ミノタウロスの肉塊
シルバーウルフとの対戦の前に昼飯を食べる事にした、使うのは当然ダンジョンプレゼントと呼ばれるハイ・オークの肉の塊だ、それを調理する。
焼いてバーベキューのような串焼きと、野菜と一緒に炒めた惣菜を作る。
「ねえ、お米あったっけ?」
「米? そんな高級食材何て無いよ。」
「やっば。なにこの旨さ」
ハイ・オークの肉塊の余りの美味しさに驚きを覚えてしまった。食べたダリアの興奮が覚めない、まだ食べたいとダリアの顔に書いてあったが無視して後片付けを始める。
ダリアが後片付け中の俺に、抱き付いて来ておねだりする。
「お兄ちゃん、もうちょっと食べようよ~」
「良いけど太るぞ」
その言葉にダリアが大人しくなる、やっぱり太るのは嫌らしい。
昼食の後にシルバーウルフの階層に入る。階層は3つのグループに別れていた、一番手前は数が少なく10匹位の群れだ。この群れは俺達と戦う気持ちがない、戦う気持ちがないと言うより恐がっている。
俺達と目が合うと震える程だ。他の群れは各々100匹以上の群れだ、これだと手前のグループは戦う気持ちもないのだろう。
この10匹の群れを無視して先に進む。俺とダリアの後ろを付かず離れずてついてきていた、きっとおこぼれに預かりたいのだろう。
残りの2つの群れは連動して我々に接近している。
ダリアが氷の蝶を出す。
「さあ、皆行きなさい。全てを氷つかせなさい」
ブアっと氷の蝶が一斉に羽ばたく。その数は優に10万を越えていると咄嗟に思ったほどだ。
シルバーウルフは元々寒さに強いと聞いた事がある、そんなシルバーウルフの群が一瞬にして氷のと彫刻と化した。
俺の流星群より、ある意味凄い気がする。氷の蝶は自分の意識があるかのごとく動く。その凄さが恐ろしく感じる。
シルバーウルフが消えると綺麗な毛皮が3枚落ちていた、これもダンジョンプレゼントと言われる物かも知れない。
「ダリア、シルバーウルフの毛皮みたいなものが落ちてるよ」
ダリアの耳がピンと動いた気がした、俺の声にダリアが走ってきて毛皮を見る。
「お兄ちゃん、やったよ。
超一級品だよ。これ一枚、末端価格で約10億リンは下らないよ。
それが3枚。
どうしよう? 働なくも食べて行けるよ♡」
流石、魔物の素材にうるさいだけはある。
軍に所属していた時、素材の管理。検査、査定までにこなしていた経験がこんな所で生きるのだろう。でも少し大袈裟だ。
「そ、じゃ。しまうよ。
ダリア、俺達の目的忘れてたいないよね?」
ダリアの呆れた顔を見て少し緊張する、何か不味い事を言ったみたいだ。
セイフテイゾーンのある33階層と34階層の間に来た。
階層と階層の間に部屋のようなスペースに来る、そこは戸ついていて中に入ると広い空間があった。
明らかに他の場所とは違い、ダンジョンの中てにしては安心感を覚えた。
「ダリア、早いけどここにベットや椅子とテイブルをだす。
次のセイフテイゾーンまではここを拠点とするよ」
「ほいほ~い」
ベットを置き、目隠しのタンスを並べてテイブルと椅子を並べる、するとダリアが姿見鏡を出してタンスの後ろに立て掛ける。ダリアは何処に行ってもダッツやマリーンの事をきにかけている。
所がダッツ達一行は我々の心配をよそに鏡を通して連絡が来ない。
確かエンシェントドラゴンの討伐の為の大会に出ているはず、多分忙しいのだろうと今日もダリアと話して終わる。
良く朝、ミノタウロスがいると言う階層。34階層に来た。ここから39階層まではミノタウロスしか出ない貴重な階層だ。特にミノタウロス階層のダンジョンプレゼントは貴重とされ、そこで取れる肉は国王ですら一生に1度食べれるかどうかと言われる程の素材だ。
過去の話しになるが、このミノタウロスのダンジョンプレゼントを2個準備した冒険者が伯爵になった事がある。
それは凄く有名なはなしだ。
それ程貴重な物らしい。そうまで言われると1度は食べてみたいのが心情である。
この一点だけはダリアと意見があった。今週はミノタウロスのダンジョンだけに固執して行う事になる。
ぶっちゃけて、食欲は強い。
それも究極の食材にありつける、そうなるとあがなえる者もいないだろう、ましてや誰も知らない貴重な食材を国王や有力貴族、軍幹部や宗教関係者など、そんな見た事も無い奴にくれてやるりも自分達がその食材を食べたい。
悪いが俺はそうだ、そう真剣に思った。
その時は、俺もダリアも知り合いに見せれない悪い顔をしていた。確実にそう思う。
ミノタウロスは決して弱いモンスターではない。いや、むしろ強く恐れられる存在だ。
ましてミノタウロスは孤高の存在。
そう云われる位に群れをなさない、それでいて単独でハイ・オークキングを越える力と戦闘力を持つ存在だ。
だから、ミノタウロスはA~Bランクにランクされるモンスターだ。確かに個体さは有る、体の大きなもの。武器を持ち歴戦の強者と思える者、策略を練り頂点に立つ者、等々だ。
俺とダリアはそんな孤高の存在を駆逐した。嫌、それは本能のままに、心の思うがままにただ狩り尽くした。
ミノタウロスの側からするとそれは只の虐殺だったかも知れない。
俺とダリアは狩人ではなかった。只の虐殺者としてミノタウロスの目に写ったかもしれない。
・・・・。
嫌、仕方ない。ミノタウロスのダンジョンプレゼントはそれ程に魅力的だった。俺とダリアは衝動的に本能的にそれを求めた。
獲られない時は時間を忘れ狩りに没頭し、ミノタウロスの階層全てを氷河で埋め尽くした事もあった。
そして今、ダリアとにらみ合いを続けている。緊張をしつつも譲れない一瞬だ。ダンジョンプレゼントのミノタウロスの肉の塊が後4つ。ミノタウロスの角が30っ個。
角とほぼ同じ数が取れるミノタウロスの肉の塊とは数が合わない。
「ダリア。提案だ。
このままだと俺達の目的を忘れてしまいそうだ。
明日、1度ダンジョンを出て、また40階層から進めたいと思う」
「お兄ちゃん。それは私も賛成。
だけど、ミノタウロスの肉は捨てがたいと思うけどどうする?」
「そこで提案だ。エールやワインと一緒に食べたく無いか?」
「やっぱり!! 考える事が一緒ね。
今日は朝まで狩りを続けましょう」
「ハハハ」「フフフ」
やっぱり、俺とダリアは確実におかしくなっていた。




