表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/19

Part19 同居



「魔族が、人間界に総攻撃…………?」


「(目的は?)」


「さっきの話を聞いていれば、だいたいの予想はつくだろう? アンタだよ。正確には、アンタの中にいる『ディアブロ』だよ」


俺の中にいる、悪魔『ディアブロ』…………


「悪魔は、魔族序列の第二位。第一位の『魔王』を除けば魔界最強さ。その悪魔が、どんな地位に就くかは想像できるだろ?」


「(ってことは、ディアブロは魔界にとってかなり重要な存在ってことか?)」


「その通り。前から行方不明だったディアブロが、人間界で発見された。だから魔界は、ディアブロを奪還しようとしてるってわけさ」


俺の中のディアブロを奪還する為の総攻撃…………

ということは。


「(俺のせいで、全世界が危険に曝されるのか?)」


「アンタのせいじゃない。って、言ってやりたいんだけど、今回ばかりはね…………」


しばしの沈黙。

重い空気が、その場を支配する。


「(…………神谷)」


「なんだい?」


「(魔界からの侵攻は、早ければ三ヶ月後と言ったな? これは逆に言えば、『早くても三ヶ月後』、と捉えていいのか?)」


「!!」


神谷の表情に、驚きが混じる。

しかし、すぐに表情は元に戻り、微笑。


「アンタならそう言うと思ったよ。そう。『早くても三ヶ月』だ。つまり…………」


「侵攻までに、こっちの迎撃体勢を整える…………?」


零の呟きに、神谷が正解、と答える。


「零ちゃんには、家を通じて、このことを全世界に発信して欲しいんだ。もちろん、一般人には漏れないようにして」


「わかった」


「で、冥夜。アンタは…………」


「(特訓だな。今までよりハードにする必要もありそうだ。三ヶ月しかないならな)」


「その通り。基本的な魔力のコントロールは出来てるみたいだから、そこからさらに応用した魔力の使い方を伝授する。魔力の扱いのエキスパート、この私がね」


ニヤリと笑う神谷。

それは、知り合ってからよく見ていた、意地の悪い笑みだった。


「それには賛成だね。第四位とはいえ、魔女は魔族の中で魔力の扱いのトップ。魔力の扱いでは第三、第二、第一の全てを凌駕するから」


「(一位すらか!?)」


「まあ、単純にそうとは言えないけどね。第一位ってのは、魔族内での文字通りの『最強』。種族は決まっていない。つまり魔女が第一位になれば一位を凌駕することはできない」


第一位は文字通りの最強………………

つまりそれって…………


「前の第一位を殺せば第一位になる。それが魔界の決まりなのさ」


交流が少ない魔界だからこその決まりなのだろう。

だから、魔族は極力周りとの交流を拒む。


いつ敵になるか、わからないから。


「まあそんなわけだ。アンタに魔力の扱いを教えるのは私が担当するよ」


「(了解だ。よろしく頼む)」


「ところで、アンタ今どこで暮らしてるんだい? 前にアンタんち行ったけど、いなかったろ?」


「(う…………)」


神谷の素朴な疑問に、零と顔を見合わせる。

隠すべきか、正直に話すべきか。


意見を求めるために零の方を向いたのだが、当の本人はというと…………


「………………//////」


顔を真っ赤にして、顔を伏せてしまった。


「え、何その反応。まさかとは思うけど、アンタら………………」


ああ、この反応はもう気付いたな…………


「(ああ、今は零の家に泊めてもらっている)」


「………………はぁ、アンタね…………」


呆れたように頭を抱える、神谷。

仕方ないだろうな。この反応でも。


「零ちゃん」


顔を上げた神谷は、とても真剣な表情をしている。

真っ赤な顔をしたままの零の手を取り、予想だにしない一言を放つ。


「私も泊まっちゃダメ?」


その時の神谷の眼は、今までで見たこともないほどキラキラと輝いていた。










〜虚野家〜


「ふむ。嘘は言っていないようだな」


神谷を真ん中にするように、俺、神谷、零で横に並んで、零の父親−−−霧玄さんと向き合う。


神谷の話を聞いた霧玄さん。

神谷の瞳を真っ直ぐ見て、静かに呟いた。


「ということは…………」


「よかろう。冥夜君の魔力の特訓は君に一任しよう。同時に、我が家への滞在も許可しよう」


「よし!」


滞在許可が出た途端にガッツポーズをする神谷。

なんだってそんな嬉しいんだ?


「ただ…………」


「ただ?」


「確かに君は嘘をついていない。人間界を好きになったから、壊させたくないというのも本心だろう。しかし、それ以外に、人間界を守りたいと思う理由があるな。もっと、君にとっては大事なことなんだろう」


霧玄さんがそう言うと、神谷が少し顔を伏せる。


「隠し事できないってのは本当だったんだね…………」


聞こえるか聞こえないかというほど小さい声で、神谷はつぶやく。

横目で見たところ、少し表情が沈んでいるように見えた。


「別に、言えないような事じゃないから、言ってもいいんだけど…………」


「どうかしたの? 神谷さん」


「…………冥夜には、席を外してほしい」


俺に?

なんだろう、俺には聞かれたらマズイのか?

まあ、それで話が進むならそうするけど。


「(わかった。それじゃあ、俺は部屋に戻ってる)」


「ああ、冥夜君。それなら、先に風呂に入ってくるといい。空が用意しているはずだ」


「(わかりました)」


よし、じゃあ部屋に戻って用意して、風呂にいくか。


襖を開け、廊下に出て襖を閉める。

少しだけ聞きたいという気持ちがあったが、盗み聞きするつもりもないし、すぐに部屋に戻った。








ふぅ………………

湯舟につかって30分。

我ながら中々に長風呂をしてしまった。

最近色々ありすぎて、風呂の時間が長くなりすぎている気がする。


湯舟から上がり、身体を丁寧に拭いていく。

拭き終わると、脱衣所に行き、(ここに住むことになった時に)用意してもらった寝間着を着る。

屋敷級のこの家に相応しく、和服である。


着替えを終え、先程話をしていた部屋に戻ると、そこにいるのは霧玄さんだけであった。


「おお、上がったか。それなら、あの二人に風呂に入るように伝えておいてくれるか? 零の部屋にいるはずだ」


「(わかりました)」


一礼して、部屋を出ようとした時に、霧玄さんがもう一言、俺に伝える。


「これから、大変なことが多くなるだろう。魔族の襲撃や、他の事でもな。気をつけておくように」


霧玄さんは、少しだけ楽しそうに笑っていた。

魔族の襲撃はわかるが、他の事?

なんのことだろう。


「(失礼します)」


頭を下げて、襖を閉める。

うーん?


「(まあ、良いか)」









零の部屋の前まで来た。

といっても、俺の部屋が隣だから、部屋に戻るついでみたいなものだけど。


襖を軽く叩こうとしたとき、中から声が聞こえてきた。



「零ちゃん…………私、負けないからね」


「望むところ…………相手にとって不足なしだね」



??

何の話をしてるんだろう?

よくわからないが、とりあえずノック。



トントン。



「誰?」


「(俺。冥夜だ)」


零の問い掛けに念話で答える。

障害物があるとムズイから、出来れば開けてほしかった。


「冥夜君? どうしたの?」


「(風呂空いたから、二人とも入っとけって、霧玄さんが)」


襖を開けて顔を出した零に、霧玄さんからの伝言を伝える。


「わかった。わざわざありがとね」


「(ん。じゃあ、俺は部屋に戻る)」


「おやすみ」






布団に入っても、気になってしまう。

二人のあの会話…………

零が顔を出したとき、チラッと見えた神谷の顔が真っ赤だった気がするが…………



んん?


手がかり1、俺に聞かれたくない話。

手がかり2、霧玄さんの言葉。「魔族の襲撃以外でも大変になるかも」。

手がかり3、二人の会話。神谷が「負けないからね」。

手がかり4、神谷の顔真っ赤。




…………………………まさか、な。


ありえないと思いつつ、眠りにつこうとするが、一度想像してしまった事が忘れられず、中々眠ることができなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ