Part18 帰還の理由
ひっさびさ!
何ヶ月ぶり!?
前回の投稿は何と、去年の9/27です。
はい。すいません。
大学受験で書けず、終わった後はしばらく書いてなかった影響か、スランプで文章が思いつかないという。
でも、これからはチョイチョイ更新したいと思います。
今も若干スランプ気味ですが、大学入学まではしばらく暇ですので。
ではでは、久しぶりの投稿、18話です。
今回から、『戦争編』です。
「神谷さん………………?」
「おはよ。(あんまり騒がないでよ。後でちゃんと説明するから)」
片手を上げて挨拶しながら、俺と、恐らくは零にもだろう、念話で話しかける神谷。
後で説明する、というのは、消えたはずの神谷が何故今ここにいるのか、ということだろう。
そのまま、特に何を言うでもなく席につく神谷。
仕方なく、問い詰めることはせずに俺も席についた。
「(今日の放課後、『カンテラ』ね)」
『喫茶・カンテラ』ね。了解。
念話で返事を済ませながら、何食わぬ顔で授業の用意をする。
考えることは山ほどあるが、説明されるなら問題はないだろう。
少々もどかしいが、放課後まで待つべきだろう。
そう決めたと同時に、臨時担任が教室に入ってきた。
白井は事故に巻き込まれ、亡くなったということになったらしい。実際は原因そのものだったわけだが……………
その後は特に変わったこともなく、普通に授業が進行、放課後まで一直線だった。
◆◇◆◇◆◇
そんでまあ、放課後。
零と神谷を連れて教室を後にした。
その際に、クラスメイトの男子ほぼ全員からの、痛いくらいの殺気が突き刺さったのは、言うまでもない。
『喫茶・カンテラ』に着くまでの道中、神谷は一言も喋らなかった。
零と俺も、喋らなかった。
到着し、なるべく店の奥、目立たない席に座り、神谷が話し出すのを待つ。
長年の付き合いで知っている。
こいつは、本当に話したいことや話さなければならないことは、自分からでしか話さない。
じっと、静かに、待つ。
「何から話すかね…………」
机に肘をつき、頭を抱えるような格好をする神谷。
やがて、ポツポツと、話し出す。
「まずは、アンタに消された…………いや、言い方が悪いか。消えたはずの私が、何故今ここに存在するのかってところかな」
確かに、それは気になる。
あの時、俺は確かに神谷を消滅させたはずだ。
「ぶっちゃけて言うと、こっちで消滅した魔族は、全員消えちゃいないんだよ」
「え?」
「こっちでの『魔族の消滅』ってのは、文字通りの消滅じゃなくてね。『魔力の霧散』って言った方がいいのかな。魔力の結合が無くなって、そのまま霧散した魔力は魔界へと帰る。向こうは魔力が満ちているからね。少し時間が経てば、魔力の結合が復活。元の姿に戻るのさ」
なるほど…………こっちで消滅させても、魔界で復活。だから、神谷もまた例に漏れず復活して、こっちにやってきたというわけか。
ってことは、今まで零達がやってきたことは実質無意味だったってことなのか?
「まあ、復活できるといっても、その復活スピードはその魔族の強さによって変わるんだ。上級魔族ほどスピードは早い。中級くらいだと、一ヶ月ってところかな」
「そうなんだ…………じゃあ、一応こっちの安全を守ることにはなってるんだ」
「そうだね。時間稼ぎ…………っていうと言い方が悪いかもしれないけどね」
ふむ、なるほど。
だが、やはり一番気になるのは…………
「(じゃあ、なんでこっちに戻ってきたんだ?)」
「そうだね、そこが一番重要なところだ」
神谷はそう言って、少し間をおいた。
言うのを躊躇っているのか、難しい顔をしている。
「私は、アンタに消されて魔界に戻った。けどね、それは私が自然に魔界に帰るために、計算してやったことなのさ」
「計算して…………?」
「ああ。最初から話すよ。最初っからね」
神谷は店員を呼び、コーヒーの追加を注文する。ついでに、軽食も少々。
コーヒーと軽食が届けられ、コーヒーをブラックのまま一口飲み、話しはじめた。
「私は、人間界の監視役として、魔界から派遣された。その際、人間の夫婦の間に、人間の赤ん坊として生まれるようにしてね」
「ということは、赤ん坊の時から魔界の記憶はあったの?」
「ああ。その記憶に基づいて、赤ん坊のフリをしながら人間を観察していたよ。最初はね」
「(最初は?)」
「アンタは元人間だから知らないだろうけど、魔界には必要以上の交流ってものがない。こっちと違ってね」
神谷の話を聞きながら、コーヒーを啜る。
「だから、人間界の監視はいつも新鮮だった。皆が皆、友達と、家族と、彼氏や彼女と。仲良く、いつも笑いながら過ごしている。そんな風景、魔界には一切無かったから」
懐かしいものを思い出すように、少し上を向きながら、神谷は話を続ける。
「そんな風景を見ていて、私はいつからか、人間を監視する立場を忘れてた。人間達と仲良く、人間と同じように過ごしたいと思い始めてた」
「悪魔としての立場じゃなくて、人間として?」
「そう。けど、仲良くするっていうこと自体を新鮮に感じてたようなやつだからね。友達の作り方なんて知るはずもないし、当然のように友達なんてできなかった」
「(そんな中、声をかけたのが…………)」
「そう、アンタさ。小6の頃だっけか。まあ、あの時にはアンタはもう話せなかったからね。筆談だったけど。それでも嬉しかった。それまで人間とまともに話せなかった私でも、アンタとは不思議と普通に話せた」
少しだけ微笑んで、神谷は話を続ける。
「でも中学に入ったとき、私は知ってしまった。アンタの身体に、悪魔が宿っていることを」
中学の時…………ということは、神谷はそのことを知って、俺の魔力を封印した…………
「アンタの魔力を封じたのはね、何も嫌がらせのためにしたわけじゃない。ちゃんとした意味があった。まあ、自分勝手な意味だけどさ」
「自分勝手な…………意味?」
「私は、冥夜のことが魔界にばれるのが怖かったのさ。初めてできた友達が、あっちに連れていかれるかもしれないと、そう思うとさ」
「(それで、魔界にばれないように魔力を封印していたのか)」
「アンタには悪いと思ってるよ。魔力だけならともかくとして、過去の記憶も一緒に封印することになっちゃったからね」
ゴメン、と頭を下げる神谷。
コイツらしくないな。
「それで、ここからが本題みたいな感じなんだけど………………」
「何故、やられる演出をしてまで魔界に帰ったかと、戻ってきたか?」
「その通り。今からする話は、零ちゃん。アンタにも関係が深い話だよ」
「私にも?」
「ああ。まず、何故演出までして帰ったか。これの原因はぶっちゃけ零ちゃんと言っても過言じゃないよ」
「(どういうことだ?)」
「思い当たることはないかい? 私は魔界にばれないように、アンタの魔力を封印したんだよ?」
「魔力の、訓練………………」
「その通り。零ちゃんが冥夜に接触した結果として、アンタの魔力は飛躍的に増加した。まあ、魔力を使える人の中じゃ、少ない方だったけど」
「じゃあ、まさか…………」
「案の定、冥夜の存在が魔界にばれていたのさ。あの日の………前日の朝か。魔界から念話が入ってね。『人間側の戦力を多く把握し、可能ならば減少させること』って命令付きでね」
話を聞いていくうちに、その全貌が明らかになってきているのがわかった。
人間側の戦力の把握と、減少を命じられる。
これはもう、たどり着く答えは一つしかないだろう。
「(神谷、つまりそれって…………)」
「ああ。最悪の事態だね。私は、その確認のために、負ける演出をしてまで魔界に帰ったわけだけど………………結論から言おうか。あと半年。早ければ3ヶ月後に」
思わず、唾を飲み込んだ。
神谷の次の言葉を予想して。
「魔界は人間界に総攻撃を仕掛けるつもりだよ」
それは、人間と魔族の、全面戦争の号砲のようにも感じられた。




