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魔女の一族に生まれたけど、叔母達に家族を皆殺しにされて家を燃やされて神器も奪われたから、兄妹で『怪盗』になって奪い返すことにした  作者: ぽよみ30号
プロローグ

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秋奈と子供達



「じゃあ『浦島太郎』ね。始まり始まり〜」


宵と彗は両親の布団の上に座り、秋奈は二人から少し離れたところに立ち、両手に犬と猫の人形を付けている。


「むかーしむかし、あるところに浦島太郎という男が……」


秋奈が人形劇を始めると、秋奈の枕元に置いてあった満月鏡が淡く黄色い光を発し、母が右手につけている犬の人形が、漁師の少年の姿に変わった。


それはもはや人形とは呼べないほどのもので、本物の人間にしか見えない精巧さであった。


物語が始まると、そのうちに母が左手に付けていた猫の人形は亀の姿になった。

これも本物の亀にしか見えない。


「『初めまして、私は乙姫です。亀を助けてくれてありがどうございました』そう言って出迎えてくれた乙姫様はとても綺麗で……」


さらに物語が進むと、次は母本人が本物の乙姫の様な見た目に変化した。

身に纏った十二単、水中を舞う羽衣、頭の上で大きく結われた髪。全てが精巧に表現されている。


太郎と亀の人形も、もう乙姫の姿になった母の手についている様には見えず、乙姫の隣に立って自立している様に見える。


「よっ!待ってました!乙姫様、かわいいー!」


彗が中年男性の様なヤジを入れると、乙姫に姿を変えた秋奈は娘にニコリと笑いかけた。


これが月詠家の神器の一つ、「満月鏡」の力。

自分の姿や、自分の周囲にあるものの姿を自在に変える事が出来るのだ。


医院では幼児の予防接種などで注射を行う際に、秋奈が満月鏡を使い人形劇を披露して子供の気を引き、昴が注射を済ますという方法で使われている。無論、それを子供の親に見せると大騒ぎされる可能性があるので先に退室させてから人形劇を始めている。


「そして太郎が玉手箱を開けるとみるみるおじいさんに……」


秋奈が見せている浦島太郎の幻は、みるみるうちに老人へと変化していく。


宵は「このシーンは満月鏡を使ってリアルに表現されるともはやホラーだな」と思いながら母の熱演を見ていた。


彗は先ほど眠ってしまい、小さな寝息が聞こえる。


「おしまい。彗ちゃんは寝ちゃったかな?」


老人になった浦島太郎の幻は消え、母が姿を現した。


「うん。母さんが乙姫の姿で太郎に『開けると老人になる罠』を渡してるあたりではもう寝てたよ」


「玉手箱ね?ちゃんと言いなさい。じゃあ宵くんも今日はここでお母さんと一緒に寝よっか?」


「……うん。一緒に寝る」


宵は少し考えた後、そう言って頷いた。

父はまだこの部屋に来ていない。つまり、まだ下にいるということだ。プレゼントを子供部屋に置いてくるという任務は終えていない可能性が高い。


「子供達を引きておく」ことが任務である母は、親の寝室で子供達を寝かしてしまうのが最も安全な行動であると判断したのだろう、と宵は推理し、母の都合を察して微笑んだ。


(我が息子ながら、腹立つ笑顔だなぁ……)


秋奈は息子に全てを見破られていることを察し、可愛さと憎たらしさの両方が混じった感情で宵を抱きしめてから「おやすみ」と声をかけ、頬にキスをした。

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