アンドール王子直轄騎士
リリーとマリーの一件の翌日。
アンドール王子の使いと名乗る執事と騎士の合わせて3名がミライザの屋敷にくる。
執事がミライザの執務室にくると入室の許可もとらず中に入る。
「ミライザ様、おかわり無く何よりです。
最近、ならず者を屋敷に上げ剣術の真似事をなされているとか? アンドール王子様が余りに不憫に感じてらっしゃる。
この老骨めに力量を見定めろと仰せつかった」
執事の態度は凄く尊大で、ミライザを王女として見ていない。そう言っていた。
「タツキさんとダリアさんならこの時間は庭で稽古の最中です。
よろしければ案内しますが?」
「いえいえ、勝手に来た身。案内等不要です」
ミライザが呆れたように聞く。
「今日はヒーラーの方はいらっしゃ無いのですか?」
執事達が何を言っているのかわからないといった顔でミライザを見る。俺が一人で稽古している横でダリアが椅子に座り、ナダリーが入れたお茶を飲んでいた。
そこに執事が騎士2人を連れてくる。
その態度はやはり尊大だ。
「貴様がタツキか? 有り難くもアンドール王子直轄の騎士団がお前に稽古を付けやろうと来てやったぞ」
むかつく態度に無視して素振りを始める。
「フン!! 恐くなったか。
少しの手間賃をやる。これを持ってとっと出ていくがよい」
さらに無視していると騎士の一人が前に立つ。
「お前、耳でも聞こえないのか? それともビビってちびってるのか?」
「「「ガハハハハハ」」」
執事と騎士達が笑い始める。
「なんのようだ? アンドール王子直轄の騎士団と言う雑魚を相手に、稽古を付けてやる程俺は暇してない」
「貴様、この国一の騎士団である俺様達が雑魚だと?」
「お前程度がこの国で一番の実力者なのか?
それじゃ騎士団じゃなく、ちゃんばらをしている子供達の方がまだましだな」
執事が前に出てくる。
「お前達、良く教育して上げなさい。
命は大切にするものですよ」
「オラー」
真ん中にいた騎士の男がバトルアックスを振り下ろす。
その動きは力任せに振り回すだけだ。バトルアックスを交わし硬木剣で騎士の首を突く。
「グハッ」
首を突かれた騎士が気を失い倒れる。次にボケッとしている残りの騎士の頭に硬木剣を打ち込む、鉄より硬い木剣の一撃に泡を吹いて倒れてしまう。
騎士が倒された事で執事が俺を睨み凄んでくる。
「貴様、アンドール王子様の直轄騎士団にこのような事をしてすむと想っているのか?」
「すまないならどうするだ?
こんな雑魚の相手をさせられた俺は物凄く不機嫌だ。なんならこのままそのアンドールって奴の所に乗り込んでもかまわない」
執事は混乱しているのだろう。
「言う事をきかない者等、存在しては行けない」
そうぶつぶつと言って逃げたそうとしてダリアに捕まった。倒された騎士と執事に縄を付けて街の中心にある噴水にくくりつける。
その時、騎士の体に張り紙をつける。
"人様の家に許可もなく入り、狼藉を働き、その挙げ句。
アンドール第一王子の部下と名乗った不届き者を成敗した"
朝、少し時間に余裕ができた辺りの時間に人々がその騎士と執事達を発見する。その余りに珍妙な3人の姿に笑いがおき、人だかりができ始める。
そして直ぐに噂が広がったのか、何処かの騎士団が来て執事と騎士達を回収していった。
そしてその日の夕方。国王からの特使が来た。
内容はミライザと俺とダリアの3名で王宮に来るようにとの事だった。
翌日にミライザの馬車に乗り王宮に入る。
3人揃い謁見の間に通される。が、そこに見た顔がいた。
「あれ? レイン? 何でこんなところにいるの?」
国王がいるにもかかわらず余りに驚き過ぎてレインに問いかける。
「貴様!!」「不敬である!!」
アップルランドの貴族達が騒ぎ立てるなかレインがその場を制する。
「勇者はどの国にも属さない!! その不文律は知っていよう。
タツキ アンダルシアとダリア アンダルシアは、この世界にある勇者を認定する3つのダンジョンの最難関である、審判の塔に選ばれた存在である。
すでにメルボルス立国は2人をふたご座 ゲミニの勇者と認めている。
まさか、協定を忘れた訳ではあるまい」
一人の男が立ち上がる、恐らくその男がアップルランドの国王。ナルルドル アーイ フォン アップルその人だろう。
「我がアップルランドは、兄弟国 メルボルス立国の認定を認め、タツキ アンダルシアとダリア アンダルシア夫婦を双子座 ジェミニの勇者と認める事をここに宣言する」
俺とダリアは何が起きたかわからずうろうろとしているばかりだった。
「さて、勇者タツキ、勇者ダリア。
先だって、ならず者を捕らえ尚且つ殺さずに刑罰を与えてくださっと聞く。
間違い無いだろうか?」
「悪いがあいつらがどんな立場かは知らない。
だがアップルランドの第4王女を前に暴言を吐き、その体をまさぐるような輩だ。性根を正してから屋敷から放り出しただけだ。
まあ、逃げられないと思うと急に自分達が第一王子のアンドール王子の小飼の騎士団と執事だと言いはなった。
流石に不敬だと思って晒し者にしてやったよ」
「うむ、ミライザは私の愛する娘である。
父として感謝する。
時に2人は何故ミライザについて行動をしていると聞いた、何をしている?」
「たいした理由じゃない。ミライザがこの度、兄妹を連れ海の見える辺境の町の領主になると聞いた。
我々は海を見た事がない。それでミライザに頼んだのだ、海が見たいとな」
何故か国王のナルルドルがニヤっと笑う。そこに我慢ができなくなったアンドール第一王子がチャチャを入れる。
「待たれい。タツキとタリアと言ったか。
本当に2人が勇者である証拠見せてもらいたい」
「なぜだ? 俺達夫婦にとっては勇者等ならなくても良い物だ。
そんな俺達からしたら証明する必要もない」
アンドール王子が顔を潰す程の怒りを見せる。
「陛下。このような者をミライザの部下としてつけるのはいかがでしょうか?
かの土地を守るのは悪魔のような強い者でないといけません」
アンドール王子が俺を指さし勝ち誇る。
「貴様に我が直轄騎士との対戦を命ずる、その者に勝てないようなら同行は認めぬ」
「そうか、なら俺が勝ったら報酬をもらおう。冒険者は報酬の無い仕事はしないのが常だ。」
「フン、何でも好きなものを言えば良い」
アンドールが馬鹿にしたように話す、そして謁見の間でアンドールの騎士との対戦が始まる。出て来た騎士はミライザの屋敷に来た者と比べると確かに強い。
「どれ、今回は俺が立ち会ううお座 ビスケスのレインが」




