表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この手の中を、守りたい  作者: カヤ
集まる子羊編
1/307

アーシュ7歳3の月始まり

今日、父ちゃんがダンジョンで死んだ。


22歳だった。



とうちゃんもかあちゃんも王都のスラムで育った。

体の弱いかあちゃんは育つまいと思われたらしいが、スラムの連携は案外強い。仲間にまもられながら、なんとか成人した。


黒髪で琥珀色の目をしたかあちゃんは、子供の目から見てもきれいだった。多くの人から妾として狙われていたかあちゃんは、成人してすぐ、幼なじみのとうちゃんと結婚し、一旦王都から逃れた。一年後私が産まれた。ふたりが15歳の時だ。


体の弱いかあちゃんは、すぐ寝込む。父ちゃんは冒険者になって、私たちを養ってくれた。すぐ寝込んでも、いつもそばにいてくれる優しいかあちゃん。冒険者になるほどは、ほんとは強くないとうちゃん。街から街へ流れつつ、いつもお金はなかったけれど、幸せな毎日だった。


それでも弱っていくかあちゃん。


ここメリルは、領主の評判がよく、暮らしやすいと評判の辺境のダンジョンの街だ。しばらく滞在しようと移動してきたのは2の月のことだった。とうちゃんは家族持ちで、固定パーティを組まない。都度野良でダンジョンに潜っていた。私も、看病のあいまに、ギルドの解体所で働いた。小さい子でも、1時間百ギルで働ける。大きめの黒パン1個分だ。何とか暮らせそうと思った矢先。


とうちゃんが、ダンジョンで、魔物にやられた。

パーティは、逃げるのに精一杯で、遺体さえ残らなかった。


そしてかあちゃんから、火が消えた。


生きる気力がなくなったのだとおもう。


ねえ、かあちゃん。

かわいい娘は、生きる理由にならないのかな。


そして3の月、かあちゃんも死んだ。


22歳だった。


残されたのは私。

アーシュ、7歳。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ