ワイロ?
翌朝、異常な興奮を隠しもせずにダンジョンを出る。
「フフ」「ハハ」「ウフフ」「アハハ」
俺とダリアの異常な興奮を見た兵士達が恐れおののいて引いてしまった。
ギルドの裏から中に入る。
「おはよう、今日は早いな」
サンゼッテが俺達を見ずに挨拶した。
ガタッ!?
「おい。タツキ、ダリアどうした?
何かダンジョンで未確認のモンスターにでもであったか?」
サンゼッテが驚いて目を見開き俺達を見る。
「サンゼッテ。すまない、少し休ませてくれ」
「あ、ああ」
サンゼッテがお茶を入れてくれた。
「落ち着いたか? 何かあったのか」
「ああ。見てもらいたいものがある」
そう言ってハイ・オークの肉の塊を始め、魔石、シルバーウルフの毛皮と魔石、ミノタウロスの角とミノタウロスの魔石を出す。
「おいおい。何だこのお宝の山は?」
サンゼッテが目をキラキラとさせている。査定を行う職員を部屋に呼び秘密裏に販売を終わらせる。
「こんなに大量に…」興奮冷めやらぬ顔をして俺達を見る。
「タツキ、ダリア。今日はマナディア王妃 とウエイト宰相が視察に来られる。
これらを渡しても問題無いか?」
「ああ問題ない、あと俺達もマナディア王妃に会いたい。
マナディア王妃とは旧知の仲だ、それにご本人に直接お渡ししたい物もある」
サンゼッテが?マークを出してこっちを見る。
「それはそうと、後4週だ。5週目に。メイプル伯爵がダンジョンに入る。その前には2人とも王都を出て欲しい。期間は4ヶ月と申告があった。
少なくても5ヶ月は猶予を見た方が良いだろう」
「了解した。3週でダンジョンを出る、その後はルルダンルにこっそりと入るよ。
大体5ヶ月程経ったらまた、裏口から顔を出す。それで良いかな?」
「ああ、後。何か称号なんかは付いたか?」
「嫌、何も」
思わず双子座の称号を隠してしまった。
少し落ち着きを取り戻してから、ギルドで朝飯を食べる。
「お、なんだい? 朝飯は食べて無かったのか?」
食堂の親父さんに声をかけられた。
「悪いな、今帰りだ。何か食べれるかかい?」
食堂の親父さんが仕方ないといった顔をして料理を出してくれた。
それから小綺麗な格好をしてマナディア王妃 とウエイト宰相が来るのを待つ。そしてギルマスの部屋でマナディア王妃 とウエイト宰相と会った、勿論ギルマス達は部屋にはいない。
マナディア王妃は相変わらずお元気だった。
気を聞かせたのかウエイト宰相が最初の挨拶の後で部屋を出る。
「しかし、タツキとダリヤがいたとは知りませんでした。
いつからこっちに?」
等々やり取りをした後。
「マナディア王妃。我々から贈り物があります。
ウエイト宰相を呼んで頂いても良いでしょうか?」
ウエイト宰相を呼び戻し2人に口外しないように釘を指した。
「これから贈る物はギルマスにも内緒です、是非に内密にお願いします」
「あら、何かしら? まさか貴方達から懐柔されるとは思ってもいませんでした」
マナディア王妃がいたずらっ子のように笑う。
「兵士の方はマジックバックはお持ちでしたか?」
「ハイ。持っております」
「では近くにお願いします」
そう言ってミノタウロスの肉塊を出してマナディア王妃とウエイト宰相に渡す。
「「ミノタウロスの肉塊」」
マナディア王妃とウエイト宰相の声がそろう。
「ハイ、本日の朝に取れた物です。
現在これしか持っていません。どうかお二人でこっそりとお持ちになって下さい」
「どのくらいダンジョンにいたの?」
マナディア王妃が素の話し方になっていた。
「5日程前の早朝からです」
「そう、ではだいぶレベルが上がりましたね。
ウエイト宰相、貴方もその内追い越されますね」
「はは、ワシはすでに引退した身。すでに王妃より弱くなっております」
「タツキ、ダリア。わざわざ私達の為に無理はしなくて良いのよ」
「無理はしておりません。
俺もダリアもマナディア様がいなかったら、今頃生きてはいなかったでしょう。
それを考えたらこの程度では足りないです」
ウエイト宰相が俺とダリアを見る。
「なあ、2人ともワシの養子にならんか?
お前達2人は翼を持ってるように思える、いつか何処かに飛んで行きそうで少し心配じゃ」
「宰相。
若者の芽を取っては駄目です。楔は楔らしく。鳥は鳥はらしく生きるべきです」
「はは、耳がいたいですな"楔は楔らしく"ですか」
「ハイ、我々は一蓮托生です」
何か物凄く政治的なやり取りがなされた。でもそのお陰で俺達の自由は確定したらしい。
「そうじゃ、タツキとダリアにも知っておいてもらいたい事がある」
ウエイト宰相が真剣な眼差しで俺達を見る。
「今日、こっそりと第2王子が冒険者登録を行った。すでに第1王子は冒険者となっているがおそらく関わる事は無いと思うがな。
面倒事に巻き込まれる前に知っておいてもらおうと思ってな」
「了解しました。まあ、間も無く我々は一旦王都から離れます、直ぐに戻って来ますが覚えておきます」
2日程休みを取り食材等を買い集める。
ダンジョンに入る前にギルドに来た、別行動をしていたダリアを迎えに行く。
ダリアが新人冒険者とおぼしき若者と話をしていた。
「そ、それでここが依頼板、ここで出来る物を選んでね。
あとわからない事があったら職員の人に聞いてね」
「あ、ありがとう」
新人冒険者が不器用にお礼を伝えていた。
「ダリア、お待たせ。行こうか」
「あ、お兄ちゃん。今行く」「じゃあね」
ダリアが俺のところにかけてきた。
「何話してたの?」
「うん、何でも依頼板の見方がわからなかったみたい」
ダンジョンに来ると先ずは10階層に行き、それから新しい階層。砂漠階層と呼ばれる40階層に来た。
地図にはデザートスコーピオン、デザートフロック、砂漠ムカデ、砂漠ウサギ、砂漠蜥蜴と言ったモンスターが出ると書かれていた。
そしてこの40階層以降はこのダンジョン。審判の塔に認められた者しか入ることが許されないのだと言う階層だ。




