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Part7 異常の始まり


目を覚ますと、知らない天井が広がっていた。

何を言っているかわからねぇと思うが…………


「分からんわ」


アウチ。

変なモノローグをしていたからだろうか、俺の右側に座っていた零に頭を叩かれた。

地味に痛い………………


「晩御飯の準備できてるけど…………立てる?」


零の問い掛けに対して、俺はあるジェスチャーをする。

ペンを持って、動かしているように。


「っと、ゴメンね。はい。紙とペン」


受け取った紙にペンをはしらせる。


『ちょっとキツイ。上半身を起こせる程度だな。一晩寝ればなんとかなるだろうけど』


「そっか。全く、お父さんたら手加減しないんだから………………」


『それくらいしなきゃ、戦えるようにはならないさ』


「そうかもしれないけど…………無理して体壊しちゃったりしたら意味ないじゃない」


確かにそうかもしれないが………………


『何より、早く念話ができるようになりたい』


「ああ、なるほどね。じゃあ、後でやり方教えるよ。念話だけなら、簡単だから」


『サンキュ』


「じゃ、とりあえず、お母さんに言って、ご飯もらってくるね」


『悪いな』


良いよ、と微笑んでから、零は立ち上がった。

そのまま部屋の出口に向かう。

零が部屋を出ると、途端に静寂が部屋を包み込んだ。


「………………」


試しに、右手に魔力を溜める。

問題無くできる。

いや………………少し問題はあるか。

昨日からそうだ。


『魔力を使うと、何かを思い出しそうになる』。


俺が魔力を扱えるのと何か関係があるのか、そんなことはわからない。

けど………………………


次に、左手に魔力を溜めようとしてみる。

今までは右手にしか溜めてなかったから、出来るかわからないが、このくらいなら部屋でも訓練できる。


少しでも、早く………………


「動けなくても訓練しようとするなんて、中々真面目な人ですね」


集中していたから気付かなかったのか、いつの間にやら空さんが側まで来ていた。

右手にお盆を持っている。


「晩御飯を持って来たわ。食べられそうかしら?」


頷く。

正直、めちゃくちゃ腹減ってたんだ。

けど、零は?


『零はどこか行ったんですか?』


側に置いておいた、先程のルーズリーフに書き込む。

何故かお茶を差し出されたので、受け取り、口に含む。


「あの子なら、今はお風呂ですよ。………………見たいですか?」


緑色の液体が、空中に飛び散った。


「ふふっ、期待通りの反応をしてくれる人でもありますね」


楽しそうに、手を口に当てて笑う空さん。

この人、確信犯か………………!


「けど、その反応を見て安心しました。ホントに見たいとか言われたらすぐに………………楽にしてあげていましたから」


最後の方よく聞こえなかったな。

けど、なんか寒気が………………


「ちなみに、ご飯ですが、一人で食べられそうですか?」


うーん…………

まあ、腕は動くし、食べられるだろう。

頷くと、空さんは「そうですか」と微笑んで、お盆を手渡してくる。


「食べ終わった後の食器は、後で零に取りに来させますから、置いておいて大丈夫ですよ。それでは」


そう言い残して、部屋から出て行った。

じゃ、いただくとするか。


両手を合わせ、一礼。


箸を手にとって、口に運んでいく。



美味い。




◆◇◆◇◆◇





翌日の朝。

背中の痛みは引いていたが、かわりに筋肉痛。

最近全然運動してなかったのに、いきなり式神と1対2の戦闘なんてしたら、そりゃあ筋肉痛くらいなるか。


まあ、全身痛いが、日常生活には問題ない程度だ。


とりあえず、まずは学校だ。

訓練は帰ってからだからな。

学校でも魔力を纏う特訓くらいはできるが、零曰く、『標的の魔族がいるかもしれない場所では、なるべく魔力は使わない方がいい』とのこと。

極秘任務をポロッと言うくせに、そこらへんはしっかりしてんのな。


「いってきまーす」


俺が玄関を開けると、零が振り向いて言う。

だからそれ、聞こえんのか?


「ただ言いたいだけ。黙って家を出るのは、なんか違和感感じる」


そういうもんか。

ふぅん。


まだコイツが来てから3日だが、肩を並べて歩くのに慣れてきた。

周りからの視線も気にならない。



そこから学校までは、「今日の1時間目なんだっけ?」とかの、ごく普通の会話をしていた。


「そういえば、冥夜君って頭良いよね」


『そうなのか?』


「うん。クラスの皆が言ってたよ。テストで80点を切ったことがないとか」


正確には90点だが、自慢みたいになるからやめておこう。

あ、50点満点とかもあるから、実際は『9割』かな。


「IQとか、はかったこととかないの?」


『少なくとも、覚えている限りでは、ないな』


「ふぅん。160くらいありそう」


まさか。

そんなわけないだろ。


「魔力が扱えるようになって、訓練も一段落ついたらさ、勉強教えてよ」


『了解』


その頃には念話も出来るようになってるだろうから、話せなくても特に問題はないな。


「おうおうおう! 朝っぱらから見せ付けてくれるねぇ、お二人さん!」


突然後ろから衝撃。

前のめりに倒れそうになるが、なんとか踏み止まる。


「神谷さん?」


零の声が聞こえて、やはり、と思う。

俺の知り合いでこんな事してくるのは、十中八九、神谷遥だ。


なにしやがんだ、と目で抗議する。


「いやあ、リア充って見てていらつくからさ、つい」


『リア充じゃねえ』


「リア充って?」


『知らんでいい』


とりあえず離れろ、神谷。

引き離すと、ようやく身体が軽くなる。


ふぅ………………


「ま、いらついたのもあるけど、偶然見かけたから一緒に行こうと思って。別に良いでしょ? それくらい」


「私は全然構わないよ〜」


「さっすが、零ちゃん。で、あんたは?」


『勝手にしろ』


正直、魔族について話せないのはアレだが、別にそれは帰りでも良いし、まず、家が同じなんだからいつでも良いな。


「ていうか、零ちゃんって何で冥夜と一緒にいんの? 私、冥夜と中学ん時から一緒だけど、知り合いってわけでもないんでしょ?」


「えと……………」


マズイな。

上手く誤魔化せよ、零…………


「ひ、一目惚れ?」


リア充肯定タイム入りました〜!

何でよりによってそれなんだよ!

コイツ、学校中の噂の半分以上を発信してんだぞ!?

俺を非リア充男子どもに殺させるつもりか!?


「おお〜…………まさか今の時代に一目惚れで初日からくっつくのがいるとはねぇ…………」


………………ここで否定すると、事情説明がとんでもなく面倒になりそうだな。

かといって、リア充肯定はしたくないしな…………


「ていうか、初日って冥夜が授業出てなかったじゃん。結局、放課後までいなかったし」


「放課後に校内を見回ってたときに、会ってさ」


「へぇ………………ま、いいや」


俺からしたら全然良くないんだが。

もう諦めるか…………

流石に、同居については零も言わないだろうし……


「零ちゃん、冥夜と家近いの? 一緒に来てるけど」


「まあ、ね」


横目で見ると、零の額にはかなりの量の冷や汗が浮かんでいた。

何か、話題を変える方法は………………


ん?


「あれ、なんだろう? うちの制服の人達が引き返してきてるけど…………」


零が言った通り、学校がある方向から何人もの生徒が歩いてきている。


「アンタら、どしたの? 学校は?」


神谷がそのうちの一人に尋ねる。

この時間に下校しているということは、何かあったのか?


「いや…………それがさ、何か、死体が見つかったとかでさ。休校だって」


死体?

というと、まさか………………人間の?


零の方を見ると、眼光鋭く、学校の方を見つめていた………………

そして物語は、一気に加速する………………



といっても、そんなに加速しないです。

どうも、お久しぶりです。

遂に(というか、もう?)学校で異変発生。

魔族の仕業か、それとも…………?



次回もお楽しみに!

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