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狂気乱舞1

ショートショート集です。昔に書いた物も、たまに載せるかもしれません。

恥ずかしながら、時々更新させて頂きます。

因みに、時々非常にグロテスクな話を載せるかもしれませんので、そういうのが駄目な方は注意して下さい。

1:死とは


あるバーのカウンターで、二人の男が話している。

「なあ、死ぬってどういう事だと思う?」

右に座っている、コートに身をつつんだ男が、左に座るスーツの男に聞いた。

スーツの男は表情も変えず、振り向きもしないで答えた。

「分かるはずないだろ。」

「そりゃそうだ。」

コートの男は笑いながらカクテルを飲み干した。

「だが」

コートの男がバーテンダーに追加を頼もうとした時、スーツの男がいきなり話を切り出した。

「ん?」

「死の事は分からないが、死がどんな物なのかを知る術は知っているぞ。」

言いながらも、スーツの男は、やはり振り向いたりはしない。

コートの男は興味半分に聞いた。

「教えてくれよ。」

「こうするのさ。」

コートの男が聞いた瞬間に、スーツの男はポケットから金槌を取り出してコートの男の頭を叩き割った。

コートの男がゆっくりと倒れていく。

「実感できたか?」

動かなくなったコートの男に聞くと、スーツの男はカクテルを飲み干して夜の町に消えた。



2:テスト前日

もうテストまで時間がない。

勉強できる残り時間は約7時間。

もう間に合わない。

今回のテストは確実に前回より悪いだろう。

また父親に叱られる。友達に置いていかれる。優秀な兄と比較されて馬鹿にされる。

ちくしょう。

別に勉強なんかできなくてもいいじゃないか。

ちくしょう。

俺が何をしたって言うんだ。ちくしょう。大体テストなんてもんがあるからいけないんだ。ちくしょう。いや、そもそも学校があるから。いやいや、勉強なんてもんがあるから。ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう。全部消し去ってやる全部全部全部・・・。


目が覚めたら朝だった。

少年は絶望した。



3:新聞


電話が鳴った。

どうせ何かの勧誘か何かだろうと思い、俺は電話を取った。

母が取ろうとしたが、気の弱い母では、断るのにも時間がかかってしまう。

俺も気は弱いが、勧誘の電話は、子どもが出ると大体は諦めるので、それが一番無難でいい。

「もしもし」

「あ、木村さんのお宅ですか?」

「はい、そうですが。どちらさまですか?」

「あ、申し訳ありません。こちらは○○新聞です。今回は少しお話が・・・」

「あの、俺よく分からないんですが」

「あ、これはまた失礼しました。じゃあ、ご主人様か奥様はいらっしゃいますか?」

「あ、父は仕事で、母は・・・少し用事があって出かけているんです」

「嘘つくんじゃねーよ。

お前の後ろに奥さんいるじゃねーか」



4:睡眠


「お母さん、喉が痛いよう。眠れないよう。」

「あら、風邪かしら。じゃあお薬飲んで寝ましょうね」

「うん。」

母親は微笑むと、喉の痛みを抑えるシロップの薬と、自分が毎日服用している睡眠薬を飲ませた。

生憎市販の風邪薬がきれていたので、風邪薬は明日病院で貰う事にした。

母親は知らなかった。

睡眠薬が自分の夫の手によって毒物にすりかえられていた事に。

親子二人は二度と目覚める事の無い眠りに堕ちた。



5:ねぇ


「お父さん。」

「ん?なんだい?」

「お父さんは、僕に会えて嬉しい?」

一瞬キョトンとした顔になったが、父親は微笑むと言った。

「全然。」

読んで頂き、ありがとうございました。

図々しいですが、感想を頂けたら幸いです。

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