審判の塔2
セキュリティゾーンに来て食材を並べる。
「さて、ダリア君。今日のご飯はどうするのか良いと思う?」
「ハイ!! 隊長。
様々な食材が手に入りました。先ずは少しづつ全てを試し、その味を知ることが大事だと考えます」
「ウム、私もその意見に賛成だ。
ここはバーベキュースタイルを取りたいと思うが異論はあるか?」
「う、鍋スタイルも捨てがたい。
だが、先ずはエールで乾杯して堪能する為には…。
タツキ隊長!! 私ダリア ビンセントはバーベキュースタイルを賛成します」
「いえ~い。焼くぞ!!」
「まってぇ~。エール出して、樽ごと冷すから」
「お願いします」
マジックバックからエールの樽を4つ全てだす。
ダリアが先ずは1樽を冷やし始める。魔法にこういう使い方が有るのを我々は知らなかった。
教えてくれたのは月照だった。
暑い日に飲むエールは凄く不味い。
そう俺がそうこぼした所≪じゃあ、冷やせば≫
月照のその一言でダリアが試した、それが余りに旨かった。それからダリアがずっとエールを冷してくれる。
ダンジョンの中から拾った大量の木材に火を付け、豪快に塊肉を焼く。火の上に網を乗せ取った茸や野草を焼きコップを持つ。
「じゃ、お兄ちゃん私達の未来に乾杯」
「「カンパーイ」」
「う、旨い」「グリズリー、馬鹿に出来ない」
「ねえ、お米食べない?」ダリアが催促してくる。
こっちのお米は日本の米と違い、長くてパサパサとした米だ。
調理も炊くのではなく蒸すと言うのが正しい。お米に関していうと、こっちの人は主食と言うより、甘い味付けをしてデザートで食べるのが主流だ。
俺が蒸したお米が苦手で、苦肉の策で炒飯を作った時、ダリアがはまってしまった。
「米は炒飯に限る」そう言い出したのだ。
ダリアのキラキラとした目を見ると断る事が出来ない。
「ダリア、この機材だと炒飯は出来ない。代わりにパエリアと言うのを作ってあげるよ」
大フライパンを準備して出汁と米を入れて茸に野草とグリズリー肉をいれる。そこに少量のワインを香り付けで入れて、塩胡椒で味付けをする。
その後は蓋をして火にかける、炊き上がるとグリズリーと野草と茸の香りが立つ。
「ヤバい、良い香り。
もう♡ 私これ以上太ったら責任とってよ」
ダリアが興奮して言う。
「太らなくても責任とるよ。
でも極端に太るのは拒否したいです。痩せてる必要は無いけど、俺より重くなるのは勘弁だな」
「あり得ません。大体、お兄ちゃんって私の4倍は重いのよ。
どう頑張ったって、そんなに重くはなりません」
「ちょっと4倍は無いでしょう、確かに俺はごつい。そこは認めるよ。
骨も太いし筋肉も付いてるし身長も高い。
う~ん、やっぱり4倍有るかも知れないかな? いやいや。流石にそれはないわ」
そんなくだらないやり取りをしながら今後の予定を立てる。
「ダリア、残りの一週間は全てグリズリーの階層にしようと思う。
メイプル伯爵が入るのは後2週間後。
いきなりこんな高い階層には来ないと思う。食糧確保の為にミノタウロスの階層も行きたいと思うけど、どう?」
「うん、ミノタウロスの階層は賛成。でも他に野菜なんか取れないかな。
茸も美味しいけど、他の野菜も食べたい」
「そうだね。
途中で野菜を大量購入しておこう。マジックバックに入れておけば腐る事もないし」
ダリアが色々と思考する。ハッと頭をかかえる。
「忘れてたー。私、一年はパンケーキ食べれないの?」
頭を抱えフルフルと震える。ダリアが一気に老けた気がした、そんなにパンケーキが大事か?
マーチさんと決闘の約束しているのに、パンケーキの話となると仲良くなるのはやっぱり不思議だ。
「ダリア、王都にもパンケーキのお店は有るの?」
「有るよ。名店もあるの。なんか忙しくて忘れてた」
そう言ってダリアの落ち込んだ姿を見ると、負けてしまう。
「よし、ダリア。明日から食材の買いだしとパンケーキのお店をはしごをしたいと思います」
ザッ。バッ!! ダリアが軍隊式の敬礼をする。
「ハイ、ダリア ビンセント。謹んでお受け致します」
「よし。なら明日は1日、ダンジョンを出て贅沢三昧を行います。
その後は過酷なダンジョンライフです。
良いですね」
真剣な眼差しでダリアを見る。
「はい」
ニヤッと得意気にダリアが笑う。
翌日、ダンジョンを出、売り払って問題ない物をサンゼッテに卸しお金をえる。それから食材を買い漁る、普段は目立つのでやらないが今回はお構い無しだ。
その後ダリア念願のパンケーキのお店にくる。貴族の子女や商人の娘だろう、裕福な格好をした人達で溢れていた。
ダリアと並びお店に入りパンケーキが出るのを待つ、すると何故か女性集団に絡まれてしまった。
「貴女よね。バスケット様をたぶらかした女って(怒)」
ダリアとしては身に覚えの無いことのようだ。
「バスケットって誰? 私は知らないわよ」
ダリアの言葉に戦士風の女が立ち上がる。
どう見ても我々がルルダンルを出た時のサーフィンとブリットと変わらないレベルにしか見えない。
ダリアと女達の間に入る。
「悪いが勘違いじゃ無いか? 俺達は2人でやっている冒険者だ。
誰かに恨みを買うような事はしていない」
戦士風の女が俺を睨む。
「いいえ、間違いありません。この女がバスケット様に気軽に声をかけて依頼板の見方等を小癪にも伝えていました」
「何処のギルドでも先輩冒険者は初心者を助ける。
それは当たり前だ。
そんな下らない事で言い掛かりはやめてもらいたい。バスケットと言う御仁が誰か知らないが、同じパーティーの人間が他の人をおとしめる行為は控えるべきだと思うが?」
俺が怒っているように見せると女性達が引いて行く、そしてそそくさとお店を後にした。
王都のパンケーキも美味しかった。
お店によって厚みも違うのが楽しい、俺もダリアとマーチさんにかなり毒されたようだ。
ダリアがお気に入りのお店はパンケーキがフワフワでもっちりとした食感だ。
だか俺は少し固さのあるこの店のパンケーキの方が好きかも知れない。




