表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/19

Part16 約束、次の満月に

第一章の最終話です!

やっと書けた………………


「…………ってことで、俺はもう立派な犯罪者だ。しかも、後付けとはいえ俺は魔族。零達と一緒にいるわけには、いかないさ」


「……………………」


流石の零も、この時ばかりは黙っていた。

今まで一緒にいた奴が魔族で、しかも既に2人の人間を殺している。

そんな話をしたところで、冷静にしていられる方が珍しい。


「そんな感じだな。わかったろ? ………………俺は、生きてるべきじゃない」


「………………」


「かといって、俺には自殺なんてする度胸はない。…………零にしか頼めない」


零は顔を伏せていて、表情を読むことが出来ない。

しかし恐らく、相当思い詰めた表情をしているのだろう。


「なんで、そんなこと言うの………………?」


震えている、零の声。

声だけじゃない。肩……身体全体が、微かに震えていた。


「私は、最初から冥夜君が魔族だって感づいてた。それなのに、なんでずっと一緒にいたと思う?」


「対魔族戦闘の有利化と、俺の監視、じゃないのか?」


「…………そうだね、それもある。けど、一番の理由はそうじゃない」


俯いていた零の瞳から、水滴が落ちる。

泣いてる………………?


「私は………………











冥夜君、君の事が好き。魔族なんて関係ない。君の事が、好きなの」











声が出なくなった。

今までのとは違う、驚きから来たものだった。


「神谷さんに問い詰められた時に、私、一目惚れって答えたよね? あれ、嘘じゃなかったんだ。割と本気で、答えてた」


「な………………」


「私は最初から君の事が好きだったよ。魔族とか関係なく、君の事が」


衝撃だった。

全く予想もしていなかったその言葉は、俺の脳内を瞬時に駆け巡り、支配した。


零の言葉は、嬉しくもあり、またそれ以上に、出来るなら聞きたくないものでもあった。




魔族である自分と、人間である零。

相容れない存在である俺達に、その感情は芽生えてはいけないものなのだ。




「………………気持ちは嬉しいけど、俺は…………」


「わかってる。わかってるよ。こんなこと言ったって、冥夜君が困っちゃうだけだってことも。けど、これ以上隠していたくないし、好きな人を殺すなんて………………絶対にできない」


「……………………」


「冥夜君は、どうなの?」


零は再び俯き、問い掛けてくる。


「私のこと、どう思ってる? 魔族だからとか、そういうのは考えないとするなら…………冥夜君が、人間のままだったとしたら」


「人間の、ままだったら…………」


どうなのだろう。

今までそういう目で見てこなかったから、よくわからない。


俺は、零のことをどう思ってる?

好き、なのだろうか。


わからない。




「………………一ヶ月、待ってくれないか?」


「一ヶ月?」


「ああ。どうにも、今は答えが出せそうにない。自分の気持ちが、まだわからない」


「………………わかった。でも、なんで一ヶ月?」


もっともな質問だな。

答えが出たら伝える、で良いはずだ。それなのに、期間を正確に指定する。気になるのも無理はない。


「俺の声が出なかった理由は、恐らく魔族となった代償。この世界にいる魔族は、力が制限されるんだろ?」


「そうだけど…………」


「今日は満月。魔族の力がその制限から完全に解放される日。今までは魔力を封じられていたからか、満月でも話すことは出来なかったが、これからは満月の夜なら、話すことができるだろう」


そう、つまり、何が言いたいかって言うと………………


「零の気持ちに応えられる応えられないに関わらず、自分の気持ちは言葉で伝えたい。アイツには、伝えられなかったから」


「…………そう、わかった。待ってるね」


そう言って、零は笑顔を見せた。

いつも見せてくれていた笑顔。

けど、この時の笑顔には、少し、ほんの少しだけだが、悲しさが見てとれた。


「スマンな」


「良いよ良いよ。それより、早く後片付けして帰ろ? 疲れちゃった」


「そうだな。流石に校庭にクレーター出来てたらマズイだろうし」


言って、目をやると、校庭のど真ん中に巨大なクレーター。

神谷を消したときの跡だ。


「(自分でやったとはいえ…………面倒臭いな)」


心の中でぼやきながら、作業を開始した。






結局、家に帰り着いたころには、日が昇りはじめていた。

そして予想していた通り、俺の口から言葉は、出なくなった。

次話から第二章です。

あらすじに書いてある、戦争へ向かう予定。



さらに、メインキャラがようやく増える予定です!


お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ