賢者 マルベルト ラッセルの教え
ダンジョンの隠し部屋から出るとそのままゴブリンの部屋に入る。
この部屋はゴブリンリーダー、ゴブリンジェネラル、ゴブリンロードのいない部屋だ。
だが索敵すると少なく数を見積もっても50匹はいるように感じる。ゴブリン達が集まる場所に行き、剣をだし上段に構えて魔力を剣にまとわせる。
「スラッシュ」
刃を想像し斬撃を飛ばすとゴブリンの集団を真っ直ぐに斬撃が抜ける。
たった一回のスラッシュで20匹近いゴブリンを倒してしまう。
ダリアも負けずとスラッシュを放つ。残ったゴブリン達が数にものを言わせ向かってきた。
さらに横凪ぎにスラッシュを放つと、ダリアが倒し損ねたゴブリンを攻撃。少なくなったゴブリンをダリアと連携しながら倒し終えた。
倒したゴブリンをマジックバックにしまうと何と58匹もゴブリンがいた。
俺達も大概なようだ。
「お、お兄ちゃん!! 見て、私一気にレベル上がっているよ」
そう言ってギルドカードを見せてくれる。
以前はこうだ。
ダリア ビンセント
15歳
女
ギルドランク G
レベル6
最大HP460
最大MP500
スキル 剣術 弓術 格闘術 治療術
取得魔法 身体強化 魔法強化 魔力調性 生活魔法 氷魔法 回復魔法
だった。
今はこうだ。
ダリア ビンセント
15歳
女
ギルドランク D
レベル10
最大HP850
最大MP1008
スキル 剣術 弓術 格闘術 治療術
取得魔法 身体強化 魔法強化 魔力調性 生活魔法 氷魔法 回復魔法
となっていた。
「お兄ちゃんも見てみよう」
「そうだね」
前はこうだ。
タツキ ムルシア
18歳
男
ギルドランク G
レベル 9
最大HP760
最大MP850
スキル 剛腕 瞬足 剣術 格闘術 裁縫 暗視
取得魔法 索敵 身体強化 生活魔法
だった。
今はこうだ。
タツキ ムルシア
18歳
男
ギルドランク D
レベル 14
最大HP1080
最大MP1505
スキル 剛腕 瞬足 剣術 格闘術 裁縫 暗視
取得魔法 索敵 身体強化 生活魔法 隠匿魔法
俺のギルドカードを見てダリアがなにかに気づく。
「お兄ちゃん、隠匿魔法覚えたみたいだね」
「本当だ。俺のスキルを見ると斥候向きなのかな。でも剛腕、瞬足が付いてるからそうでもないよね。
ダリアは魔法戦士系なのかな? 回復魔法も待ってるから聖騎士系かな」
そんな話しをしながらその日は帰る事にした。
次の日は壁の外の森で練習を行う。この森はオークやワイルドボア、レットウルフと言うモンスターが出る森だ。
以前、ゴブリンの集落を殲滅したが、それはこの森の割と浅い場所でもある。森の奥に入るり、索敵を行うとモンスターの集団を発見。
だが、争っているように感じた。
静かにダリアをつれてモンスターが見える場所に行くと、オークの群れとワイルドボア2匹が睨みあっている。
オークは10匹だ。おそらくワイルドボアの方が分が悪いだろうと思う。
そこでダリアがなにかをみつける。
ワイルドボアの後ろに子供がいたのだ。オークの狙いは子供だろう、強く手強い親を狙うよりも幼く小さな子供を狙う方が簡単だ。
おまけに子供達は20匹近くにのぼる。全てつかまえたら完全に腹の足しにはなるだろう。
「お兄ちゃん、オークを狙おう。オークもワイルドボアも通年依頼だけど、今回はオーク狙いで行こう」
「了解」
オークを狙い矢を放つ。
シュッ!! ダン。ダン。ダン。
オーク3匹を倒す。他のオークが俺達に気を取られているんだろうすきにワイルドボアが逃げたす、そこに合わせオークがワイルドボアを追わないようにさらに矢を放つ。
ザッ! ダン。ダン。
更にオーク2匹を倒した所で弓から剣にも持ちかえオークを撃ち取りに向かう。ダリアもレベルが上がったお陰かオークに力負けすることなくオークを倒す。
スラッシュは広い場所では有効な方法だか、こんな森のど真ん中では使い辛いかもしれない。そう思ってしまった。
それから数日、ギルドの通常依頼をうけて壁の外に来ては依頼をこなして数日を過ごす。
朝、何時ものようにギルドにくるとダリアがマーチさんにいきなり捕まる。
「ねぇ、ダリアちゃん。今日はダンジョンに行く日?」
それはマーチさんの悲痛な叫びに聞こえた。
「うん? お兄ちゃんはそのつもりみたいだよ。でもなんで?」
「うん、先週パンケーキ食べに行こうって約束したじゃない。
でもダリアちゃんとパンケーキのお店行けてないなから、今日こそは行きたいと思って」
「お兄ちゃん、今日午前中だけで終わりにしよう」
ダリアとマーチさんが目を潤ませながら俺を見る。
「わかったよ。午前中な。
じゃ今日は依頼無しでダンジョンに潜ろうか」
「うん♡」
ダリアの目が♡になる。そんなにパンケーキの何が良いのか? って言うか今日はお店をはしごするんだろうな。
ダンジョンにくると最初に隠し部屋に入る、ダッツ ヘルムを探すが縄がほどかれダッツ ヘルムの姿はなかった。
そこに来たのはあのダッツ ヘルムを叱っていたおじいさんだ。
「隠れなくても良い。ワシはお前達を攻めている訳では無い。
むしろダッツの友達になってくれた事を感謝している」
鏡の前まで来ると挨拶する。
「初めてお目にかかります。俺はタツキ ムルシア。こっちはダリア ビンセント。
この部屋をたまたま知ってダッツ ヘルムと知り合った。
俺達の方こそスラッシュを教えてもらったし。感謝するなら俺達の方だ」
「わしは、マルベルト ラッセル。こんなんでも賢者だ。
その鏡はわしがこしらえた物だ。上手く機能してくれて助かっているよ」
マルベルト ラッセル。俺はその名を聞いて心臓が止まるまる程の驚きを覚えた。
マルベルト ラッセル、今の俺達の世界では、その名はすでに神話の世界の人物で神と崇められる程の存在だ。
その神様であるマルベルト ラッセルこそが、勇者 ダッツ ヘルムの育ての親だとは知らなかった。
「マルベルト ラッセル。突然で悪いが俺達は貴方達の時代と比べるとかなり先の未来の時代の人間だ。
魔法も剣術も貴方達の時代と比べると弱い気がする。
この間教えてもらったスラッシュも広い所では問題無いが、狭い森の中では上手く使えなかった。
勝手な事を言っているようで悪いが、俺達にも教えてもらえないだろうか?」
「タツキと言ったか? スラッシュは飛ばすだけでなく剣に纏わせて使う事も出来る便利な物だ。
魔力に自分で制限をかけているだけで、魔力に決まった形はない。
丸くも四角くもなる、どういう使い方が出来るか自分でもっと想像することだ」
「ありがとう、剣にスラッシュを纏わせる事が出来るなんて驚きだ」
「はは、若い癖に了見が狭いぞ。
魔力を剣に纏わせる事が出来るなら、属性魔法も乗せる事が出来る
ようはアイデア一つで無限の可能性を秘めているんじゃよ」
マルベルト ラッセルが俺とダリアを見てしみじみと言う。
「しかしお主達は魔力制御が出来ていないな。無駄に魔力を垂れ流しておる」
「「魔力制御??」」
「ふむ、魔力制御も知らんか」
そう言って俺達に魔力をコントロールする魔力制御を教えてくれる。
マルベルト ラッセルに言われたことは、毎日行えばきちんと出来るようになる。と言う事だった。




