ジャガイモに転生しました
俺は死んで、ジャガイモに転生した。そう、ジャガイモに。しかも最悪なことに、鍋の中にいるんだ。
レストランで焼き芋を頼んだんだ。すぐにできて、パクッと食べようとしたら、喉に詰まらせて死んじゃった。
そして今、鍋の真ん中でジャガイモとして生きている。俺って一体どこに来たんだ?
とにかく今の最優先は、ここからどうやって逃げ出すかだ。
「こんにちは、ジャガイモさん」
鍋の中にいたトマトが声をかけてきた。
トマトも喋るのか!?
「こんにちは、トマトさん。やばい状況だよね、ははは」
「そうだな。でもいつかこうなるって分かってたさ。うちの一族、みんなこの鍋に落ちる運命なんだ」
「それは気の毒に。でもさ、鍋から逃げ出すことは考えたことないの?」
「鍋から逃げる?そんな発想はなかったな…」
バカだな。こいつが助けてくれるかも。
「なあ、トマトさん、一緒に逃げようぜ。餌になんかなりたくないし」
「お前、天才かよ!俺らトマト一族5千代続いてるけど、そんなこと誰も考えたことなかった!もちろん、逃げようぜ、この殺人鍋から!」
「よし、その意気だ。俺にはプランがある。二人同時に飛び跳ねて、トマトがお前を鍋の外に投げるんだ。そしたら俺が窓を開けて迎えに行く。二人で窓から脱出だ」
「完璧だ、ジャガイモさん!いこう!」
「ハハハ、俺から逃げられると思うなよ!」
鍋まで喋るの!?一体どうなってるんだ!?
「トマトさん!今すぐ逃げるんだ、手遅れになる前に!」
「了解!」
「せーの…3、2…!」
「ペエエエエン!」
「なんてこった、ジャガイモさん、人間が蓋をした!どうする?」
「ハハハ、ここから出られると思うなよ!」
鍋が笑ってる…
「プランBだ!蓋は薄そうだ、二人で同時にジャンプして蓋を吹っ飛ばそう!」
「本気か、ジャガイモさん!?」
「当然だ!いくぞ!」
「ブオオオオーン」「ポンッ!」
「よし、成功だジャガイモさん!」
「そうだ、まだ終わってない」
くそっ、時間かけすぎたな。窓はもう閉まってる。玄関から出るしかない、めっちゃ難しいぞ。
見つかったら終わりだ。絶対バレずに行かないと。
「トマトさん、窓閉まったぞ。あいつがキッチン出たら全力で玄関に走ろう」
「わかった、ジャガイモさん」
あいつが出てくる。行くぞ。
「今だ!」
「ポンッ!」
「俺の大事なフライパンだ!誰だ!」
「くそっ、フライパンにぶつかった。気づかれた」
「おい、トマト。どうやってフライパンにぶつかるんだよ。あの戸棚に隠れろ」
ここなら安全なはず。あとはあいつが戸棚を開けないことを祈るだけだ。
「ジャ、ジャガイモさん、あいつ来てる…」
「嘘だろ…」
「中にいるのは誰だ!」
「くそっ、聞こえた」
あいつが戸棚を開ける。扉が開いたら逃げるしかない。
「うええええん!」
「トマトさん、逃げろ!」
「なんだお前らは?トマトとジャガイモが走ってるって俺の幻覚か?絶対あいつらが俺の大事なフライパン壊したんだ!覚悟しろ!」
「あいつが包丁持って追いかけてくる、ジャガイモさん!」
隠れる余地なし。逃げるしかない。
「トマトさん、どこでもいい、逃げろ!あそこに黄色い液体がある、温かそう。助かるかも!」
「トマトさん、そこはダメだ!熱した油だぞ!死ぬぞ!」
「ハハ、バカめ!揚げてやる!」
「いやああああ!トマトさん、聞いてくれ!死ぬぞ!俺たち一緒に逃げるんじゃなかったのか?出てこい!」
くそっ、聞いてくれない…
ここなら安全なはず…とトマトは思った。
「ハハ、もう無駄だジャガイモ。あいつは揚げちゃった。あとはお前だけだ」
「くそ、仲間を失った。もう足が動かない、終わりだ…」
「さようなら、ジャガイモちゃん!」
「ビューン」
こうして俺のジャガイモとしての人生は終わった。
ジャガイモの物語はここで終わり…かもしれない?続きがあるかも?お楽しみに!