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PS.女に興味が持てない僕を好きになった女の子。(打切り)  作者: しもさん
【第一章】僕は少女に告白されます。
5/8

【第一章】登校中の僕と姉と妹。02



PV人数が1000人超えましたぁ!ユニーク人数はもう少して300人いきそうです!!ひゃっほー!!これも読んでくれている皆さんのおかげです!!ありがとうごさいます!!


今回は最後の方だけちょっとシリアスな内容になってます。これからも皆さんに読んでいただけるような作品を書いていきますのでよろしくお願いします。


しもさん。






「どうせ………どうせ私なんか………しくしく」


「あぁー、こうなると美咲みさきお姉ちゃん長いからなぁ」


「そうですね。ですが、そのうち自己回復しますから放っておきましょう」


「そだなーっ!姉ちゃん打たれ弱い癖して強いから、だいじだろっ!」


「………クズ姉を心配する必要も義理もない」


「ひ、酷い言われようだな………」


と言いながらも、僕も美咲姉さんを横目で無視している。こうなった姉さんに下手に絡むと後が長いことはこの加賀宮かがみや家では知り尽くしている。だから誰も、下手にフォローとかに入ったりしない。どうせ直ぐ立ち直るし。………立場ねぇ、美咲姉さん。


「………そんなことよりも、あにき」


「ん、どうしたはな?」


「………忘れていたと言うなら、私のことも忘れてる」


「え、華今日何が………ってあぁっ!」


そっかっ、本当にすっかり忘れていたよ。かおりが中学生になるってことは、同時に華は高校生になるってことじゃないかっ!制服は違うものの、『制服』という概念でいつものように中等部の方に行くのかと思っていた。


「………ようやく思い出したか、このばかあにきが」


「ご、こめんな。ってか、何で僕だけピンポイントで馬鹿扱いされるんだ?他の姉さんや妹だって忘れていただろ?」


「………(ぷいっ)」


「えっ!?無視ですかっ!?」


「………知らない(ぷいっ)」


な、何だか知らないけど、華怒っちゃったよ。何か怒らせるような発言したかな、僕?確かに忘れていたのは僕が悪いけど、それなら周りの姉さんや妹も同罪になるんじゃないのか?何で僕だけ………理不尽だ。


「にゃあー、華お姉ちゃん。華お姉ちゃんは『優声ゆうせい兄ちゃん』に気づいて欲しかったんですよぉ」


「………ば、はかっ!!そんなんじゃねぇよっ!!」


「ふふっ、そんなに顔赤くして、説得力に欠けますよ、華」


「華姉ちゃんは、一葉かずは姉ちゃんの次に兄ちゃんが好きだからなっ!」


「………っ!!??(かあぁあ)」


いや、みんなして華のことを煽るなよ。華顔真っ赤にして俯いちゃったじゃん。こうして華のこと煽っていて大概その矛先は僕に向くんだからさ………みんなわかってるよね?


「………バカあにき」


「だから、何で僕だけっ!?」


「「「………(グッ!)」」」


「そこっ、力こぶ立てないっ!」


こいつら………絶対にわかってやっていたな?華は何かと繊細な子なんだから、あんまり煽ってやるなよな。


僕は今晩この三人に、加賀宮家で最も重い罰『夕飯のおかずを1/2にする刑』を施行してやろうかと迷っていた。母さんは仕事の都合上料理をする時間がない為除外するが、僕の家庭で料理を『作れる』人は僕以外いないため、こうした食事に関することは僕の気分次第でどうとにでもなるのだ。因みに、一番料理ができそうな咲夜姉さんだが、僕が勝手に思っている人類の最大の発明品電子レンジと冷凍食品、この二つで簡単に作れる料理さえできないほどの料理ベタ。追加で言えば、水をヤカンに入れてお湯にし、それを注ぐだけのカップ麺ですら、成功するのに三つほどあの世行きになっているのを僕はこの前目撃してしまった。………どうやったら三つも失敗するのか、ある意味天才なのではと疑いたくなる。


とまぁ、さすがに夕飯のおかずを少なくするのはかわいそうだと思い至り、僕は目の前に起きている問題の方に集中する。先ほどから考えていた最中も、期待50%照れ25%呆れ25%くらいの比率でこちらをチラチラ見てくる華に呼応し、残りの女性陣はニヤニヤと気持ち悪い笑顔を浮かべながら僕の方を見てくる。何時の間にか復活していた美咲姉さんもあちら側に参加していたが、無視する方向でいこう。


「無視しないでよっ!?」


「どうしました、美咲姉さん?」


「いや、不意に突っ込まないといけない気がして………」


「はぁ………?」


あちらで不毛なやりとりをしていることに気づいていない僕は、華の様子を伺う。体をモジモジさせて落ち着かない様子と普段より顔が赤いことを確認して、僕は悟る。


僕は鈍感ではない………と思っている。アレだけの態度と姉と妹の行動いたずらを見れば、おのずと答えは見えてくる。僕は、その答えにのっとって華に回答を返した。


「制服、よく似合ってると思うよ。中学の頃の制服は緑色ベースだったけど、高校になると青色ベースになるから、大人しくて綺麗な華にはこっちの方がよく似合う。可愛いよ」


「………ふんっ!遅いわ、ばかあにき」


「ごめん」


僕がそうして一言謝ると、もう一度鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。だけど、これは華が恥ずかしがっている時によく起こす行動の一つであることは僕には理解できてるし、一瞬だけ見えた華の顔を見る限り満更ではなさそうだ。だから、僕の選択は間違っていなかったというわけで。


「ホントに、華お姉ちゃん可愛いよぉ」


「そうですね。華の金色の髪にはこちらの制服の方が映えますし」


「華姉ちゃん美人っ!」


「………今更遅いわ、ばか」


由美香ゆみか、咲夜姉さん、香の順番でそれぞれ華に言葉を返す。相変わらずの素っ気ない返事だが、笑顔でそう答える華を見ると、やはり可愛いといわれたことがよほど嬉しいらしい。まぁ、女の子だから当たり前か。


「確かに、華にはこっちの制服の方が映えるわね~」


「………あんたの意見は求めてねぇよ、クズ姉」


「えっ!?素直に褒めているのにっ!?ここは全員で褒めるってオチじゃないのっ!?」


「………最初に言ったろ。『みんな』の中にクズ姉は入っていない。それに、オチってなんだよ。全然オチてねぇよ。寧ろクズ姉が堕ちろよ」


「………私って、嫌われてるの?」


「「「「「今更かっ!」」」」」


何故か美咲姉さん以外全員が同じ言葉を発するとは思っていなかった僕は、何だか無性におかしくなって笑ってしまった。それにつられて他の姉さんや妹たちも笑い始める。あぁ、何だかこうして一緒に登校しているととても幸せだと感じるよ。


「………優声」


そんな中、そっと僕だけに聞こえる音量で呼んだ声主は美咲姉さんだった。いつになく真剣な顔つきをしていた為、僕は無意識に身構える。まだ他の姉さんや妹たちは気づいていないみたいだ。


「ど、どうしたの美咲姉さん。なんか、楽しい話をしよ、って雰囲気じゃないけど」


「んー、そうね。楽しい話じゃないのは確か。でも、大切な話になるのは確か。だから聞いてちょうだい」


「うん、わかった………」


有無を言わせぬ雰囲気、とまではいかないものの、普段おちゃらけキャラで定着しちている美咲姉さんが真剣な顔つきになると、否が応でもこちらも真剣に対応しようとする。おそらく、こちら側が『本当』の美咲姉さんの姿なのだろうが、変に気が回る姉さんは普段は『おちゃらける』という形で本当の姿を隠しているのだと思う。そう思い始めたのは、実をいうとつい最近の話になるわけで。


「私はもうすぐここを卒業しちゃうでしょ?だからもう、あなた達を身近で見守ることはできなくなる」


「うん、そうだね。なんだかんだで違う学園に行った一葉姉さんの代わりに、美咲姉さんが僕たちのこと見ていてくれてたことは知ってたし」


「うん。でも、もうそれができるのも残りの僅かしかない。それに私は、これから精神的にも余裕がなくなってきちゃう学年だから」


「うん、それもわかっている」


詳しく聞いたことはないのだか、美咲姉さんも一葉姉さんには劣るがかなりの成績を保持しているのは知っていた。それによって学校側が結構いい大学を勧めてくれているらしいのだが、高校卒業したら働くか、奨学金で大学へ進学するのか、姉さんはかなり迷っているらしい。どうして悩んでいるのかというのは見当がつくが、その時に見せた姉さんの顔は、僕が16年間一緒に過ごしてきた思い出の中の姉さんの顔とどれも一致しない、とても儚げな、触れれば消えてしまいそうな、うまく言葉では説明できない表情を浮かべていた理由は、僕にはわからない。


「だから、これからは優声。貴方が妹達の面倒を見てあげてくれないかしら?そろそろ私も、かずーと同じ役目を背負わなくちゃいけなくなるし。こっちの役目は、もうおしまい」


「………」


僕はその言葉に、直ぐに頷くことはできなかった。それから返事したのはどれくらい先だったのかは覚えていないが、僕がひとこと「わかった」と返事を返すと「ありがと~」と美咲姉さんも一言返して、何も知らない妹達のたわいもない会話に参加しにいった。僕が答えるまで何も言わずに黙っていてくれた美咲姉さんには、後で感謝しなくてはと思いながら、空を見上げる。


まさか、朝からこんなシリアスな話になるとは思わなかった。それだからか、やけに心に深い穴が空いたような感覚に陥ってるのは。胸に手を当て、当然のように肋骨と皮膚があることに無性に安堵してしまう。


まだ先、まだ大丈夫と思っているうちに、何時の間にかもう目の前まで迫っていた事実に、僕は目を逸らしていたんだ。僕も、そろそろ覚悟を決めなくてはいけないのか。でも、そんな覚悟を今すぐ持てるほど僕は強くない訳で。


「これからのことは、これから決めるしかない………か」


一つの言い訳を空にこぼし、僕は姉さんと妹達の後について行く。


今日は晴天、雲一つない。太陽の熱が直接当たるが、春先の冷たい風がその熱を追い払ってくれた。





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