーズに行った。だからこそ、私たちはそれ以上組まなかった。知らない人と一緒にいるからこそ学べる。私たちはまだ、お互いのために別々にできることがある。


そうしてメルシェは予定より一週間早く仕上がり、ナッシュも同じく仕上がり、移動を合わせても、5の月の4週目には戻ってきた。


「よう、おかえり、少しゆっくりしたらいい」

誰ですか!

「オレだよ」

ギルド長に思いやりが!痛たっ!げんこつ!やっぱりギルド長だ。

「調子はいいようだなあ、じゃあ、お前ら」

子羊館に戻りまーす。

「ちっ。まあ、とりあえずホントに今頼む事はねえんだ。マリア、どうだった?」

「アーシュが新しいクッキーを販売して、すごい売れてるくらいでしょうか、あとは『 王都の翼』にからまれてたくらいで、順調でした」

「あーあー、またか、もう好きにしたらいいんだ。今年はこれ以上依頼は受けてねえからな、マリアもソフィーもお疲れさん」


そうして忙しく6の月が過ぎ、涌きの7の月が過ぎた。セロとウィルの戦いをみた私とマルは、一層真剣に剣に打ち込んだ。


「やっと本気になったようだなあ?アーシュ。いい線行くようになった」


ようやく私も、剣の師匠に認められるようになった。そしていよいよ王都での夏の講習が始まる。


「ギルド長、今年はもしかしたら、9の月には王都のダンジョンか別のところに行ってるかもしれません。少し帰るの遅れるかもしれないけど」

「メリルは大丈夫だ。好きにしてこい」

「「「行ってきまーす」」」


去年も通った道だ。あおあおと緑の濃い草原を、今年も若い声がはじけていく。4週目の終わり、東門についた。


「今年もアイツらいるかな」

「一年ぶりだからな、あ、あれ?」


「ジュストさん?」

「やあ君、3の月ぶりだね。待ちかねたよ」

「待ちかねたって、スープはおさめてましたが……」

「うん、じゃあ、行くよ」


どこへ?

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