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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

元カノさんに会ってしまった

作者: しろかえで

今日は金曜。しろかえでの“女のドラマシリーズ”です(^_-)-☆

 いつも()()()()が居る賀司(かじ)さんが一人でベンチに座ってお昼なんて意外だった。

 短いスカートからスラリと伸びた白い足は綺麗に揃えられ、その上には購買では売っていない『完熟レーズン&くるみのパン』が乗っかっている。

 これは私も好きで……一時はコンビニへ日参したくらいなので、思わず見入ってしまっていた。


「?!」


 私の視線に気付いた賀司さんがこちらを向いたので、私はタジタジになった。


「あ!いえ!その!足をガン見してたわけじゃなく、パンを! 私もそれ、好きだから……」


 声が裏返って必死に弁明する私の姿が可笑しかったのだろう……賀司さんはその薔薇色のくちびるからブリックパックのストローを放し、クスクスと笑った。


「笑ってごめんなさい。イヤな視線はすぐわかるから大丈夫!それが例え女の子からのものであってもね」


「女子からもですか?」


「ええまあ……ジトッ!とした感じのが、たまにね……まあ、この寒いのにジャージとか履かない私が悪いんだけど……」


 賀司さんから言われて我が身を振り返ると、彼女より長い丈のスカートの下はしっかりジャージ履きだ。

「賀司さんは私なんかとは違うから……大変ですよね」


 賀司さんの事は中学生の頃から知っていた。

 当時愛読していた雑誌の“読モ”を……彼女がやっていたからだ。

 今ではすっかり有名になってしまった彼女と、まさか同じ高校になるなんて……しかも今、私が片想いしているクラスメイトの佐野くんの……元カノだったなんて思っても見なかったけれど……

 この私の投げた言葉に、賀司さんの表情が曇ってしまったので私は更に自己嫌悪に陥る。

 私の心の中の()()()()や嫉妬が漏れ出てしまったに違いない。


「あの……ごめんなさい」と脈絡も無く言葉が出る。


「ううん! 私がごめんなさい。その上で……良かったらだけど……一緒にランチしない?」



 --------------------------------------------------------------------


 同学年とは言え、別のクラスの……それも有名人の賀司さんと、こんな短時間で仲良しになれるとは思わなかった。

 どのくらい仲良しかと言うと……お互いの菓子パンをお互いが齧り合うくらいに……


 でも私は念のために聞いてみる。

「いいの?私なんかと“間接キス”して?」


「池内さんだからいいのよ!」


「うそ?! じょーだん!!」


「ホント! マジメ!!」


「なんで?」


「前々から池内さんの事、気になってたから」


「私だって! 賀司さんの事は気になってたけど……」


「それは……私がモデルのお仕事をしてるから? それとも中学の時、私が佐野くんと付き合っていたから?」


 こんな風に真っ直ぐに訊かれて、私は思わず俯いてしまう。


「ダメだよ!俯いちゃ! 綺麗な目が見れなくなる」


「綺麗?」


「そう! 池内さんの目はとても綺麗! トモ……佐野くんも同じ事言ってたよ」


「えっ?! それって! いつの事?」


「そりゃもちろん!高校に入ってからだよ」


「じゃあ、今でも本当は付き合ってるの?」


 思わずツッコんでしまうと賀司さんは少し首を傾げてから頭を振った(かぶりをふった)


「恋人としては別れたけど……気心の知れた友達……かな これ、説明いる?」


 私はコクリ!と頷く。


「だよね! 良かった! 恋人同士の時は……彼の事、『トモくん』って呼んでたんだけど……トモくんとは思考パターンというか……感じ方や考え方が凄く似てて……お互い居心地が良くて付き合い始めたんだよね。だから喧嘩なんか一度もした事ないし……」


「じゃあ!どうして!! 別れたんですか? “お仕事がらみ”ですか?」


「じゃあ逆に訊くけど、池内さんは佐野くんの事、好きなんでしょ? それはどうして?」


「ええっ??!!私は……そうですね……佐野くんって素敵じゃないですか!? だから……」


「それは、『佐野くんにときめいている』って事でいいかな?」


「……はい」


「私と佐野くんの間には、その『ときめき』が無かったの。居心地はいいけど、ドキドキが無かったの。お互いの考えている事が分かり過ぎるせいで」


「それは……幸せな事なんじゃないですか?」


「妙齢のご夫婦ならね、でも私達まだJKだよ! ときめきドキドキ大事だよね! だから恋人として付き合うのは無理だなって! これで……トモくんと肌でも合わせていれば違っていたのかもしれないけど……」


「ええっ??!!」


「もちろん何もしてないよ! そんな事したら、ウチの親、ガチで私を尼寺へ入れちゃうから!」


「ガチで??」


「うん!ガチで!!」


 ここで二人、顔を見合わせ初めて笑った。


「佐野くんは池内さんの事、好きだよ!」


「えっ?! だって、それは私の片想い……」


「両想いだよ! 言ったでしょ! 私と佐野くんは考えてる事が似てるって! 私! 池内さんの事、好きだもん! だから佐野くんが池内さんの事が好きなのも分かる! 二人の事、絶対応援するから……私とも仲良くしてね!」


 こんなラブコールを貰って……私は思わず賀司さんをハグしてしまった。




                               おしまい






ドロドロしたのは書きたくなかったのです(*^^)v



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― 新着の感想 ―
 三角関係なのだけど、めちゃ爽やかあ。゜+.゜(´▽`人)゜+.゜  ドキドキかあ、もうん十年ないですう。笑  主人公さんも美人さんなのがそこはかとなく解ってしまう書き方上手いなあって思いました。  …
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