【第一章】学校前の僕と姉と妹。02
もうすぐPV人数が2000人突入しまぁす!!
「おぉっ!おぉぉおおおっ!!」
本日二回目となる驚きの声をあげる香に、僕にだけ聞こえる音量で「………ちっ」と舌打ちをする華。隣にいる僕は、ただただ苦笑いを浮かべることしかできなかった。
でもね華さん、もう僕たちがどんなに頑張っても学園の敷地内にこのメンツと一緒にいれば否が応でも目立つよ。だって、静かにしようがしないが関係なしに注目を集めちゃうし、相手側から寄って集ってくるんだから。
「副会長、おはようっ!」
「部長っ、おはようございますっ!!」
「おはよう、長谷川姉妹。今日も相変わらず二人で仲良く登校かしら?」
「そだよーっ!そっちも相変わらず仲のいい姉妹だねっ!」
「それほどでもあるかしらっ」
「あ、副会長と共に撫子様もいるぞっ!?」
「おぉーっ!!撫子様っ!!春休み明けに早速拝めるとわっ!!俺は今日の運勢は絶好調だぁっ!!」
「おはよー、咲夜。相変わらずの『大和撫子』ファンクラブのファン多勢いることね」
「あ、香奈さんおはよう。………あれ、どうにか無くせないのですか?」
「それは無理ねっ!」
「どうして?」
「私もファンクラブ会員だからっ!(ドヤッ」
「………そ、そうですか(ガックリ」
「「「「我らっ、由美香様ファンクラブ親衛隊っ!おはようございますっ、由美香様」」」」
「ほぇ?あぁ、親衛隊の皆さんおはようですぅ(キラキラ←ファンクラブ補正」
「「「「か、かわえぇ~………」」」」
「え、ええっ!?み、みなさんどうして倒れるんですかぁっ!?」
「はっ!?あのお方はっ、今まで歳が離れていたために一人だけ小学校に通っていた、加賀宮家の末っ子、香様ではないかっ!?」
「なにっ!?とうとう中学生になったのかっ!?今までは伝説とされてきたが、それがこれからは毎日拝めるという訳かっ!!」
「香さんもお姉様方ににて可愛いですね〜っ!」
「スポーツをしていると聞いてましたが、あの引き締まった身体は並大抵の運動量じゃないですよ!あぁ………食べてしまいたいっ!」
「あ、あれっ!?みんなあたしのこと見てるような気がっ!?」
………ほらね。
………もうどんだけ僕らが足掻いても無駄なんだよ、華。
「………くっ、どうして家の家族はこんなにも人気があるんだ?」
「初めて通う香ですら、何故だか知らないけど有名人だしね」
「………いったい、あいつらの何がいいのやら。家では酷い有様なのに」
「お前もだろっ!?」と口に出すと、「………アニキのまえだけだ」と無駄に照れながらそう語る。………何故照れる?
「まぁ、人気があるのは何も彼女たちだけじゃないだろ」
「………それってどういう………っ!?」
僕の言葉に答えようとした時、華は何かの視線に気づいて素早く首を後ろに向ける。そこいいた人物は、基本的に全員が眼鏡をかけていて、基本的に全員がリュックを背負っていて、基本的全員が髪の毛がボサボサで、基本的に全員がちょいデブで、基本的に全員が「華たん………ハスハス」と呟いている。皆さんの察しの通り、俗に言う『オタク』という奴だ。
「華たん、今日もきれいなんだなぁ」
「うん、今日何時もよりも二時間も早く学園にきていて良かったよぉ~」
「やっぱり生はサイコーなんだなぁ。春休みは華たんコレクションの写真を舐め回すことで発散していたんだなぁ」
「あぁぁああっ!!あのスカートから出ている太ももに抱きつきたいよぉお」
「………(・□・Ⅲ)(←絶望の表情」
「なんか………ご愁傷様」
華にもファンクラブーーーと、いっていいのかわからないけどーーーがいたことは知っていたし、それがどのような団体かも知っていた。
どうしてこのような団体に目を付けられたかというと、オタク達曰く「『隔世遺伝の金髪』『ロリコン』『毒舌』『美少女』………二次元要素てんこ盛りやないかぁぁあああああっ!!!!」ってことらしい。どうやら彼らは三次元オタクではなく二次元オタクらしく、普段は三次元なんか見向きもしないで画面の中のアイドルに向かってラブコールをおこなってるのだが、華に関してだけは例外ということらしい。さっきから『………らしい』ばっか連呼しているのは、僕にはサッパリ理解できないからだ。
ただ、これだけは言える。………あの人達、春休み明けてさらにバージョンアップしたなぁ。
「華たぁんっ!かわいいよぉおっ!」
「………うるさい、黙れっ!」
「華たんの罵声ゲットぉお!」
「おぉ、ズルイゾーっ!俺だって華たんに罵声浴びせられたいぃっ!」
「………ぅぅうっ!キモイっ!あっちいけっ!!」
「「「「キモイって言われたぁあっ!!」」」」
「………な、なんなんだよこいつら」
「華たんっ!もっと言ってくれっ!!」
「お、おんっ!僕にもお願いなんだなぁ!」
「俺にもたのむぅ!!」
「愛しい華たん~っ!!」
「………」
「「「「黙っている姿も萌え~」」」」
「………もう、私がなにしててもいいのねあんた達は」
うん、実に疲れそうだ。完全に意気消沈してしまった華に何とか助け舟を出してやりたいところだが、僕には彼らの正しい対処法がわからない。だから、自力で頑張るんだぞ。応援はしてあげるから。
ふと周りを見渡すと、他の姉さんや妹達もそれぞれの団体で話をしていて、僕だけ一人孤立いていた。加賀宮家といえば、この学園内ではちょっとした有名人で、それは僕も例外なく当てはまる訳で。
「変なのがくる前にサッサと校舎内はいるか」
ということで、僕は姉さんや妹達が起こした混雑に混じってこの場を抜けようとしたーーーその時だった。
「………あ」
「「「「「あ………」」」」」
「「「「「「………」」」」」」
あーやべーよ………一番見つかっちゃいけない団体に見つかってしもうたわぁあ。